障害のある方に音が貢献できることーー「音による負担免除」を考える

放送の様子はこちら(下記サイトでは音声配信も行っています)。
「障害のある方に音が貢献できること~「音による負担免除」を考える」(Screenless Media Lab.ウィークリー・リポート)
2020.8/14 TBSラジオ『Session-22』OA

Screenless Media Lab.は、音声をコミュニケーションメディアとして捉え直すことを目的としています。今回は、視覚障害や聴覚障害に対して、音ができることとして、最近のトピックスを紹介したいと思います。

◾視覚障害と音声

新型コロナウイルスは、障害のある方に多くの影響を及ぼしています。東京新聞2020年7月24日の記事「「接触」不可欠なのに… コロナ対策 戸惑う視覚障害者」では、視覚に障害のある方が、レジにあるビニール製の仕切りによって音が聞こえづらく、列に並ぶのに困難を抱えていることが伝えられています。また顔にあたる風など、全身の感覚を利用して位置を定める時に、マスクによって感覚が鈍ってしまうこともある他、案内を頼む時など、他者とのコミュニケーションにおける接触が制限されてしまいます。

視覚に障害のある方に対して音が貢献できることは多くありますが、暑い日々が続く夏の時期は、音声操作できる家電は有益でしょう。スマートフォンやスマートスピーカーに接続することで音声操作を可能とする家電は多くありますが、設定が難しかったりと、いまいち使いづらさを抱えているユーザーも多くいます。

家電メーカーのアイリスオーヤマは2020年、スマホなどのデバイスを必要とせず、またWi-Fiなどのネット接続が不要で音声操作が可能なエアコンや扇風機を発売しています。


扇風機は「ねえ、せんぷうき」というだけで起動し、首振りや風量を設定できるので、操作は簡単です。暑い夏、空調管理用の音声操作は、より手軽であることが重要であるように思われます。視覚に障害がある方だけでなく、広く万人に開かれた家電も必要とされるでしょう。

◾聴覚障害と音声

一方、以前ご紹介したとおり、聴覚に障害のある方もまた、このコロナ禍においてはマスクで表情が読み取れず、コミュニケーションでより一層の困難を抱えています。

こうした問題に対して、音はどのような貢献ができるでしょうか。グーグルには「音声文字変換」というアクセシビリティアプリがあります。これは音声で交わされている会話がリアルタイムで文字起こしされる便利なアプリなのですが、5月には機能がアップデートされ、誰かが自分の名前を呼ぶと端末が振動したり、過去の会話が3日に限り検索可能になっています。

こちらは対応がアンドロイド(を搭載した端末)に限定されてしまいますが、iphoneなどでも、音声をそのまま文字に同時変換するアプリはあります。マスクで感情が見えづらい世の中ですが、文字情報を通してコミュニケーションを可能にする技術は、日々進歩しています。

音ができることはまだまだ多くあります。少しでも多くの技術を紹介できればと思います。

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