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2030年に向けた二刀流のSDGs推進支援手法に関する研究報告書(2021年度)

  1. 事業の背景・目的
    2015年に国連で、国際社会全体が2030年までに取り組む「持続可能な開発目標(SDGs)」が示されました。現代を生きる私たちはさまざまな環境問題や社会問題に直面しています。持続可能な社会づくりは、将来の私たちの生存にも関わり、当事者としてSDGs実現に向けた行動が求められています。
    国連は2030年までの10年間を「行動の10年」と位置付けており、各企業は2030年に向けて能動的かつ具体的な行動を起こし、SDGsの活動を「ホンモノ」の取り組みへと進化させていく必要があります。しかしながら、中小企業の実態としては、取り組み方が分からない、もしくは見せかけだけの取り組みに終始し、停滞や行き詰まりに陥っている場合が多いと想定しました。
    本年度は、①SDGsに関する企業の能動的取り組みを促し、“ホンモノ”へと「進化」させる上での課題や対処方法を探る、②埼玉県協会に属する中小企業診断士として、企業へ「SDGsの取り組み」に対する考え方をレクチャーできるようになり、中小企業の経営革新に向けた伴走型支援が可能となる礎をつくる、を目的として調査・研究事業を企画し、県協会から採択されました。

  2. 実施内容
    (1) 研究会にチームを編成
    当研究会所属の13名の県協会員でチームを編成し、調査・研究事業を実施しました。
    (2) SDGsの動向
    SDGsの概要を示した上で、各種の統計や調査結果を用いて中小企業における認知度や取り組み状況について記述しました。さらに、SDGsの取り組みを進化させる上で障害となる状態(「キャズム」:溝)が存在することを示し、それらの状態を乗り越える方法について仮説を展開しました。(報告書第2章)
    (3) 企業へのアンケート
    経営革新計画や環境SDGsなどに取り組んでいる県内中小企業から、無作為に抽出した先にアンケート票を送付し、46社から回答をいただきました。回答結果は統計処理を行い、示唆を導き出しました。(報告書第3章)
    (4) 企業へのヒアリング調査
    企業アンケートに回答いただいた企業のうち14社を選定し、アンケート結果では把握しづらい内容を補完することを目的として、ヒアリングを行いました。(報告書第3章)
    (5) 中小企業診断士の支援についての提言
    SDGsの取り組みを「ホンモノ」の取り組みへと進化させるための課題、中小企業診断士による支援のあり方について提言しました。(報告書第4章)

  3. セミナーの開催
    調査・研究事業の成果報告の場として、セミナーを実施しました。当日は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、オンライン開催となりました。
    中小企業者や中小企業診断士を中心に多数の申込みがあり、参加者は企業講演、調査報告及びパネルディスカッションに熱心に耳を傾けました。

4.まとめ
SDGsは漠然と取り組んでいれば良いものではなく、2030年に達成することが必要です。調査・研究チームでは、各企業が、ビジョンや経営理念をもとに2030年に向けたSDGsの目標を持ち、経営計画に組み込んで具体的に実行していくことが必要であると考えており、これを「ホンモノ」の取り組みと定義しました。人類共通の理念である持続可能な世界の実現を目指して、共に取り組んでまいりましょう。
本調査研究結果が、中小企業診断士による企業支援の場で活用され、中
小企業の存続、発展のお役に立てることができれば幸いです。

報告書概要 と 報告書は以下よりダウンロードいただけます。