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7ORDERの沼へ落ちた話

転げ落ちるまでの期間は長いのに、落ちた瞬間光の速さで沼に沈んだ女の話です。気取って書きはじめたら語りぐせのある自分が主張したせいで長くなったので、適度に飛ばしながら読んで頂くことをオススメします。むしろ読まなくても損しません。なぜならこれは完全に自己満の記録です。普段のわたしは「最高」と「天才」を感想の語彙にして生きています。



心を奪われた瞬間

幻想的な世界観の中に存在していた月の子は、強さの中に消えてしまいそうな脆さを隠してた。抜群のスタイル、端正な顔立ち、透き通る声。持ち得る全てでマリウスのアンバランスを表現したその儚さと輝きに、一瞬で目を奪われた。

それは、長妻怜央くんだった。


2020年1月24日から公演開始した舞台「DECADANCE 〜太陽の子〜」マリウス役。影を持つ月の子。

この舞台は、好きな俳優さんが所属しているグループの人が出ていること、観劇がネルケ企画のものがほとんどだったから、違うものも見てみたいと思って行った。遍歴がいろいろあって長くなるのでここでは割愛するけれど、出演している俳優さん目当てに舞台に行く機会が増え始めた時期。誰かではなくストーリーや独特な演出を見てみたかった。

だから終演後は、ああ素敵な世界観だったな、舞台って難しいけど楽しいな。そういう感想を抱いて帰るはずだった。だけど実際は違う。

世界観が今までと全然違った。ストーリーや設定はファンタジー。幻想的な雰囲気を創り出すダンサーさんがとにかく美しかった。子供から大人に変わるために捨てた希望や葛藤の表現。感じたことはいろいろある。だけど、どうしても彼だけがキラキラと輝いて見えて、頭から離れてくれない。ステージに置かれたセットの上に立つシルエット。太陽の子は大人になって希望を捨てたことで明るさを失う。対となる月の子はそれとはまた違う、幼い時からの月の色が見えた。失った明るさじゃなく、生まれた時から抱えている闇。設定からもすごく演じるのが難しそうな役で、それを表現するあの衣装と剣をもつ姿、声、表情。照明が月の光に見えるほど、心が震えていた。わたしはこのとき、彼にトドメを刺されたのだ。


記憶を遡る

怜央くんを初めて認識したのは月9ドラマ。「すごい!スタイルおばけだ!お顔がきれい!」と衝撃を受けて、光の速さで調べた。
ジュニアだった。渋谷王子は長妻怜央くんというらしい。
本人は明るい子だっていうことを知った。見た目に反してクールじゃないのも良いなあ、と思ったことは覚えている。たまたまスカッとジャパンを見ていたら、あ、あの子だ!とびっくりした。顕嵐ちゃんと怜央くんの顔面偏差値に震えた。少クラだけは昔の名残で録画し続けていたから見たりしたけれど、当時は別のジャンルでオタクをしていたこともあって、かっこいいなあと思うだけだった。


(これは余談。少クラで美勇人くんを見たとき、昔見たドル誌を急に思い出した。ちびジュがぎゅっと集まってる写真。たしかSixTONESの京本くんもいて、「美勇人」という名前があまりにも印象深くて顔も覚えていた。ダンスに華があって、しなやかだけど芯がある、すごい名前の通りに育ってる…!と感激した。たぶん彼らの中でいちばん最初に見たのは美勇人くんか、入所とメディア露出が早かった真田くんなんじゃないかと思う。時系列がごちゃまぜだから、正確には分からないけど)


わたしは元々タッキーがジュニアを率いていた時代が好きで、最終的にNEWS担になって、いろいろなことが辛くなって、6人体制での復活を見届けたあとジャニーズ自体から降りた。そのあとは色々なジャンルを渡り歩いたんだけれど、まわりの友人にジャニオタがいたこともあってなんとなく情報は入っていたし、ジュニアの活動もたまに見ていた。ジャニオタじゃないけどデビュー組のことは顔も名前も知っている。目立っているジュニアもそれなりに知っている。だから、Love-tuneのことも知っていた。でも「知っている」だけ。

わりと知名度のあるメンバーが集まっていて、バンドができること。兄組。ドラマ出演しているメンバーがいること。人気があったのに、急に露出が無くなったこと。そして退所のあいさつ。

個人で舞台が決まったこと。安井くん以外がイベントで集結したこと。レギュラー番組が始まったこと。生配信で安井くんが加わって、7ORDER Projectがスタートしたこと。

これらを情報だけをリアルタイムでキャッチして、勝手に残念がったり、再集結に感動したり。こんなに覚えていて、何かを知るたびに気にかかって、トピックを見て、だけど追いはしない。ずっと同じペースで動向だけを見ていたことが今も不思議で、もっとちゃんと見ていればよかったという気持ちと、なんとなくでも見ていてよかったという気持ちの両方がある。


