見出し画像

ご乱心ブログ


「君、いいね。ずっと見てるけど
レストランで働くのはもったいないよ。
よかったらうちで働かない?」

とバイト中に客から声を掛けられた。

もらった名刺をググってみたところ
意外とちゃんとした会社だったので
後日改めて面接をしてもらうことにした。

そこは車やフォークリフトや
ベルトコンベアなどの
部品を国内外に輸出入している会社で
私が今まで生きてきた世界とは
かけ離れた業種だったけど、
私は彼の元で働いてみたいと思った。

オフィスはバスや電車では
アクセスできない僻地にあるので
会社の車を私の通勤用に
貸し出してくれることになった。

給与も悪くなかった。

現在私は学生ビザで滞在しているので
ゆくゆくはビザのサポートも
してあげなくちゃね、という話までされた。

仕事は楽しかった。

必要な部品を探すために
オーストラリア国内だけでなく
アメリカやイギリスの会社と
在庫確認のやり取りを交わした。

オークションで落札した品物を
現地に配達してくれる
トラックドライバーを血眼で探したり、

仕入れたものを売りさばくための
フォームを試行錯誤しながら作ったりした。

時には取引先から私宛に電話が掛かってくるし、
私への来客だってある。

本来であれば
日常英会話すらままならない私が
今まで聞いたこともないような
専門用語が飛び交う現場に立って
脳内はすでに爆発していたけれど、

緊張感を持って仕事ができるのは
ありがたかったし
絶対に負けないぞという
モチベーションにもなった。

入社して速攻お局から目を付けられて
いびられるのがデフォルトだった私の人生で、
奇跡的に女の先輩たちから嫌われることなく
ここではみんなが私の応援体制に入ってくれていた。

根性を見せてよかったと思った。

ここでやれるだけやってみたいと思えた。

少しずつ仕事に対する手応えや
もっとやれる、という自信のようなものも
生まれかけていた。

それなのに、
それなのにだ。

土曜の朝8時に社長から連絡があった。

仕事のことで個人的に話がしたいから
コーヒーでもどう?という内容だった。

土曜日に?わざわざ?

と思ったが、私が住んでいるサバーブまで
彼は来てくれるというので
もともとあった予定をずらして
無理矢理時間を作って彼と会った。

そんな彼からの提案はこうだった。

1, 俺の社員になる
2, 俺の彼女になる
3, 俺の甥の彼女になる

言っていることがよくわからなかった。

というのは嘘で、

彼に対する違和感が
勤務初日から私の中で
むくむくと膨れ上がっていたのは確かだ。

その違和感の正体が
ついにここへ来て姿を現したのだ。

ああ、またか。
と思った。

結局彼は最初から
私のことをただの女の子として見ていたのだ。

私がどんなにやる気を見せようが
仕事を上手くこなそうが
そんなことは彼にとって
端からどうでもいいことだったのだ。

レストランで彼から声を掛けられたとき、
私の仕事ぶりを評価してくれる人が
やっと現れたと思ったし、
それは素直に嬉しかった。

だけど全ては大きな勘違いで、
結局彼も私のことを
ただのアクセサリーとしか
見ていなかったのだ。

少し光って見えたから
手元に置いてみたいと
気まぐれに思っただけなのだろう。

吐き気がする。

3つの選択肢をいきなり突きつけられて、
私はどう答えるのが正解だったのだろう。

本能的に、
社員を選んだら未来はないと思った。

だけど「俺の彼女」か
「俺の甥の彼女」という選択肢には
もう突っ込む気力すらない。

おじさんの機嫌を取りながら
仕事をしなければならないなんて。

私は何のために頑張っていたんだ。
何のために頑張りたいと思っていたんだ。

絶望しながら朝目が覚める。

また1日が始まるのかと
どんよりとした気持ちで身支度をする。

身支度なんて自分が楽しいからするのに。
自分を好きになりたいからすることなのに。

今日もまたあのおじさん達に会うのかと思うと
それすらもくだらないことのように思える。

私が楽しく生きれないなら
こんな会社にいる意味なんてどこにもない。

くそ野郎どもが

車くれるって言ったのに
そんなのも嘘だったし
ビザだって最初から出す気なかったんでしょーーーーー!!!!!

一瞬でもそれを真に受けて喜んだ自分にもほとほと呆れてしまう。

悲しい。

私はビザがほしい。
車もほしい。
お金もほしい。
成功体験がしたい。

仕事に求めるものなんてそれしかない。
日々小さな成功を味わって
自分を好きになりたいだけ。

ここではそれができるかもって思ってたのに
ひどい
私もっとやれたのに
めちゃくちゃ役に立つのに私

ビザ出すよって言えば
私の気を引けると思っている大人たちへ

大正解ですうううううううううう!!!!!!!!!
私がほしいのはそれだけなのでええええええええええええ

そんで会社のおじさんたちからは
彼氏がいるのかしつこく聞かれて
いるって嘘ついたら
もう会社にはしばらく来なくていいって
言われたんだけど

そんな話ある?

まあ確かに今コロナで輸出業うまくいってなくて
仕事が激減してるのはわかるんだけど
そんなわかりやすい話ある?
じゃあなんで一瞬雇ったん?

つーか彼氏の有無がそんなに大事なんだったら
レストランで私に会った瞬間に聞いとけよ

私みたいに話が早くて
ものわかりのいい女
なかなかいないんだからねえええええええええ?!?!?!?!?!?!?!
手元に置いときゃよかったって
いつか絶対後悔させてやるからなあああああああ
覚えとけよくそおやじどもがあああああ

あ、ちなみに
女の先輩たちからは
何があった????ってめっちゃ
連絡もらったので
あったこと全部そのまま
お伝えしておきましたので
そこんとこよろ

悲しい

しばらく山で暮らしたい
だーれも私のこと知らない場所に行きたい

私今めちゃくちゃ落ち込んでるし
どうしたらいいかわかんないし
ここはどこ私はだれ状態

そこで山のホテルで一緒に働かない?って
ちょうどよく誘われて
ここから逃げれるなら
それもいいなって思ったけど
私ブリスベンで頑張るって決めたしな

山に私の未来があるとは思えないし
行きたいけど
山に行って何になるん
山にビザ落ちてるなら行くけどさあ

会社の人達全員ベトナム人だったんだけど
明日からしばらく来なくていいって
連絡もらった瞬間むしゃくしゃして
近くにあったベトナムレストランで
バインミー買ってひとりでバリバリ食べた

お腹空いてなかったけど
そんなことは関係なくて
バインミーひとりでぜーーーーんぶ
平らげてやった

あーーーーーー腹立つ!!!!!!!!!!

むかつく
絶対に負けない

何かに執着をすればするほど
人生はハードモード

だけど何にも執着できない人生なんて
きっとつまらないに決まってる

私はこれから自分がどういう選択をして
生きていくのか自分で自分に興味がある

私は大丈夫
ただ今日という日が無理なだけで
明日にはケロッと笑ってるはず
次はどんなことが起きるかな
もっとハッピーなことが起きたらいいな


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?