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青春短編声劇台本集

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ポッドキャスト配信中 https://anchor.fm/story-office オリジナルの短編声劇台本(短編ラジオドラマ・ボイスドラマ)作品集です。 想定尺は140秒を基本…
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#ラジオ

【声劇台本】065「水たまりフィロソフィー」

「水たまりフィロソフィー」 ■人物 森下計くん(16)高校1年生。 安達未来ちゃん(16)高校1年生。 ■本編 森下のMO「雨上がりの下校時刻。校庭で水たまりをじっと見つめる君がいた。また不思議なことを考えているのだろうか……」 森下「安達、今日は何してるんだ?」 未来「森下君。お疲れー」 森下「お疲れー」 未来「水たまり見てたんだよ」 森下「へえ。水たまり? 何か発見あった?」 未来「うん。水たまりって不思議なの!」 森下「え? なにが?」 未来「だって……水が平面的

【声劇台本】064「フライング・クッキー」

「フライング・クッキー」 ■人物 鈴ちゃん(16)高校1年生。 衛藤くん(16)高校1年生。 ■本編 鈴のMO「秘かな恋心に火を灯す2月。クッキーを焼いた。手作りだ。本命の彼に渡す前に、私は幼馴染みの衛藤を呼び出した」 衛藤「鈴。俺に頼みって何?」 鈴「あのさ、衛藤。毒味係やってくれない?」 衛藤「毒味係って?」 鈴「クッキーの味見!」 衛藤「何? 作ったの?」 鈴「まあ……。2月だし」 衛藤「不器用なお前がお菓子作りねえ」 鈴「だから。味見して」 衛藤「無理!」 鈴「

【声劇台本】063「世界の片隅ワンダーランド」

「世界の片隅ワンダーランド」 ■人物 井上くん(17)高校2年生。 尚子さん(17)高校2年生。 ■本編 尚子のMO「地学準備室が私たちの集合場所。扇風機が回る暑い夏の午後。今日も君は地球儀を回して。その回転を止めるのが私の役目だ!」 尚子「次! アメリカ!」 井上「え? アメリカ? 広すぎるよ。もっと正確に言うと?」 尚子「ええと、指差した場所は、アメリカの……カルフォルニアかな?」 井上「カルフォルニアかあ……カ行……カ行」 尚子のMO「君は百科事典を開いて。カル

【声劇台本】062「ポストイット関係論」

「ポストイット関係論」 ■人物 亜希子ちゃん(17)高校2年生。 野木くん(17)高校2年生。 ■本編 亜希子のMO「あなたと私の関係に名前はまだない。教室の隅っこで机を並べて、私たちのキーワードをポストイットに書き出して分類整理してみた」 野木「手軽」 亜希子「気軽」 野木「身近」 亜希子「距離感」 野木「最適」 亜希子「居心地」 野木「親近感!」 亜希子「意地悪」 野木「ゆったり」 亜希子「のんびり」 野木「すっきり」 亜希子あ「さっぱり」 野木「ピッタリ?」 亜希

【声劇台本】060「ツバメは自由な空を夢見るか」

ついに60本到達。次第に、少女漫画系胸キュン路線から色々な青春の形に変化しつつある作品の流れも感じていただけると面白いかと思います。 「ツバメは自由な空を夢見るか」 ■人物 久志君(17)高校2年生。 野沢さん(17)高校2年生。 ■本編 久志君のMO「ツバメのように大空をびゅーっと風を切って飛び回れたなら。このパシリの人生のしがらみから、少しは自由になれるだろうか」 野沢さん「またパシられてんの?」 久志君のMO「校舎の端の自販機で大量のペットボトルを抱えている僕

【声劇台本】058「昼下がりの天使様」

突然ですが、みなさんは電信柱にぶつかったことはありますか? 私、リアルにあるんです。そうです。ドジっ子なんです。今日のお話にはそんな実感も込めました。コメディです。では早速どうぞ! 「昼下がりの天使様」 ■人物 三好くん(17)高校2年生。 秋元さん(17)高校2年生。 ■人物 三好くんのMO「いつもと違う、ポニーテールの秋元さん。学校と違って、急に大人に変身したみたいで、綺麗で、とても綺麗で……僕は、気づいたら、電柱にぶつかっていた!」 秋元さん「(心配して)三好君

【声劇台本】057「雑魚と人魚と夏の空」

「雑魚と人魚と夏の空」 弱いけど、正義感のある男子くんと、強い強い女の子のお話です。 ■人物 修司君(16)高校1年生。 寺山さん(16)高校1年生。 ■本編 修司くんのMO「この高校で寺山さんは誰よりも泳ぐのが速い! 僕の中のダントツヒロインだ! それなのに。寺山さんを魚みたいってだってバカにして笑う同級生たちがいた。だから僕は! そいつらに殴りかかった!」 寺山さん「無茶なことしてバカみたいー」 修司くんのMO「中庭でボコボコにされ、倒れている僕を、寺山さんが校舎