辿り着くまで

2019年1月、萩ちゃんが出演している舞台を見た。「仮面ライダー斬月ー鎧武外伝ー」アイム役。プロト鎧武。

わたしは仮面ライダーのゆるいオタクでもある。オタクといいながらも本当にゆるい。好きな作品は限定されていて、その中の一つが鎧武。久保田悠来さん演じる呉島兄弟が好きだったし、虚淵監修/毛利脚本ということを知って観劇した。世界観への信頼と期待。
萩ちゃんが出るというのは知っていたけど、このときはとにかく鎧武の世界が帰ってきた喜びと、推しの龍玄(ミッチ/高杉真宙)がどうオマージュされるのか気が気じゃなくて、頭の中はほぼ龍玄。今、死ぬほど後悔している。特撮舞台特有の変身シーンもそうで、カラクリがわかっていても、いい歳をした大人が感動してしまうくらいかっこいい。あれを萩ちゃんがやっている、それだけで胸がいっぱいになるくらいなのに…、昔のわたしを正座させて説教したい。

アルトは紘汰に似ていて、でもモノマネじゃない。雰囲気とか喋り方とか声のトーン、紘汰の優しくて不器用だけどまっすぐなところ。ある意味で匂わせが絶妙で好評だったし、わたしも元が大切にされてると思ってすごく嬉しくなった。あれは萩ちゃんの真っ直ぐなところが役に通じてたんだなあって、今は違う目線で斬月を見ている。


2019年10月、真田くんが出演している舞台を見た。「PSYCHO-PASS Chapter1-犯罪係数―」宜野座伸元役。

「PSYCHO-PASS」は一番好きなアニメ。アニメ界隈は詳しくないけれど、PSYCHO-PASSは何周したか分からないくらい繰り返し見ている。舞台化すると知ったとき、正直すごく嫌だった。スピンオフ舞台は別にいい、でも原作の実写化に抵抗しかなかった。しかし、気になるのがオタクの性。詳細を見た。虚淵玄(斬月監修の虚淵)全面監修だった。虚淵が全面監修!信頼!手のひらを返して実写化を受け入れ、観劇を決めた。
主演は久保田悠来(そう、ここにも久保田悠来)で、この人は何を演じても揺るがなくかっこいい。虚淵と同じくらい久保田もある意味で信頼している。そのあと宜野座を演じるのが真田くんだと知った。並んだとき、ビジュアルもシルエットも狡噛と宜野座ではない。真田くんは演技が上手い人という認識があったから、どちらかと言えばビジュアル面で真田くんがなにか言われたら嫌だなあ、と思ったのを覚えている。わたしは宜野座に思い入れがないし、そもそも久保田さんのビジュアルも狡噛ではないので、気にするのはやめた。それに世界観の方が大事だった。

座席はちょうど一段上がった列の真ん中辺り。セットの造りによって最前列あたりは人権がないと聞いていたから、ちゃんと見えることにほっとしながら席に着いた。すごく見やすかった。見えない場所がなくて、表情はきちんと見える。推しキャラである縢秀星が生きている世界がそこにあって、とにかく動きも声のトーンもうまく再現してくれていることが嬉しくて、それだけで頭がいっぱいで、斬月のときと同じ現象が起きてしまった。縢秀星のことしか頭にない。「縢秀星が存在している世界がここにある!それだけでしあわせ!」これが舞台の感想だ。本当に語彙力がない。

宜野座を演じるのはすごく難しかったと思う。そもそも宜野座という男自体が難しい。まとめ役で真面目っぽいと思いきや感情的になることも多くて、振り回されがちで、お前は狡噛の女なのか…?と思ってしまうほど拘っていて、不憫に思えるときがある。だけどいざという時は頼りになるし、感情的な分だけ情に熱いのかなと思ったり、seasonによって見え方が変化する上に、そもそもの世界観が難解だ。狡噛に振り回される雰囲気や朱ちゃんと意見がぶつかるシーンのイライラ加減は宜野座らしさがあったように見えたし、真田くんを知るようになったあとで見ると、なんとなく宜野座っぽいのかもしれないと思ったり。あと最大の共通点もある。ふたりともめちゃくちゃ犬が好き。


そして2020年1月、デカダンを観た。のんびり蓄積されていた何かがついに溢れた日。怜央くんがトドメの一突きを刺した。

役柄や舞台の感想を含む話は果てしなく脱線してしまう気がするので、DVDが手元に届いた時にでも出来たらいいなと思う。


転がり落ちた先

観劇した翌日は仕事が休みだった。すぐにyoutubeを見た。消せないでいた少クラのデータをひたすらに遡った。気付いたら夜になっていて、まだ頭の中がマリウスを演じた怜央くんの輝きに支配されていた。

