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ライブ配信は業者に依頼したほうがいい理由と、配信事業者が反省すべき点。

スタジオの利用や配信請負の話をしていると、一定数「そんなの自宅(や会議室)から自分でできるから」という人が一定数いる。まあ、それはそれでいいんだけど、配信環境が整っている現場とそうじゃない現場では、やっぱり「見てくれ」が大違いであることも事実なわけで・・・。

音質

最も簡単に配信する方法として、リモート会議などで利用される「マイク内蔵USBカメラ」が利用されることが多い。当然カメラに内蔵しているマイクなので、演者との距離がそれなりに出てしまう。いわゆる「オフマイク」の状態になり、明瞭度が格段に落ちてしまう。

さらに、演者一人ひとりの声の大きさを吸収することができなくなり、音声のバランスが非常に悪くなってしまう。はっきりいって「かなり聞き取りにくい」状態となる。

映像

音声同様、USBカメラが導入される事が多い。カメラの性能は「レンズの大きさで決まる」とっ行っても過言ではないのだけど、USBカメラの多くは直径数ミリ程度のほぼ「ピンホールカメラ」が採用されている。

口径の小さなレンズの利点として、ピント合わせがしやすいという事があるが、反面、レンズの分解能(2つの被写体が接近した際、どのくらい近づくと見分けがつかなくなるかを表す性能)が極端に低いので、全体的にぼやっとした「眠い」絵になる。

更にいうと、ホワイトバランスがあっていなかったり、色味がずれていたりと、「見てもらうための映像」として利用するには、やはりUSBカメラは約不足であると言わざるをえない。

照明

一般的には室内の蛍光灯一発で被写体を照らすことになる。ただしこれだと光源が頭の上にしかないため、画面の下に行くほど影ができやすくなる。また、照明の位置がカメラから見て被写体(演者)の後方にあると、「逆光」の状態となるため、人物が真っ黒になってしまう(反面背景は非常に鮮やかに映る)。

たつえば私が管理している簡易配信スタジオの場合、照明は4箇所あって、つまりは
1.正面やや下
2.(演者から見て)前方上方
3.天井
4.演者後方
となっている。

この中で特に重要なのは1と4。
1は、カメラの方向から照明を当てることで、上からの照明で影ができやすい部分を補っている。これによって、正面から見た場合でも十分な明るさを維持できるようにしている。
4は演者の後方にある背景を照らしている。こうすることで証明による演者の影ができることを防ぐ上、背景を明るく見せることで画面全体が暗くならないように配慮している。

このため、少なくとも「正面」にライトを1発置くことで、だいぶ見た目のいい画像を得ることができる。これは口径の小さなレンズの際にも極めて有効で、USBカメラで配信したいばあいはもってこい、かつ最も簡単な画質向上の方法でもある。たとえば、カメラの上にポン付けするような小さなライトでも、かなり効果がある。

料金的なもの

「でも、お高いんでしょう?」という声も聞こえてくる。というか、業者を入れたくない理由の殆どは料金の問題であると思っている。これは我々業者側が反省するべき点であるとおもうのだが、いかんせんライブ配信黎明期に参入した事業者の料金が軒並み高すぎた、というのはあるだろう。カメラ2台、マイク2本といった最小構成でも数十万円という料金がザラだったりする。近年は格安で高性能なビデオスイッチャが普及し始めたことを受け、比較的安価に配信を請け負う事業者もでてきたものの、いわゆる古参の高価格帯で勝負している事業者からはあまり良い目で見られておらず、「技術力もないインチキ事業者」認定されていることもしばしば見受ける(もちろん、ほとんどの事業者はそんなことないのではあるが)。

我々事業者は、ライブ配信を依頼してくるお客様が何を実現したいのかを正確に把握することなく、効果な機材を工学で提供してはイなかっただろうか。「ATEM miniとベリンガーのミキサーで事業者を名乗るやつがいる」と苦言のようなものを呈されているが、顧客の立場に立ち返ってみれば、単純に「自分の思い描くライブ配信ができればそれでいい」はずなのであって、RolandのV-600UHDを使いたいとか、YAMAHAのTF-1を使いたいとか、PanasonicのLUMIXを使いたいとか、そういう事は考えていないはずである。とくに最小構成でいいのであればそれこそ「ATEM miniとハンディカム、それとベリンガーのミキサーとマイク」でいいのであって、それで予算が抑えられて思い通りの内容で配信できるなら十分なのである。

これまでの映像配信業界の漫然とした客対応(特に金額)を反省しつつ、お客様のニーズに合ったライブ配信をお手伝いしたいものである。

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