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7ORDERに救われた日

届いたのは宝物

Sabãoflower ⓒ 7ORDER RECORDS
( musicvideo @ youtube )

2020年3月6日はインディーズデビューの日。
自社レーベルから発売するCDを自分たちでひとつひとつシーリングと梱包をして届けてくれた。そのことが公開されるまで知らなくて、手にしたとき震えるくらい嬉しくて感動したことは忘れられない。

わたしはこのとき、動画を見ては彼らのことをすきになる、という日々を送っていて、ちょうど沼に落ちている間だったんだと思う。オタクとして受注生産はほしい気持ちがあるなら高額じゃない限り買う、と決めているので無意識に注文していて、無事CDを手にすることができた。過去のオタク的経験が役に立ってよかったと思える数少ない例である。


感情が動くということ

実はわたしには注文した記憶がなくて、受付期間が過ぎたと気づいた時にハッとした。舞台で怜央くんを観たあと、とりあえず調べるくせがついているので公式を確認したところまでは覚えている。なぜ頼まなかったのか信じられないと思って、ぜったい後悔するってわかってたのに、と分かりやすく落ち込んでいた。(ほんとうは買ってるのに馬鹿だな)

当時は仕事に人としての感情を奪われていて、自分でも続けるのはいい加減限界だと思っていた時期。転職活動をするのが面倒で繁忙期を理由に先延ばしにしていたけれど、他事業の業務が増えて疲れ果てている真っ最中にデカダンを観て、それをきっかけに7ORDERに転がり落ちた。このときは仕事とコロナへの不安だけ心に抱えていた。残業ばかりでたいして記憶がないのはよくあることだけど、なにより起きてる時間のほとんどは感情が死んでいて、そうすると人は何も感じないようになる。ライブや舞台でギリギリ生き返っている感覚だった。

ある日突然発送のお知らせが届いたとき、意味がわからなくて、だけど履歴を見たらちゃんとあって、メルカリへの覚悟を放り投げてめちゃくちゃ喜んだ。過去の自分を撫で回して金一封あげたくなった。たぶんオタクとしての染み付いた行動が勝手に注文していたのだと思う。今でも買ったことを全然思い出せないし、買った記憶はないのに円盤が届く現象はたまに起きているので、もしかしたら疲れてたせいじゃないのかもしれないけど。

そんなこんながあって届いたときの感動はすごい。予想を超えたサプライズ。ひとつとして同じものがない、なにより気持ちが最高のプレゼント。こんなかたちでファンに愛を届けてくれる人たちを、わたしは知らない。まだ彼らから愛を受けとっていい人じゃないのに、手にしてしまっていいの?と思ったくらい、ファンに対する彼らの気持ちに心がぐっとなった。こんなふうに愛を伝える姿を見てしまったらもう戻れない!という捨て台詞みたいな言葉と感情がぐるぐる動いて溢れ出て、うれし涙になった。涙の種類に感情がのったのはひさしぶりだった。

ファンに向けてだからこそがんばれること。仲間がいるから乗り切れること。言い出したのは自分たちだからぜったいにやり遂げること。大変だったけどやって良かったと笑ってくれること。心がゆっくりあったかくなって、わたしも彼らのようにたのしい気持ちで生きたい、ほんの少しでもいいからハッピーを創りたいと思った。

言葉にすると重いかもしれない。だけどわたしはこのとき7ORDERに救われたのだ。

繁忙期がすぎたあと、転職をした。7年間働いた会社を辞めた。辞めるのにはいろいろあったけれど、決意が固ければ動じることなくあっという間だった。わたしは給与と引き換えに、常識的な休日数を手に入れた。まずは人間の感情を持ったまま仕事をすることが目標だったけれど、彼らがガツガツ気持ちを動かしてくるので既に達成している気がする。その証拠に仕事で嫌なことがあっても、たのしい気持ちを忘れることがない。昔は感情をオフにしていたけど、今はプラスな感情で上書きしようと思えるのだ。まあ、それが成功するかどうかは別だけれど。


恩返しのかたち

彼らはよく言う。ファンに恩返しをしたい、と。去年の今日はその恩返しのひとつでもあったんだと思う。わたしは新規なので「まだ恩返しを受ける身分ではないのに宝物を貰ってしまった」と震えた。わたしが感動したのは、彼らがファンに愛を伝える姿だった。

年明けに行われた「WE ARE ONE LIVETOUR 2021」
彼らは「もっともっと恩返しをしたい」と言った。わたしはもうたくさんのものを貰ってしまっている。「返してもらう恩」なんてひとつもないのに。だけど彼らから幸せにします、たくさんのことを共有して楽しんでいこうと真っ直ぐ伝えられるたびに感情が揺さぶられて、わたしはまたハッピーをもらう。その分のエネルギーで、プラスアルファで彼らを応援しようってわくわくして、7ORDERに出会えてよかったと実感する。

わたしは彼らの恩返しのかたちがすきだ。いま行われている展示会もそう。形に残してくれる。記憶にも残してくれる。彼らが直接届けてくれる。「やりたい」という気持ちを現実にしてハッピーを届けてくれる。

いろんな活動があった中でたどり着いたメジャーデビューとワンマンライブ。規模はどんどん大きくなっているけれど、彼らの恩返しのかたちは変わらない。そんなことを思った2021年3月6日だった。