前述の通り、わたしはすぐ頭を支配される。でもこんなにも中の人に惹かれたことはなかった。声が好きだとか、お顔が天才だとか、役が優勝してたとか色々ある中で、「どこが」と言えない魅力。語彙力がないせいで厨二病みたいに「ひとりだけきらきらして見えて、目が離せなかった」としか言えないことが悔やまれる。

そのあとすぐコロナにより生活が一変した。同時にわたしの時間の使い方も変わった。月6しか休みしかない中に現場を詰め込んでいたけれど、現場がなくなった。その時間をひたすら7ORDERにあてた。

保管しておいた少クラと情報局の動画を掘り出した。先輩たちの曲を彼らのオリジナルみたいに自分たちのものにするところ。選曲や振り付け、MCで見えるキャラクター。バンドとダンスの二刀流かと思いきや、イケダンMAXを見始めたら面白いことに貪欲で、現場が無くなった喪失感を埋め尽くすほどお腹を抱えて笑った。

見続けていても飽きることがなくて、魅力が尽きない。

斬月もPSYCHO-PASSも出てたじゃん!見てたじゃん!と記憶を振り絞り、その勢いのまま、昔出演していたドラマやバラエティー番組を漁り始めて、気づけばシャボンのCDが家に届き、自分たちで梱包するというサプライズにめちゃくちゃ感動して、嬉しくて心が震えていた。この瞬間、わたしはもう沼にいるんだとハッとした。

転がり落ちてからずぶずぶ沈むまでの期間、約2ヶ月。休日は12日間ほど。どこにも行けないこともあって、ひたすらテレビに向き合って映像を見る日々。このころのわたしは仕事にやられて疲弊していたけど、7ORDERにパワーをたくさんもらって生きていた。彼らの活動を見ることが生活の一部になった。


悔やんでいることもある。もっと早くに気がついていれば、せめて舞台の配信だけでも間に合っていれば、スピンオフ作品のころにはもう存在を知っていたのに。走り始めた人たちを途中で見つけたときに思うことは大抵「もっと早く知っていれば」ということ。

だけどそんな後悔はどうでもよくなっている。彼らは昔のことを腫れ物にしないし、利用もしない。捨てずに自分たちの力として、新しいものを見せてくれるし、直接口にはしないけどほんの少しのヒントで大切にしていることが伝わってくる。全部を追わなきゃとか思わなくていい、ストレスなく自分のペースで応援してほしい、と言っていたのを聞いて、わたしはすごく嬉しくなった。仕事で全部を追うことが難しくて、気持ちが疲れて離れた経験がある。そんな自分を受け入れてくれた気がしたから。一緒にハッピーを作ろうというキャッチコピーを実体験できた気がした。


はじめての新規

7ORDERはファンの方々がすごく暖かい。拒否の色がなかった。色々な出来事を乗り越えてきていることもあって、結束力があるイメージ。結束力がかたいと、外から入りにくいというデメリットが生まれる可能性があるけれど、7ORDERのファンは違う。考え方が推しに似るのがオタクなのかもしれない。とにかく疎外感がない。バックボーンがあるグループで「そんなことも知らないの」が飛び交わないジャンルははじめてだった。

新規に「はじめて」という言葉をつけるのはおかしくて、誰だって最初は新規。ただ、今までデビュー前もしくはデビュー時から応援しているグループを推していたから、新規です!と言う立場がほぼなかった。わたしは古参と新規の争いがくだらないと思っている。推してる歴も愛だと思うし、誰にも負けない情熱も愛だと思う。古参の立場なら気にしなければいいけれど、新規としてコミュニティに入るのは過去の嫌な場面が思い出されて躊躇してしまう。

検索してみたり、youtubeのコメントを見てみたり。とにかくあたたかい言葉が多い。彼らがもっとたくさんの人に愛されることを望んでいて、そんなファンのことを嬉しそうに話すメンバーがいる。こんな治安のいいところあるんだ!と驚いた。一部に過激そうな人たちがいるのはどこでも一緒だと思っているけど、それでも治安がいいというイメージは新規を安心させる要素で、わたしはそこにも助けられながらたのしく現在進行形で沈んでいる。


はじまりの雨

7ORDERは雨に縁があり、安井くんを雨男としていることから、安井くんの誕生日にメンバー全員でプレゼントした「雨がはじまりの合図」という曲。エモさのかたまりで、再編曲して披露してくれたとき、本当にいろんな想いが詰まっているんだと実感した。

わたしが怜央くんに目を奪われたあの日は雨が降っていた。足元が濡れるくらいの雨量で、大きな傘を持って会場へ入った。帰宅時にはすっかり止んでいて、雨上がり独特のアスファルトの匂いと夜の風にあたりながら、焼きついて離れないキラキラしたあの姿を噛み締めていたのをよく覚えている。わたしにとってのはじまりは、この日の雨だったんだと思っている。