見出し画像

11/25時点での父の病状について

父(大宮登)に関する先日の記事について、予想以上の方々からフィードバックやアドバイスをいただきました。僕も含めてみんなパニックになり、適切な助言を得られておらずにどう進めばいいのかわからなかった家族にとって、本当にたくさんの道標をいただきました。この場を借りて、感謝の気持ちを伝えさせてください。本当に、本当にありがとうございました。

アドバイスいただいた方々や父の教え子の方々、仕事仲間の方々などから、「その後どうなったのか」「心配です」というメッセージや電話をたくさんいただくので、11月25日現在の状況について、自分の整理のためにも、私の把握している限りで以下に書いてみたいと思います。

また、あまり客観的にはなれていないのですが、これまでのことを振り返って、今自分なりに感じていることについても、最後にちょっとだけ書き留めておきます。


現在は入院し、今後に向けた検査を受けています。

前回の記事は11月18日に書きましたが、その後も症状がどんどん悪化していたので、20日には放射線治療を受けていた高崎総合医療センターに緊急搬送を受けて入院させていただきました。

前回の記事を見て、検査や入院する場所について、放射線治療の経緯もあり「高崎総合医療センターでいいのか」というご意見もいただいたですが、長期的な戦いになることを考えると、①複数の医師の友人から現在の治療現場との断絶は避けた方がいいというアドバイスをいただいたこと、②車がない父母にとっては実家の近場の病院で先端医療を受けられる総合病院がいいだろうと判断したこと、また、一番大きかったのは、③前回の記事を見てすぐにfacebookで連絡をくれた高校の後輩(生徒会で一緒に活動していた後輩)が、今年から高崎総合医療センターの脳神経外科に医師として勤務していて、親身に相談に乗ってくれたことなどが判断材料になり、引き続きセンターでお世話になることにしました。

結果、今の父の担当医は高校の後輩になったわけなのですが、一緒に文化祭とかやってた後輩に「〜先生」っていうのは、なんとなく変な感じではあります(笑)

でも、とても頼もしく、なんでも相談できることで両親も少し安心したようです。父が入院して少し自分の時間が取れるようになったことで、母もようやく眠れるようになり、家族の状況も少しバランスが取れる状況になりつつあります。


症状の原因について(水頭症の疑い)

状況が悪化している原因については、入院以降病院側で検査が続いていますが、MRIの画像診断や症状の出方からすると、聴神経腫瘍の影響による「水頭症」の可能性が高いのではないか、とのこと。放射線治療と現在の症状との関係性は不明のようですが、「聴神経腫瘍などの脳腫瘍の患者にはよくあること」とのことでした。

よくあることならもっと早く知りたかった、、、というのが正直なところではありますが、状況が悪くなってからすぐに脳神経外科を受診しなかった患者や私たち家族の責任もあると思いますし、忙しい病院や医師にそこまでの主体的な分野連携を期待するのは酷ではないかとも感じています。やはり、原因がわからない症状が出れば、信頼できる医師に相談しつつ、いろいろな専門医に見てもらうことが本当に大切なのだな、と実感しています。

水頭症は、このリンクに詳しくあるように、脳脊髄液が脳室に溜まってしまい、脳を圧迫して起こる症状なのですが、水頭症の3大症状と言われているのは、①歩行障害、②認知症、③失禁なのだそう。

これはまさに、父がこの10日間で急速に体調が悪化し経験した症状そのもので、家族としては今の時点では「これだ!」と感じています(信じている、という方が正しいかもしれません)。実は、前回の記事を見ていただいた数名の方から「水頭症ではないか」という連絡もいただいており、事前に調べておいたことで医師とのコミュニケーションもスムーズにできました。

水頭症の原因(なぜ起こるのか)ということについては諸説あるようですが、ざっくり以下のような説明を受けました。

まず、聴神経腫瘍は小脳にくっつく形でできている(顔面神経なども接している)のですが、腫瘍はタンパク質でできていて、脳室や脳幹を満たしている脳脊髄液に触れているので、腫瘍から滲み出てきたタンパク質により、脳脊髄液のタンパク質濃度が高まるのだそうです。

そうすると、脳脊髄液の浸透圧が上がる ー つまり、脳脊髄液のタンパク質濃度が上がる ー ことで、他の部位からそれを薄めるために、さらに髄液が脳室に集まって、結果として脳室を満たす脳脊髄液が多くなってしまい、脳を圧迫するようになる、という状態になるそう。これが水頭症なのだそうです。

先ほどのリンク先にあるように、水頭症の方の脳は、脳室の大きさが広がっているのがMRIの画像などでもよくわかるのですが、主治医によると、脳の直径の30%を超えると画像診断で水頭症の疑いあり、との診断を受けるようです。

父の場合は脳梗塞の再発防止のために、血液をサラサラにする薬を服用していたので、その効果が切れるのを待たないと(薬を絶って一定時間が経過しないと)、手術も含めた治療ができない状況にあるので、現在は、脳梗塞の兆候を注視しつつ、薬が切れるのを待っています。


今後の治療のプロセスについて

今後のプロセスとしては、まずは27日に水頭症かどうかの検査を行い(脳から腰まで伸びている脊髄液を30ccほど抜くことで、症状が改善するかどうかを見る検査)、その後の経過を踏まえて、水頭症が歩行障害等の原因であると判断できれば、シャント手術と言われる、脳脊髄液を一定程度に保つためのパイプ手術を行うことになるそうです。

