合成音声の実践的利用その2ーー「コエステーションでつくる自分の声」の紹介

放送の様子はこちら(下記サイトでは音声配信も行っています)。
「合成音声の実践的利用その2~『コエステーションでつくる自分の声』を考える」(Screenless Media Lab.ウィークリー・リポート)
2020.4/17 TBSラジオ『Session-22』OA

Screenless Media Lab.は、音声をコミュニケーションメディアとして捉え直すことを目的としています。今回は前回に引き続き、合成音声を用いるメリットについてご紹介します。

◾コエステーションで自分の声を合成する

前回紹介したように、合成音声技術の中には、自分の声をAIに学習させることで、自分の声を合成音声化することを可能にするものもあります。

それにより、音声を利用した動画や音声収録の撮り直しの手間を省いたり、オンライン会議で声を発することが難しい場面で、テキストの読み上げを行うことで、自分の声で会議に参加することができます。あるいは子供に物語を読み聞かせる際、保護者が忙しい場合は自分の声の合成音声を利用することも可能でしょう。

他にも声の合成技術は、単に自分の声を合成するだけでなく、声の調整をすることでさらなる可能性を秘めているとも考えられます。例えば前回紹介した「コエステーション」というアプリには、自分の声を調整する機能が備わっています。

コエステーションは、エイベックスと東芝デジタルソリューションズが共同で設立した「コエステ」社が提供するスマホ向けアプリです。このアプリには、自分の声を合成するだけでなく、その声の速さや高さ、太さ、年齢などを変化させる他、喜びや悲しみといった感情の変化も調整可能です。

以下は、ラボのリサーチフェローの塚越の声を、コエステーションアプリで合成した声になります。普通の読み上げに加えて、喜びと悲しみの感情調整を行ったものです。

https://share.coestation.jp/H148TIgdU

https://share.coestation.jp/rywh6LlOI

https://share.coestation.jp/ByggCUg_I

(リンク切れの可能性もあります。ご了承ください。)

また上記の音声は一般ユーザー向けのスマホアプリで試したものですが、法人向けの有償サービスの場合は、より高品質の合成音声が利用できます。

◾合成音声が日常になる未来

音声の調整はエンターテイメント領域での利用が想定されますが、在宅時間が増える中、オンラインお茶会やオンライン飲み会など、ビジネス利用以外のシーンでも利用が増えています。そのような中、声を発することが難しい状況においては、自分の声の合成だけでなく、調整することで楽しむことができるでしょう。それは写真や動画加工アプリで、自分の顔を変化させて笑い合うようなコミュニケーションと同様のものです。

このように、合成音声には様々な可能性があると考えられます。さらに、声を調整するにとどまらず、声の加工によって社会的に意義のある声を生成することも可能になるでしょう。次回は、こうした声の合成音声の未来について考えてみたいと思います。

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