記事や本は、読むより聴くーー「音声読み上げサービス」の紹介

Screenless Media Lab.ウィークリー・リポート
2020.12/25 TBSラジオ『Session』OA

Screenless Media Lab.は、音声をコミュニケーションメディアとして捉え直すことを目的としています。今回は、飛躍的に機能が向上している音声読み上げサービスについて紹介します。

◾PC、iPhone、Androidスマホでも使える音声読み上げ

スマートスピーカーの登場により、天気やニュースを「音で聴く」習慣がこれまで以上に普及しています。さらに最近は、Amazonの「Audible」や「audiobook」など、書籍の読み上げサービスも充実してきました。


一方、web上の記事や著作権の切れた書籍などにも音声読み上げサービスの利用が可能であり、スマホにも読み上げ機能が搭載されています。iphoneでは種類やiOSにもよりますが、「設定」から 「アクセシビリティ」そして「読み上げコンテンツ」を選択すると、選択した項目を読み上げたり、あるいは画面の読み上げをオンにすると、画面上部から日本指で下にスワイプすると、文字を読み上げてくれます。

昨今はAmazonの「アレクサ」に、文章をより感情的に読み上げる機能が追加されたりと、いわゆる機械的な読み上げだけでなく、人間に近い読み方が可能になってきています。特にgoogle傘下のDeepMind社が2016年に開発した「WaveNet」という合成音声アルゴリズムによって、飛躍的に合成音声の質が向上しています。

このWaveNetを利用してgoogleが開発した読み上げサービス
「Text-to-Speech(TTS)」は、英語や日本語を含め、様々な言語の読み上げを可能にしていますが、特に英語に関してはかなり人間の声に近いものがあります。こちらはPC(google chromeの拡張機能)やAndroidスマホで利用が可能です。

◾福祉や仕事、学習にも使える読み上げサービス

もちろん、その他にも様々なサービスが無料、有料を問わず展開されている他、福祉の領域でも読み上げサービスが活躍しています。例えばポニーキャニオンは、視覚障害者や学習障害者向けの読書支援サービス「YourEyes(ユアアイズ)」を2021年2月に開始すると発表しています。スマホアプリであるこのサービスは有料ですが、「喜」「怒」等の感情表現にも対応しているほか、視覚障害者が声でスマホを操作するボイスオーバー機能も搭載しています。もちろん、この他にも視覚障害者等に向けた様々なサービスが展開されています。

精度が向上している今、読み上げサービスは動画やスライドのナレーションなど、授業やビジネスでも利用が可能でしょう。また日本の「青空文庫」や英語の場合は「プロジェクト・グーテンベルク」など、著作権の切れた書籍を無料で公開しているサイトと読み上げ機能を利用して、無料でオーディオブックを楽しむことも可能です。

特に読み上げサービスは、文章を実際に読みながら、同時に音で聴くことで相乗効果をもたらし、読解力が向上します。とりわけ外国語学習が典型ですが、「読む」と「聴く」を同時に行うことで、よりよい効果をもたらします。

今年の年末年始は在宅時間が多くなりますが、料理や洗濯といった家事をしながら、またお風呂で本や記事、または詩の読み上げ等に利用することもおすすめです。読書はこれまで視覚を利用するものでしたが、聴覚を利用することで、視覚と聴覚のバランスをリデザインする必要があるように思われます。

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