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深津一成という男。スラムダンク映画「THE FIRST SLAM DUNK」のここが良かった!その3。

※映画のネタバレしていますので、気になる方は読まないでください!

映画「THE FIRST SLAM DUNK」、もうすぐ興行収入100億円とのこと。
私ももう5回以上鑑賞しており、きっと同じように複数回観ている方も多いのだと思う。

鑑賞を重ねるごとにじわじわと感じるのが、今回の映画で対戦相手として描かれている秋田県代表・山王工業高校の強さだ。

原作でももちろん、「王者・山王」として十分にその強さを感じることができるのだが、それが映像になると、迫力と説得力が倍増…どころか10倍増しくらいで伝わってくる。
今回の映画で良かった!と思えるのが、この「山王工業の強さの証明」とも言える、主将・深津一成の存在だ。

映画を何度も観るうちに、深津の魅力にのめりこんでしまった。今回はその魅力について語ってみたい。

1.圧倒的ディフェンス力

もちろん原作でも、メンバー全員のディフェンスがめちゃめちゃ凄い、というのは描かれていたのだが、実際にそれが「動いている」となると、より一層「こりゃ大変だ」という気持ちにさせられる。攻め気を削がれるというのか、「抜けっこねー」と思ってしまうのだ。

原作では前半、一之倉がその執拗なディフェンスで三井をヘロヘロにさせており、あれがある意味「山王のディフェンス力」の象徴とも言えたのだが、今回は試合前半はあまり細かく描かれていなかったので、そのあたりは割とさらりと表現されていたように思う。

その代わり(と言ってはなんだが)、深津のディフェンスがエグかった。映画の主役である宮城リョータとマッチアップしているからということもあり、そのディフェンス力が存分に描かれていた。
腰の落とし方が半端ない。集中力も途切れない。

試合開始直後からまるで1点差ゲームの時のような、気の抜けないディフェンス。これは原作でも描かれているが、映像で見ると「まさに」という感じで、手に汗を握るシーンだ。

図らずも、桜木花道が初心者からインターハイのスタメンまでのし上がってきた際に「重要なのは基礎」と先輩たちから叩き込まれていた、その根拠を深津が体現しているようにも思えるのだ。

特に原作でも触れられることはなかったが、山王工業高校がその無敗神話を続けていたのは、もちろん個々のスキルもあるのだが、圧倒的「基礎力」の積み重ねではないか、と思っている。

フルで試合に出てもポテンシャルが発揮できるだけの体力を備えるために、きっと厳しい練習を続けてきたのだろう(辛すぎて合宿所を逃げ出すほどに)。
それを乗り越えて、部員を束ねる立場となった深津という男の不気味なほどの力を、このディフェンスが教えてくれているように思った。

オリジナルのシーンとして個人的に「おお!」と思ったのが、深津が床をバン!と叩いて気合を入れるところ。
あれは腰を落としていないとできないし、腰を落とすために敢えて(しんどくても)やるという側面もある。
そもそも体力がないとこんなディフェンスはできないわけで、宮城も相当プレッシャーに感じたのではないだろうか。
何よりカッコいい。

試合中、バッシュの足裏を手で拭うシーンと言い、今回「バスケ部なら分かる」という行動が随所に盛り込まれていて、それも良かった。

2.怖いくらいの冷静さ

もともと原作を読んでいた時も大好きだったのが、湘北が宮城リョータと桜木花道の「奇襲」によってアリウープを成功させ、ざわつく体育館内の中で、深津がさらりとシュートを決めたときのナレ「しかし深津は動じない」と、深津自身が発する「同じ2点だピョン」だ。
映画でも実にさらりと、当たり前のように点を決めていた。

また、試合後半で三井があきらめの悪さを発揮して3Pシュートを決め、点差が10点台にまで追いついた時にも、瞬時に同じ3Pシュートを決めて突き放している。

相手が嫌な時に、絶妙な点の取り方ができる男なのだ。

試合の中で深津のゴールが描かれているのはこの5点だけだが、深津が本来、シュート力もある選手だということも分かってくる。
(原作では「点とるベシ!…ピョン」と言ってたし。)


試合中や、湘北がハドルを組んでいる間も、じっと相手を見つめて状況を把握しようとしている。技術だけでなく、精神的な鍛練も積んでいるに違いないと思わせる描写だ。
そのくせ、深津本人はあくまでポーカーフェイス。相手に心情を読ませることをしない。
敵にしたらなんとも憎らしい選手だし、味方にしたらこれほど心強い選手もいない。

試合終盤も「気負いがねえ」と宮城をうならせる冷静なディフェンス、試合運び。深津の真骨頂だと思うが、これが映画の中で存分に表現されていて痺れた。

ちなみに試合終盤、松本が三井に対してファウルをして1点差となり、深津がメンバーを集めて何か話をするシーン。映画の中でも描かれていて必死で耳をすませるのだが何を話しているのか分からない。どんな指示をしていたのか、いつか明かしてもらえたらなと思っている。


3.意外にイケメン

山王工業の顔のいい男といえば沢北栄治と松本稔(個人的意見です)。
その陰に隠れているし、試合の中では「仕事人」的な立ち位置、そしてどこかぽわんとした表情をしていて気を抜いていたのだが、映像化されると「あれ、深津って意外にイケメンじゃない?」というところに気づいてしまった。
唇がぽてっとしていて、ちょっとセクシーさすら感じる。
坊主でイケメンなのって真のイケメンですよね。

多数の部員を束ねるだけのキャプテンシー…があると思えない、あの一見ぼんやりとした目とポーカーフェイス。
いつも冷静沈着で、メンバーの状況を的確に把握し、その時その時で最適解をはじき出し、最高のパスが出せる男。

そんな、バスケ界の至宝であり、王者の中心にいる男が、語尾にピョンをつけて日頃から監督にまでピョンピョン言っているというのが、ギャップがあって萌える。

深津一成、恐ろしい男だ。

4.まとめ

試合中は常に冷静沈着。
時には自身のチームのスーパーエース・沢北に対して「エースがやられるくらいならいないほうがいい」とまで言ってのける。

だが、試合の最後、堂本監督からゲームメイクを託された際、深津がパスを出したのは河田ではなく、やはり沢北だった

エースへの絶対的信頼。これも、王者・山王工業の強さの所以だろう。

何度も映画を観ているとついつい山王工業に肩入れしてしまうくらいには、彼らの戦いぶりに圧倒された。

王者・山王。彼らが今回の敗北をどう受け止め、どう次につなげていくのか。
沢北栄治のいない山王工業は、ウィンターカップでどう戦ったのか。
深津一成は、さらにどう成長していくのか。

「スラムダンクのその後」で観てみたいシーンの一つであることに間違いない。




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