リバーブを掛ける
個人的には余り好きではないのだけど、ナレーションの部分にリバーブをかけて強調した表現とする場合が多々ある。しかし、リバーブをかけると、なんというか芯がなくなってしまうと感じている人も多いのではないだろうか。そんな人はズバリ、リバーブの使い方を間違えているだけである。
リバーブとは
音に残響効果を加えるもので、多くの場合音に奥行きや広がりが発生する。よく「エコー」と呼ばれることがあるが、エコーは「反響」なので別のエフェクトになる。この辺は書き始めると1本の記事として成立してしまうくらい長くなるので割愛する。なおこの記事ではProToolsに標準で搭載されているD-Verbを利用する。
DRY
リバーブを含めたエフェクトが全く掛かっていない状態の音をDRYと呼ぶ。エフェクトが掛かっていないので、再生すれば原音のままの音が再生される。
WET
エフェクトが掛かった状態のことをWETと呼び、ここではWET100%、つまりエフェクトが掛かった音だけを聞いてみる。
聞いて分かる通り、リバーブがかかった音声は、残響が主な成分となってしまい、声の芯の部分がなくなる。つまり、リバーブというエフェクトは、リバーブを追加するのではなく、リバーブ成分に音を加工する働きを持っている。このため、音の芯(原音)がなくなってしまう=芯のない音になってしまうのである。ちなみにYouTubeなどでよく聞く「リバーブの部分だけ何故か音が小さい・遠い」と感じるばあいは、ほぼコレが原因だったりする。
DRY 30%
それではDRY成分をあるていど残してみよう。ここではDRY成分を30%だけ残した音声を聞いてみる。
おそらくWET ONLYの時よりは芯が残っている音に聞こえると思うが、それでもやはりまだ弱いしかしやってみるとわかるが、ここでDRYの成分を50%にしようが70%にしようが、じつはそれほど大きく印象は変わらなかったりする。なぜならエフェクタ上でDRYとWETの音声非を設定すると、それだけDRYの音量が下げられてしまうからで(もちろん挙動の違うものある)、中途半端に音量も低いし、エフェクト感もないという同しようもない音が完成する。
DRY+WET
筆者がよく使うのは、この方法で、エフェクトを掛ける部分を別トラックにコピーし、コピーした先のトラックを加工するもの。
こうすると、もとの音量はそのままで、別トラックとしてリバーブ成分が追加されるので、音の芯を残しやすい。かつ、このままではレベルオーバーするので、WET側の音量を下げてあげたり、必要に応じて元のトラックも3dB程度おとしてやると、エフェクト前後と比べても音量差のない加工ができるようになる。
実際に音声を加工した際のトラックを表示したものが上の図である。上段と下段には同じ音声ファイルが配置されており、下段にだけD-Verbが適用されている。また、双方のトラックは3dB下げられているのがわかる。
このようにすることで、原音をそのまま維持し、かつエフェクトを追加するということが可能になる。また、エフェクトは別トラックで動いているので、不要部分はエフェクト側のトラック(図では下段)を削除すればそれだけでエフェクトの取り消しが可能となり、原音に影響を与えることがない。
DAWに慣れ親しんでいる人には当たり前の作業ではあるともうが、意外にできていない録音が多く、今回したためてみた。
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