【声劇台本】055「秘密にロックンロール」

誰にだって秘密はある!? 「秘密にロックンロール」 ■人物 愛ちゃん(16)高校1年生。 永井くん(16)高校1年生。 ■本編 愛のMO「女子高に通う私に友達の女子たちは言う。小食で女子力高いよね、とか。バイトばかりで苦労しているね、とか。でもね! どれも不正解! みんな本当の私を知らないのだ!」 愛「ライブのチケット獲れたってホント!?」 永井「まあな。なぜかまた当たった」 愛のMO「カフェで中学の同級生の永井からチケットを受け取る。またライブに行ける! ホント生

【声劇台本】054「恋扇子」

「恋扇子」 ■人物 河野さん(16)高校1年生。 持田君(16)高校1年生。 ■本編 持田君のMO「梅雨の間の珍しく雨が上がった放課後のことだった。からになった教室で、僕は君が机に忘れていった花柄の扇子を手に取っていた」 河野さん「持田君? 何してるの?」 持田君「こ、河野さん!」 河野さん「あっ。それ、私の扇子?」 持田君「い、いえ、これは僕のです!」 河野さん「河野君の? 花柄ピンク?」 持田君「はい……」 河野さん「すごい!」 持田君「え?」 河野さん「私とお揃いだ

【声劇台本】053「雨の日ファイター」

雨の日は、逆に頑張っちゃう! そんな女の子の物語。 ■人物 小松瑠璃(17)高校2年生。 滝沢真司(17)高校2年生。 ■本編 瑠璃のMO「嵐でも台風じゃないから休校にならない。そんな最悪な日は、牛乳を一気飲みして気合を入れる。皆勤賞の私にとって、このくらいの雨、どってことない! 通学は、勢いで乗り切る!」 滝沢「小林おはよ!」 瑠璃「滝沢君も、はやいね」 瑠璃のMO「教室にはまだ滝沢君しか来ていなかった。あれ? まさか休みになったとか? それともみんなズル休み!?」

【声劇台本】051「ゴミ捨てフレンズ」

■人物 坂井花音(16)高校1年生。 渡辺良平(16)高校1年生。 ■本編 花音のMO「私の心はどこか腐っている。高校生なってしまったけれど、毎日、死にたくなるのを止められない。そんな私のことをクラスの人間たちは、ゴミ係り。と呼ぶ。今日も掃除が終わって私はゴミ箱を持って集合ゴミ捨て場へ向かった」 渡辺「坂井! 俺もゴミ捨て手伝うよ」 花音のMO「私のあとを、一人の男子が追いかけてきた」 花音「え? 誰ですか……?」 渡辺「クラスメイトの渡辺」 花音「一人で大丈夫ですの

【声劇台本】050「反世界メガネ」

強気の理生ちゃんと弱虫の岸田君の二人が織り成す、少し尖がった物語!? さっそくどうぞ! ■人物 宮本理生ちゃん(17)高校2年生。 岸田君(17)高校2年生。 ■本編 岸田君「宮本さん、ゴメン!」 理生のMO「そう言って、岸田君が私のメガネを取った。それが男子の間での罰ゲームだって事、わかっていたから。私は抵抗しなかった」 理生のMO「世界は腐っている。休み時間は地獄だ。胡散臭い友達トーク。ああ、聴いているだけで耳が腐る……。え? 無視されている私は可哀想? なんで

【声劇台本】049「なりきってゴースト」

もうすぐ夏本番! 夏と言えば、怪談に肝試し! 私は怖いの苦手です。 なので、今日のお話も怖くはありませんよ!(笑) ■人物 日野孝君(16)高校1年生。 本多芽依さん(16)高校1年生。 ■本編 日野君のMO「夏の夜。僕は墓地にいた。クラスの肝試し大会が強制参加なんて……。教室の隅でボッチな僕は案の定、お化け役を押し付けられた。他の男子たちはみんな意中の女子との急接近を狙ってギラギラしてて気持ち悪い。色恋皆無な僕にはお化け役が適役なのかもしれない……」 本多さん「日野

【声劇台本】048「タナバタ・ディスタンス」

今日は七夕ということで。声劇も七夕をモチーフに一本書きました。 さっそくどうぞ! ■人物 薫ちゃん(16)高校1年生。 森本君(16)高校1年生。 ■本編 薫のMO「好きな人に好きだとわかってもらうことってなんでこんなに難しいの! もう7月なのにぜんぜん進展しない! 一歩も先に進めない! なぜなんだーっ!」 森本「七夕、何か願い事した?」 薫「ううん。小学生以来、願い事なんて全然してないなー」 森本「俺も」 薫「夢がないね、私たち」 森本「確かに」 薫のMO「高校で