同じ退院2

退院しました。

11月18日に最初の記事を書き、25日にその続編を書いたまま、noteではしっかり報告をしてこなかった父の病状についてですが、ようやくひと段落つきましたので、年末の時間を利用してここにまとめたいと思います。

結論からいうと、12月26日に約1ヶ月ぶりに入院していた病院を退院し、我が家に戻ってきました。現在では、以下の写真にある通り、自分の意思で歩き回り、認知能力も以前の状態にほぼ戻ったと言ってもいい状況まで回復しました。1ヶ月前の状況を考えると、本当に信じられないです。

退院してすぐ、体力回復のために5000歩の散歩を再開したようです。気持ち悪くもなく歩けるようになったと、本人も大喜びでした。


原因は「水頭症」でした。

さて、前の記事では「水頭症の疑い」と書いたままになっていましたが、その後の経過としては、まず11月27日に水頭症かどうかを判断するテスト(髄液を抜いてみて経過を観察する治療)を行いました。

その結果、それまでは歩行障害(というより、ほぼ寝たきりで起き上がるのも自力では無理な状態まで悪化していました)、失禁、認知症などの症状が出ていた父が、数日以内に歩行できる状況にまで回復。その数日で認知機能もほぼ正常化し、トイレも自分でできるようになるという劇的な回復ぶりに、家族も本人も、いい意味で唖然としてしまったほどです。本人としては「あの時は、もうろうとした頭の中で、もう無理だろうと思っていた」という中での回復ですから、相当嬉しそうでしたし、僕らも本当によかった、原因がわかってよかった、と心をなでおろしていました。

12月3日頃の写真。自力で起き上がれたり立てるようになって、顔に生気が戻ってきた感じでした。


その結果をもって「これは間違いなく水頭症が原因」だということになり、一時的な治療による症状の改善を継続的なものにするため、12月6日にシャント手術を受けました(シャント手術については、11月25日の記事にその概要を書いています)。

シャント手術後は、再び体調が悪化し、異常な発汗や嘔吐、首の激痛などに悩まされていた時期が少し続いたものの、それも適応する上での一時的なもので、12月19日頃には30分程度は二足歩行の姿勢を保てる状況にまで回復。そして、冒頭に書いた通り、先日12月26日に退院することができました。おかげで、当初目標にしていた「年末年始は家族揃って過ごす」ことが実現できそうです。

倒れてから入院期間中はほぼ運動をしていなかったため、足の筋肉が相当弱っていますが、退院してからの数日間で少しずつ散歩を再開し、昨日今日は1日7000-10000歩歩けるまでに回復しています。運動を再開したことで、筋肉の痛みや張りはかなり改善に向かっており(一方で久しぶりの運動なので変なところが筋肉痛になるようです)、食欲もどんどん回復してきています。

ようやく元の父に戻りつつあるな、という実感を持てるところまできました。


今後もまだまだ治療は続きます。

今後は、シャント手術をする前に行った脳腫瘍の放射線治療の結果を見つつ、今回の病気の根本原因になった聴神経腫瘍をどうするのか、そこに向き合っていく必要がありますが、まずは日常生活を回復し、本人の気力も戻ったところで、次の治療の選択肢を考えていくことになるのかなという形です。まだまだ、病気と向き合う日々は続きそうですが、まずはここまで戻れたことに、一安心という状況です。


お世話になったみなさまへ

今回の父の治療に際しては、本当にたくさんの方からの支援や情報提供をいただきました。もっとも感謝しなければならないのは、今回の主治医として本当に丁寧に家族や本人に向き合ってくれた高校の後輩でもある込山先生や、手術を担当いただいた笹口先生ですが、ウェブを通じて、様々な形でご心配いただいたり、情報をいただいた方々から、治療を選択する上での貴重な判断材料や、医療の現場でのコミュニケーションを行う上での留意点について教えていただきました。

結果としては、水頭症という、そこまで稀ではない病気だったわけですが、水頭症の方でも、今回のように専門分野が違う科での診療で見過ごされたり、そもそも通常の認知症だと家族が思い込んで放置されてしまうこともかなり多いそうです。病気の原因究明や治療を進めていく上では、病院の体制面はもちろん、患者やその家族側の主体性や本気度が問われるのだなと、今回の治療を通じて感じました。

私個人としても、今回の治療を通じて両親と話をする時間が増えたり、福祉や医療の現状に触れ、その課題や素晴らしさの一端を理解することができたり、今後の長い人生にとっても大きな意味のある学びを得ることができました。

まだ根本原因である聴神経腫瘍が頭の中にあり、今後も治療は継続していきますが、多くの方から情報をいただいき解決を目指していた父の病状についてはひと段落ついた形ですので、この記事をもって、父の病状の報告も一区切りつけたいと思います。

今回の治療で得たこと、考えたことを今後に生かしていけたらと思いますし、一連の記事を見て、何か感じていただけたことや参考になることがあった方がいたとしたら、それも嬉しく思います。

最後になりますが、改めて、今回の父の病気に対する多くのご支援やご協力をいただき、本当にありがとうございました。おかげ様で、ようやくここまでくることができ、安堵と感謝の気持ちでいっぱいです。本当に本当に、ありがとうございました。

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