あなたは醜い

人を愛すると、自分も愛せるようになった。大嫌いな自分でも、幸せになりたくなる。わたしはこの感情のすべてが嫌い。
図々しいな、と思ってしまうから。なんの努力もしていないわたしが幸せになろうだなんて。考えすぎだよ、と彼等は言う。そんなこと言われると、もうへらへらと笑うしかなくなってしまう。わたしはどんどんみんなから突き放される気になって、好きな人から遠ざかろうとする。誰でも良いなんて真赤な嘘で、でも誰でもよかった。わたしは煙草に火をつけて、君の吐いた嘘を吸って、自分の孤独になっていく様を見ている。まだ夏は熟れていないけど、十分肌に纏わりつく空気が鬱陶しく感じる季節になった。日本は湿度が高いので、体感的に言うととても暑い国だと聞く。確かに長く伸びたわたしの髪は、汗で首元に張り付いて、べたべたする。とても不快だ。だから最近はポニーテール。あぁ、面倒くさいな。眩しい夏が来たんだな。また越えなきゃいけないのか。暑さのせいなのか、自己愛が芽生えたせいなのか、はたまた、唯フラストレーションが溜まっているだけなのか。ちょっとのことが、煩わしい。心の視野がどんどんと狭くなっていくのは、恐ろしいことだと思う。他人に優しくできなくなる。誰かここから連れ出してくれないかな。攫っていってはくれないかな。他人任せなことばかり考えて、わたしは何もせずに待っている。こんなくだらない人生はない。わたしの愛してやまないアーティスト、米津玄師さんが昔作った歌、"あなたは醜い"で、「あなたは醜い 言葉にならない あなたによく似てる わたしも醜い それでもあなたを わたしは愛したい 」という歌詞がある。わたしはそれがとても好きだ。そんな風に、真正面から人と愛し合えるのは羨ましい。相手と自分を何も疑うことなく愛することは、みんな普通にしているようで、たくさん苦しみながら習得していくものだと思う。わたしもそうなりたい。いつまでかかるのやら。生きるは絶望だとしたら、愛はもっと意味不明だ。全然わからない。
文を書くことを恥ずかしいとか下手くそだとか、あとは気持ち悪いだとか、そういうことを思いながら、書きました。わたしはわたしのことがわかりません。良い夏を。

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