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青春短編声劇台本集

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ポッドキャスト配信中 https://anchor.fm/story-office オリジナルの短編声劇台本(短編ラジオドラマ・ボイスドラマ)作品集です。 想定尺は140秒を基本…
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2019年4月の記事一覧

【声劇台本】012「春チョキ!」

今日も胸キュン!  90秒ドラマをお届けです。 <配役> 砂川君(16)高校2年生。男子。 森さん(16)高校2年生。女子。 ―――本編――― 砂川君のMO「俺たちの事をいつまでも春は待っていてくれない。そう気がついたから、春をつかみに行くしかないって! そう思ったんだ。学校からの帰り道、俺は全力ダッシュで君を追いかけた」 砂川君「(息を切らして)森さん!」 森さん「あれ? 砂川君? どうしたの?」 砂川君「(呼吸を整えて)いや、その……やっと追いつけたから!」 森さ

【声劇台本】011「朝、6時50分」

<配役> 少年:望月君 少女:美島さん ―――本編――― 少年のMO「一瞬が永遠に感じられる時がある。それは朝、6時50分。僕にとって胸高鳴る秘密の時間だ」 少年のMO「毎朝、駅につくと、僕は決まって美島さんの姿を探す。美島さんは違う高校に通っている同じ中学出身の女の子。中学時代、一度も話たことはないし、向こうが僕の事を知っているかも実は怪しいのだけれど、遠くに彼女の姿を見つけると、なんだか一日が動き出す気がするんだ」 少年のMO「美島さんの事が気になりだしたのは、中

【声劇台本】010「雨」

90秒声劇。 今日は少しダークな世界観をお届けです。 <配役> 少年(14) 少女(14) ―――本編――― 少年のMO「激しい雨が降る街中を僕は走った。走って。走って。君を探した」 少年「どうか死なないで!」 少年のMO「君が発していたSOSにもっと早く気付いていたら。気が付けていたら。手遅れになるなんてことなかったんだ。それなのに、どうしてあんなひどい事、君に言ってしまったんだろう……。最悪の想像が僕の脳裏を駆け巡った」 少年「絶対に君を救うんだ!」 少年のM

【声劇台本】009「恋愛迷子」

今日は不器用社会人の恋愛ドラマです。 <配役> 女(25)会社員 男(25)会社員 ―――本編――― 女のMO「気がつけば仕事終わりに毎日あなたと待ち合わせ。一緒に飲みに行くのが日に日に待ち遠しくなるなんて思ってもみなかった」 男「好きな人とかいないの?」 女のMO「居酒屋で。あなたの直球な質問に一体何て答えたら正解なんだろう!?」 女「好きな人ができたら一番に報告いたします」 女のMO「あっ! 間違えた! これじゃあ、あなたは恋愛対象じゃありませんって、線を引いたと

【声劇台本】008「ひなたに咲け! 出会い篇」

<配役> 女子:宮坂ひなた(15)高校1年生。 男子:山本君(15)高校1年生。 ーーー本編ーーー 女子のMO「4月。宮坂ひなた、ついに高校生になりました。遅咲きの桜が咲く真っ直ぐな道を、新しく買ってもらった自転車に乗って全速力で駆け抜ける。意地悪された時代はもう去った。これから新しい私の歴史が始まるんだ。そう思うと自然と胸の鼓動が高鳴った」 女子のMO「高校到着! 教室に入る。時刻はまだ7時前。早く着きすぎちゃったかな、と思わず大きなあくびがでた。だけど、その時、私は教室

【声劇台本】007「さくら色の道」

<配役> 女子 男子 ―――本編――― 女子のN「学校の帰り、君と並んで歩く道がどこまでも続いてほしいなんて。そんな願い事、最初から叶うわけなかったんだ」 男子「こうやって一緒に帰るの、今日で終わりにしよう」 女子のN「そう切り出した君の後ろで、満開の桜の花が散り始めていた」 男子「俺、告白したから……ちゃんと告白できたから。今まで恋人のフリなんかさせて、ごめん……」 女子「そっか……うまくいったんだ。よかったじゃん!」 男子「だから、ごめん……」 女子「謝るのはずるい

