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【SD】新守護神の誕生~ロベルト·スアレス~

パドレス担当のテルチカです。

サンディエゴ·パドレスは日本時間6月4日時点で32勝31敗の勝率.508で地区2位、ワイルドカードでは2位にランクインしています。

相変わらず勝率.500をうろついているパドレスですが、予想以上の活躍を見せている選手がいます。抑えのロベルト·スアレスです。

昨年まで抑えを務めたジョシュ·ヘイダーがFAで抜けた中、抑え投手の確保は急務でしたが、スアレスがその穴をしっかり埋めました。


去年までの投球スタイル


去年まではファストボールに加えて、チェンジアップを含めた3ピッチで抑えていました。このチェンジアップは阪神在籍2年目から投げ始めて伝家の宝刀の名に相応しいボールです。

打率.085(70-6)/長打率.142/whiff率38.9
(22年~23年)

上の通り過去2年間で素晴らしい成績を残しています。球質の良い直球と素早く落ちるチェンジアップは正に脅威でしかありません。特に左打者は外角低めに投げられたらもう太刀打ちできないでしょう。

↓2022年のNLDS、左打者のLuxに対して外角低めのチェンジアップで併殺に打ち取ったシーン

では今年はどうなんでしょうか?

今季の内容

25試合(26イニング)
ERA 0.69、FIP 2.98、WHIP 0.73
 24三振、6四球
K%25.5、BB%6.4、HR/9 0.69

今季は未だに防御率0点台を維持、5月は12登板/7セーブ/防御率0.72でNLの月間最優秀リリーフ投手に選出されました。

そのスアレスを支えるのがファストボールで今年は全体の91%を占めており、超絶脳筋ピッチングで打者を翻弄しているのが読み取れます。

そのファストボールに多くの打者が振り負けていることが打球傾向にも表れています。

GB% 43.8→50.0→34.4
FB% 25.7→25.7→37.5
PU% 4.8→4.1→12.5%
引っ張り方向 31.4→40.5→26.6
センター方向 36.2→29.7→39.1
逆方向 32.4→29.7→34.4

(22年→23年→24年)

引っ張り方向には26.6%とリリーフ(20IP以上)では9番目に小さい数値と、今まで引っ張れていた球がセンターから逆方向にしか打てないようになっています。またフライを多く打ち上げるようになり特にポップフライ率は昨年から8.4ポイント上昇と物凄いupを見せています。
ここまで力負けしている要因を更に深掘りしていこうと思います。

分かっていても打てないストレート

上でも述べた通り今年はストレートを80%弱と物凄い割合で投げています。理由は簡単でこのボールで大抵抑えられるからです。

もちろん決め球でも今年はほとんどストレートしか投げていません。そのストレートは様々なデータで良化の一途を辿っています。

投球割合 44.7→38.1→79.3
打率 .219→.211→.129
球速 97.9→97.7→98.6(上位2%)
打球速度 90.0→92.3→88.5
回転率 2307→2363→2435
長打率 .375→.395→.186
Chase率 26.5→21.3→31.9
Chase Miss率 22.5→15.4→29.7
スイング率 48.6→52.6→56.9
ポップフライ率 5.7→4.2→13.7
Run Value +2→+1→+9(上位3%)
stuff+ 128→129→138
Active Spin% 94→95→96

(22年→23年→24年)

コンパクトなフォームから平均160km/h、高スピンで放たれるストレートは被打率.129(70-9)とほとんど打たれておらず、run value(得点価値)も+9とリリーフでは4番目に高い数値です。

2023年
2024年
ファストボールのスイングチャート
ファストボールの空振りチャート

それにプラスして昨年と比べてコマンドが纏まっていること、質の高いストレートを高めにゾーン内外関係なく投げ、空振りを誘発していることも大きな要因だと考えています。

つまりゾーンの真ん中から高めにかけて投げられるストレートに対して、打者はフライボールを打ち上げようとスイングするも力負けしてしまうのです。どのカウントでも変わらず投げられるので打者は分かっており、K%は低下するものの打たれた長打が2本だけなのは凄いです。

また球質が安定したおかげで、どう軌道を描くのかが想像しやすく投げるべきコースに投げ込んだことで、リリースポイントが安定する相乗効果を生み出しているのも大きいと思います。

2023年リリースポイント
2024年リリースポイント


サムネイル引用

データ引用


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