マッチスティック・メン

監督 リドリー・スコット
映画を観た。確か2003年公開の、ニコラスケイジ主演の映画。"マッチスティック・メン"。超簡潔に言えば、父娘の話だった。潔癖症、チック症、そして詐欺師である父親と、14歳になる娘が初めて出会う。父親は人を愛することを知り、どんどん完璧だった自分の仕事に支障が出るようになる。渇き。の異質さを取り払って煙草の煙をぶち込んだような映画だった。ニコラスケイジが素晴らしい演技をしていた。嫌でも自分の父親の顔を思い出す。まともに喋ったのは一年以上前か。今は会うことも許されていない。酷い父親だった。でも、唯一の父親だった。わたしは彼のことを「良い父親」だとは思わない。でも殆ど喋ったこともないくせに、きっと世界で一番わたしと考えが似てる、理解者だと信じている。なんとなく、絶対に、わたしは父親の血を引いている、と分かる。だから好きだ。いつか、泣きじゃくりながら貴方の一番に愛されたかったよって言える日がくればいい。夜中に映画を観た後の虚無感は、自分でも意味が分からない。最近はアルバイトと学校のおかげで忙しい日々を送っているが、読書と映画にだけはちゃんと時間を摂るようにしていた。満たされないから娯楽として映画を観たり、本を読んだりするのに、すべて終わってから虚しくなるのは何故かな。物語と別れたからか。人に満たされようと生きる術が無いからか。知人はわたしのことを感受性が豊かなのねと形容した。どちらにしろ、生きるのが下手なだけだ。教養など得た気はしない。自分の気持ち悪いのを吐き出したみたいな映画を観た。面白かった。‪その後、ひとりベッドで項垂れた。どうにもならない悩みとかが、ぽんぽん浮かんでくる。言いたいことがたくさんあって、たくさんありすぎて、でもその全部はバラバラで、必死になって一人で繋げようとしていくんだけど。美しい纏まりにしたくて足掻くんだけど。結局できなくて、シンプルにも構成し直せない。声が出なくなって、あぁきっとわたしは遠くへは行けないのかもなって 思って、夜‬。こうやってわたしは毎日を繰り返し、新しく生きて、死んでいくんだろうな。今年の夏は沢山映画と本を嗜もう。

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