【声劇台本】006「愛を葬る日」

サスペンスタッチで書いてみました。 BGMは「Lemon」(米津玄師)のイメージです。 <配役> 女 男 ーーー本編ーーー 女「あなただけを愛していたかった」 男「本当に俺が悪かった!」 女「あなただけの愛がほしかった」 男「許してくれ!」 女「それなのに……」 男「頼む!」 女「どうしてあなたは私を裏切ったの?」 女「どうして私を裏切ることができたの?」 女「ねえ。どうして!?」 女のN「絶望は失望に変わり、失望は怒りを呼び起こして、そして、復讐心に火をつけた。

【声劇台本】005「初恋」

少年の淡い思いを描きました。 <配役> 少年 お姉さん ―――本編――― 少年のMO「赤く燃える夕焼けの中、僕は駅までの道を全力で走った。走って走って走って、これから旅立つお姉さんに駆け寄った」 少年「好きです!」 少年のMO「そう言えたなら、よかった。でも、走って息が切れていた僕はただただ呼吸を整えるので精いっぱいだった」 お姉さん「少年! 来てくれたんだね!」 少年のMO「お姉さんは僕の手を取った。いつもと変わらない素敵な笑顔で」 少年「行かないで!」 少

【声劇台本】004「青空のその先」

<配役> 高校生の少女と少年。2人。 ーーー本編-ーー 少女「何かが始まる。そんな直感がビビッときた! こんなの初めてだった」 少女のN「高1の夏休み。おばあちゃんの家に遊びに行った。田舎の海は広々としていて。私はこの海が昔から大好きだった。そんな海で。私は君と出会った。静かな海を突き飛ばすかのようにペットボトルロケットが空高く飛んでいった。その先に君がいた」 少女「ねえ。何してるの?」 少年「宇宙を目指しているんだよ!」 少女のN「君はなんのためらいもなく、そう言っ

【声劇台本】003「もう一度、走り出す」

声劇台本「もう一度、走り出す」 <配役> 2名 男 女 ーーー本編ーーー 女「もう一度始めるのに遅いことなんてないんだよ」 男のN「君がそう言ってくれたから。ようやく決心がついた気がする」 男のN「高校の頃はいつもゴールを目指してあんなに夢中に全力で走っていたのに。大学生になって、走ることをやめて、そのまま就職して、社会人になって、平凡で退屈な日常の中にいつの間にかうずもれてしまっていた。頑張らないのは楽だったから。でも、何かが欠けていた。東京に粉雪が降った日。君が僕

【声劇台本】002「満月にキスを」

90秒声劇「満月にキスを」 配役:◆=男性 ◇=女性 ーーー本編ーーー ◆のN「付き合い始めて一カ月。僕と彼女は未だ手を繋ぐことさえぎこちない、そんな関係だ。数学は得意なはずなのに僕は距離を縮める計算が全くできずにいた。帰りが遅くなった彼女を駅まで送る最中もずっと考えていた。夜空には綺麗な満月が出ていた」 ◇「ねえ。何考えてるの?」 ◆「んー。なんだろう。ぼーっとしてた」 ◇「私も」 ◆のN「僕らの間に不思議な沈黙が訪れた。僕はなんだか緊張していた。そんな僕を彼女の視

【声劇台本】001「春を待つ風」

「春を待つ風」 90秒声劇です。一人用です。女性目線の一人称語りです。 ――本編―― 「卒業してから何度目の春がやってきたのだろう……。桜が咲く季節になると、決まって貴方の事を思い出す」 「あの頃、一緒に机をくっつけて勉強した日々は、もう遠い昔の話なんだよね。恐竜が絶滅したくらい大昔の話みたいに思えるから、悲しくて笑ってしまいそうになるよ」 「あの頃の私は、普通でいることに苛立ちを覚えていて。よく世界の滅亡なんかを願っていたよね。そんな私を笑って心配してくれた貴方。ど