以下のリンクに上がっている水頭症の症状改善例の動画を見ると、まさに現状の父のような状態から、シャント手術後にピンピン歩いている方々の状況をみることができます。月並みな言い方になってしまいますが、医療って本当にすごいなぁと感じますし、こうなって欲しいと切に願うばかりです。

http://www.inph.jp/movie.html

もし水頭症だった場合には、シャント手術により、認知や歩行障害などの症状が回復する見込みは80%以上とも言われており、家族としては、このシナリオになることを祈るような気持ちで待っているところです。

とはいえ、シャント手術は、脳脊髄液の生成と吸収のバランスが崩れている現状に対する対処療法でしかない部分もあり(もちろん、それが今は一番優先課題ですが)、根本的には聴神経腫瘍(脳腫瘍)が脳にあることが問題なので、放射線治療の効果がどの程度出てくるのか、または出てこないのかを見ながら、今後、外科手術の選択肢も含めて、セカンドオピニオン、サードオピニオンを受けにいくことにしています。

また、父の場合は左側(左手、左足)に症状が強く出ているので、水頭症以外にも何か原因があるのかも、今後の状況によっては考えなければならないと思っています。


見通しは立ちつつも、、、

いろいろ見通しは立ちつつあり、家族としても安心したい気持ちでいっぱいなのですが、実際の父の現状を直視すると、入院後数日しか経っていませんが、(入院して疲れているというのもあると思いつつ)認知症は明らかに進み、時間感覚は、どんどんおかしくなっています。自分の状況を説明することも難しいと本人も言っていて、とても辛そうです。

それでも、子供や孫がくると、精一杯元気そうに明るく居ようとしてくれていて、本当にこの人は強いなと、、、。どんどん判断能力がなくなっている中で、息子としては、父の代わりになりつつ、精一杯支えたいというのが率直な今の気持ちです。

その後どうなったのか、親父は大丈夫か、など、いろいろと心配のメッセージをいただいていますが、現状としてはこんな状況ですので、引き続き、お見舞いなどは(父からの直接の連絡がない限り笑)ご遠慮いただき、治療の経緯を見守っていただけたら幸いです。


最後に

この間、病院と実家を何度も往復しながら感じていることを書き留めておきます。

まず感じているのは、「患者やその家族は、主体的な治療に向けた心構えが必要」なのだということ。どうしてもお医者さんというと、なんでも知っていそうに感じてしまいますが、医療が専門分化されている中で、お医者さんの中でも得意分野が違うという前提を、患者やその家族は持たないといけないんだなと、当たり前のことながら、強く感じています。

複数の分野の医師が一人の患者のために連携し常に情報交換する状況を作るのは、もちろんそうはなって欲しいと思いますが、客観的に考えて、これだけ患者が多い状況において、そういう現実を作っていくのは、よほど主体的な医師でなければ難しいとも思います。だからこそ、患者側の生存戦略として、いろいろな選択肢を考慮しながら行動していくことが大切なのだと感じています。

それにも関連しますが、「信頼できる医師を複数持つこと」、もっといえば、そういうお医者さんとの関係性を平時から作っておくことがとても大切だということ。何かあったときに、違う分野に詳しい医師の友人を複数持っていると、すぐに相談ができ、幾つかの可能性を検討する状況ができる、そして、そういう状況ができればまずは少し安心できて冷静な判断ができるということが今回の実感です。

こういう状況になって初めて自覚したことは、自分の周りには医者や医療関係の方が多いということ、にもかかわらず、何かあったときに誰に相談すべきかを考えていなかった、ということでした。自分自身が大きな病気になったことがなかったからか、高校時代や大学時代にお世話になった、親しくしていた先輩や同級生、後輩が医者や看護師として現役バリバリに働いているという事実が全く頭の中にインプットされていなかったことに気づきました。今後何かあったときには彼や彼女に相談しようという状況整理をすることができたのは、個人的にとても心強いことでした。

一方で、自分の場合は学生時代に医学部の友人との交流があったりと、自然とそういう関係性が作られていたけれども、友人に医療関係者がたくさんいるという状況ではない方も少なくないと思います。何かあったときに、気軽に相談できる町の診療所が、まさにこの「ハブ」機能として重要な役割を担っているのだろうなと思いつつも、医師でなくても、そういう情報に詳しい方を周りで(日頃から)探しておくことが、いざという時にとても頼りになるように思います。僕も、今回をきっかけに、ぜひ知人やその家族に何かあった時の相談に乗れたらと考えています。

それから、基地となる病院を持ちつつも、難しい判断についてはどんどん情報をオープンにして、セカンドオピニオンを取りに行くことも重要だと感じました。幸いにも、治療の経緯や診療に関するデータは、紹介状があれば他の病院でも共有可能で、本人が行かなくても画像診断などはしてもらえるようです。自分が医師だったとしたら、患者のために一生懸命治療しているところで「他の病院にも話を聞きに行きたい」と言われたら、率直にいやだと感じると思うのですが(笑)、幸いにも現在の担当医は柔軟に快く対応してくれているので、とても助かっています。

患者やその家族としては、こういう「医療を開く」ことに協力的な担当医を見つけて、どんどん治療を開き、信頼できる複数の医者や家族と一緒に相談しながら意思決定をしていくことが大切だなと、改めて感じています。


最後は蛇足ではありましたが、現状はこのような状況です。多くの方のご支援に家族一同本当に感謝しています。また逐一状況報告いたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?