音声配信で不安な気持ちを落ち着かせるーー「自分ではじめる音声配信」ツールの紹介

放送の様子はこちら(下記サイトでは音声配信も行っています)。
「音声配信で不安な気持ちを落ち着かせる~「自分で始める音声配信」を考える」(Screenless Media Lab.ウィークリー・リポート)
2020.9/04 TBSラジオ『Session-22』OA

Screenless Media Lab.は、音声をコミュニケーションメディアとして捉え直すことを目的としています。今回は、自ら音声配信を行う人が増えている、その流行の背景と詳細について紹介します。

◾誰でも行える音声配信

昨今は、インターネットを通じた様々な音声配信サービスが存在しています。ラジコはもちろんのこと、ラジオクラウドアプリでもラジオ局の番組が配信されています。その一方で、誰でも配信可能なツールも増えています。ポッドキャストをはじめとして、RadiotalkやVoicy、spoonなど、一人で録音して配信することも可能です。

またVoicyは最近、音声配信サービス業界のマップを作成し、公開しています(当ラボもマップの中に入っています)。

外出自粛や友人とのコミュニケーションが制限される中、音声配信でメディア発信をはじめる人もいます。音声であれば、収録が簡単であると同時に、顔出しの必要もありません。

内容も、必ずしも専門性の高いものでだけでなく、日常の風景を語るだけでも、それを楽しみに聴くリスナーがいます。実際、ウェブメディアでも記者が音声配信に取り組んだ記事が出されるなど、音声配信に注目が集まっています。

◾声と安心

とはいえ、なぜ「今」音声配信なのでしょうか。ひとつには、自分の声で語り、それを公に公開することが精神的な安定につながる、ということが挙げられます。もちろん、背景には新型コロナウイルスによる自粛の影響があります。

例えばスマホアプリなどの情報発信を行う「アプリマーケティング研究所」は、2名のスマホユーザーにインタビューをしています。その中で、30代の専業主ふの女性の方は、「REALITY」というバーチャルライブ配信アプリを利用しています。これは顔を出す代わりに自分で作成したアバターを画面に登場させ、声だけで配信が可能になるサービスです。

インタビューによれば、夫と1歳の子どもと知り合いのいない土地に引っ越した女性は、昼間は誰とも交流する時間がなく、喋り相手がいなかったことが音声配信のきっかけとなりました。知らない誰かに話しかけ、聞いてもらえることが、心の安定につながっていると述べています。

文字ベースのSNSでの発信が広く普及する一方、音声発信はまだまだ普及しているとは言えません。とはいえ、昨今はYoutubeなどでも、日常の風景をそのまま配信することは珍しくありません。他人の生活実感を感じつつ、匿名のコミュニケーションが可能になっています。また、友人との電話は時間の都合で難しい場合もありますが、配信は自分のペースで続けられます。

このように、音声のみを利用した配信は、様々な選択肢があります。もちろん配信に際してのマナーは必要であり、また心ないコメント等によって不快な思いをすることも想定されますが、コロナ禍において孤独を感じる事が多い中、日常で感じている気持ちを語る場として、音声配信は有効な手段であるようにも思われます。

また最近はSpotify傘下のAnchorという企業が、zoomで行った会議の動画から簡単にポッドキャストの音声が作成できる機能を搭載するなど、音声コンテンツの制作ツールも充実しています。

音声とその技術が心に与える様々な影響について、今後も研究が必要になるでしょう。

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