ユーザーに最適化されたニュースを音声配信するーー「アルゴリズム型プレイリスト」とは何か
放送の様子はこちら(下記サイトでは音声配信も行っています)。
「ユーザーに合わせたニュースを音声配信〜”アルゴリズム型プレイリスト”とは何か」(Screenless Media Lab.ウィークリー・リポート)
2020.10/09 TBSラジオ『Session』OA
Screenless Media Lab.は、音声をコミュニケーションメディアとして捉え直すことを目的としています。今回は、ユーザーに最適化されたニュース配信サービスについてご紹介します。
Spotifyのアルゴリズム型プレイリスト「Your Daily Drive」
前回はユーザーの状況に合わせて曲を変化させるサービスについて紹介しましたが、ユーザーに最適化されたニュースを選定する試みも各所ではじまっています。
デジタル音楽ジャーナリストのジェイ・コウガミ氏の記事
「「ニュース」を最適化した音楽プレイリストが登場、Spotifyが拡大する音楽アルゴリズムの活用法」
によれば、Spotifyはイギリスとアイルランドで「Your Daily Drive」というプレイリストサービスの提供をはじめています。これは運転中などに再生されるこのプレイリストですが、音楽だけでなく、ポッドキャストやニュースを含めて、毎日個人に最適化されたプレイリストが生成されます。
ニュースは新聞社や、ラジオ、ジャーナリストが制作したポッドキャストがあり、「タイムズ」や「エコノミスト」などのメディアが参加しています。
Spotifyと言えば音楽配信を思い浮かびますが、政治やビジネス、スポーツニュースなど、音声コンテンツ全体を配信しています。その要因のひとつとして、新型コロナウイルスの影響で自宅にいる時間が増えたため、音楽に多様な種類を求めたり、音楽以外の聴取を望む人の増加が指摘できます。要するに、自宅で新しい体験をしたいということであり、料理等の家事が増える中、音楽以外にラジオやポッドキャストが好まれているということです。
そのため、コンピュータが選定するアルゴリズム型のプレイリストは、今後ますます増えていくことが想定されます。便利である一方、ラジオ局そのものとしては競争相手でもありますが、良質なコンテンツを制作することで、人々の耳に届く機会は増えているとも言えるでしょう。
スマートスピーカーからおすすめニュースを流す
これまでも、スマートスピーカーに呼びかけることで最新ニュースを読み上げる機能はありました。そんな中でグーグルも、ラジオ番組やポッドキャストの抜粋、記事の読み上げを個々のユーザーごとに合わせたサービス「Your News Update」を、グーグルのポッドキャストアプリで提供しています（現在は英語版のみ）。ニュースとニュースのつなぎはロボット音声が担うのですが、このぎこちなさの改善が期待されています。
今後は個々のユーザーに合った、よりきめ細やかなニュースが配信されるでしょう。ただし、グーグルにはユーザーの個人情報が大量に蓄積されています。政治的信条などの個人情報への配慮や、特定の情報だけに傾いたニュース提供など、アルゴリズムの扱いには注意が必要となります。
いずれにせよ、ニュースを耳で聴くことは、スマホの画面依存から離れるのに有効であるばかりでなく、音楽以外の新しい音環境の構築に寄与します。生活空間にラジオなどの音声が組み込まれる方法について、今後も考えていく必要があります。
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