脳内で聞こえる声とは何かーー「頭内爆発音症候群」を考える

放送の様子はこちら(下記サイトでは音声配信も行っています)。
「脳内で聞こえる声とは何か〜「頭内爆発音症候群」を考える」(Screenless Media Lab.ウィークリー・リポート)
2019.10/25 TBSラジオ『Session-22』OA

Screenless Media Labは、音声をコミュニケーションメディアとして捉え直すことを目的としています。今回は、脳内で声が聞こえるなど、私たちの脳内の音について紹介します。

◾頭の中で声が聞こえる

本を黙読する際、文章の読み上げ時に頭の中で「声」が聞こえるという読者はいるでしょうか。この問題について調査したニューヨーク大学の研究者によれば、英語圏のQ&Aサイト「Yahoo Answers」で2006年から2014年の間にこうした質問が24件が投稿されており、計136の回答が集まったといいます。

研究者によれば、そのうちの82.5%のユーザーが「読書中に内なる声が聞こえる」と答え、10.6%は聞こえないと回答。また聞こえると回答したうちの13%は、興味をもっている本かどうかなど、条件によって聞こえたり聞こえなかったりしました。他にも声色が変わる人や、声色を自在に操ることができる人。声のon//offの切り替えができるという人や、BGMが流れたり、場合によっては映像がみえる人もいるということです。

ただしこの数字は正式な調査研究の結果ではないので、留意が必要です。またこの内なる声がうまく聞こえない場合、それを「幻聴症状」と関連性があるとして、心理学の領域で研究もすすめられています。

◾頭内爆発音症候群

一方で、就寝直前や寝起き時に脳内で大音量の音がかけめぐるなど、脳内の音で苦しんでいる人々もいます。「頭内爆発音症候群(Exploding head syndrome)」と呼ばれるこの症状ですが、米ワシントン州立大学の研究者が211名の学生に聞き取り調査をしたところ、18%の学生が経験があると答えました。また経験者の3割には金縛りの経験もあるとのことです。

頭内爆発音症候群の原因はわかっていませんが、睡眠に入る前に覚醒状態の脳をオフにする過程で問題が生じた場合に起きるのでは、といった指摘もあります。いずれにせよ、命にかかわるものではないとのことですが、やはり日々の暮らしに大きな影響をもたらしてしまいます。

他にも、人々の話し声や掃除機、食器と食器が触れ合う音など、生活音が大音量で頭に響いてしまう「聴覚過敏」に苦しむ人もいます。耳の筋肉異常やストレスなど、いくつかの原因が考えられますが、ヤホンなどで耳を覆うなどの対策も対処療法であり、根本的な治療法は確立されていません。

脳内の音声については、現状ではわからないことが多くあります。脳内の音について研究をすすめることもまた、私たちと音の関係をより良いものにすると考えられます。

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