彼女がいなくなった。きっと大切なものをぽろぽろと残して。
当時のわたしにとってはミューズそのものであり、また苦しみでもありました。

自分で決断したのに、会わないことがとても寂しかった。今思えば許せなくてももう少し会話をしたら良かったのだろうか、と思う。

わたしに謝った貴女が嫌いだった。恨むことも許されないのかと思った。彼女の自由を羨んでいた時の方が幸福だった。

会わなくなった後も、貴女がくれたお揃いの赤いビーズでできたブレスレットを外せずにいた。川辺を散歩していたら何かに引っかかりブレスレットが切れてばらばらになってしまった時、やっと貴女の呪縛から解放されたと思った。

ずっとずっと許せなかったけど、いなくなるなんて聞いていない。貴女にどのような地獄があったのかは分からないが、わたしたちは祈ることしかできない。
これからも許さないし、羨望の気持ちがあったことも記憶に残し続ける。

愛憎と呼ぶ他ににわたしはこの気持ちに名前をつけられない。
穏やかなところでいられますように。彼女に襲いかかった全ての苦しみから解放されていますように。極楽浄土がほんとうのさいわいでありますように。またね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?