「子ども・子育て支援法」の衆議院通過について(談話)

2019年4月9日
社会民主党幹事長 吉川はじめ

1.本日の衆議院本会議において、「子ども・子育て支援法案」が採決され、衆議院を通過した。社民党は、幼児教育・保育無償化の方向を目指しているが、財源と政策の優先順位に問題があることから、政府提出法案には反対した。参議院において、法案の問題点や課題を徹底追及していく。

2.政府の幼児教育・保育無償化は、逆進性の強い消費税率の10%への引き上げに伴う税収が財源となっている。一方で、内閣府が行った所得階層毎の試算では、保育所等では今回の無償化に伴う公費負担額の半分が年収約640万円超の世帯に、幼稚園等では約4割が年収約680万円超の世帯に配分される結果になっているなど、幼児教育・保育無償化の効果は、中高所得層に厚く低所得層に薄い。消費税財源を使って高所得者に手厚く配分すれば、逆進性をさらにすすめることになる。また、政府案は、所得に関係なく逆進性が働く給食費等の保護者負担が残っている。しかし、給食は保育の一環であり、公費で負担すべきである。

3.政府案は、ベビーシッターも含む認可外保育所等も対象としている。対象施設は市町村の確認を要件としているが、経過措置の5年間、質が低くても費用補助の対象となり、質の低い施設の温存、増設になりかねない。また、保護者の利用料は補助されるものの、保育の質の向上、保育士の処遇改善に直接結びつくわけではなく、保育の安心・安全が確保できない。

4.国と地方の負担割合は、民間施設が国1/2、都道府県1/4、市町村1/4であるのに対し、公立施設は地方が10/10となっており、公立保育所の民営化を加速させることになる。

5.無償化によって、保育の需要が増え待機児童も増加し、また保育士不足も激化し混乱が予想される。一方、質の向上や保育士の待遇の改善は追いつかず、子どもの安全や健やかな育ちが脅かされかねない。2012年から無償化を始めた韓国では、2019年から0~5歳児全員に対象を拡大したが、保育士の待遇の悪さと必要な質の保証ができていないことなどから、保育所内の虐待が社会問題化した。さらに、韓国の昨年7~9月期の出生率は、世界最低水準の0.95まで低迷しており、無償化廃止論も出ている。社民党は、保育所の増設と質の向上、保育士の待遇の改善を強く求めていく。

以上

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