音で様々な情報を伝えるーー「ソニフィケーション」を考える

放送の様子はこちら(下記サイトでは音声配信も行っています)。
「音で様々な情報を伝える〜「ソニフィケーション」を考える」(Screenless Media Lab.ウィークリー・リポート)
2019.10/18 TBSラジオ『Session-22』OA

 Screenless Media Labは、音声をコミュニケーションメディアとして捉え直すことを目的としています。今回は、言葉で伝えられないものを音で伝える「ソニフィケーション」について紹介します。

◾ソニフィケーションとは何か

ソニフィケーションとは、言語ではない音=非言語音を用いて情報を伝達することを意味します。例えば情報を目で見えるようにすることを「可視化」と言いますが、これを音で行うもので、「可聴化」とも呼ばれるものです。

例えば、コンピュータのバグを確認する際に、ノイズを鳴らせて知らせたり、心拍に応じてパルス音を鳴らす心拍計などがソニフィケーションにあたります。またガイガーカウンターなどもソニフィケーションを用いた器具と言えるでしょう。

このように、目や言語情報では追うのが難しいものも、音で知らせることでより伝達しやすくなるものがあります。その意味で、音を利用した方が私たちにより伝わりやすいソニフィケーションは、とても重要な領域でしょう。

◾髪の状態を音で知る

音響デザインを用いた総合プロデュース等を手掛ける「井手 音 研究所(Ide Sound Institute)」は、あらゆるものを音楽に変換するアルゴリズム「soniphy」を開発しています。

この研究所は日本ロレアル株式会社と共同で、髪の毛の健康状態を、音で表現する仕組みを作成しています。毛髪の状態は摩擦の多さがダメージとして現れますが、摩擦情報を音の高さ、音色、アレンジ等に変換して、音で髪の毛の状態を把握することが可能になるというのです。

他にも井手音研究所では、脳機能を計測するデバイスを利用して、脳の血流を音として表現することに成功しています。言葉や視覚情報だけでなく、音で自分の状態を判別することが可能になるのです。ソニフィケーションはこうして、医療や福祉分野でも活躍が期待されています。

特に高度専門家が著しい現代社会では、難しい言葉で説明されたり、一見すると見ただけではわかりづらいものも多く存在しています。ソニフィケーションは、音という判別がつきやすい機能を用いて、私たちに多くのことを気づかせてくれるのです。

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