投げ銭、月額課金による収益化ーー「クリエイターの収益化」を考える
Screenless Media Lab.ウィークリー・リポート
2021.4/09 TBSラジオ『Session』OA
Screenless Media Lab.は、音声をコミュニケーションメディアとして捉え直すことを目的としています。今回は、様々な音声サービスが打ち出すクリエイターの収益化プログラムについて紹介します。
◾Clubhouseの収益化プログラム
2021年1月にクリエイターの支援策を発表し、突如注目を浴びた音声SNSのClubhouseですが、4月5日に、クリエイターを支援するための投げ銭プログラム「Clubhouse Payments」を発表しました。
投げ銭計画自体は以前から発表されていましたが、実際に利用が可能になりました。ユーザーはクレジットカードなどを登録しておくと、特定のクリエイターに金銭を送ることができます。こうした「投げ銭」は、ライブチャットやYouTubeでも「スーパーチャット」という投げ銭機能が搭載されています。送金にあたっては決済企業(Stripe)による少額の手数料が引かれますが、Clubhouseの開発元の企業(Alpha Exploration)は、仲介手数料を徴収しないと述べています。
昨今「クリエイターエコノミー」と呼ばれる、SNSで活動するクリエイターが利益を得られる仕組みとその経済圏に注目が集まっていますが、今回の発表はそうしたクリエイターエコノミーを後押しするものです。とはいえ、機能が利用できるクリエイターはまだ一部に限定されており(段階的に拡大予定)、広く普及するまでに時間がかかりそうです。Clubhouseの注目度は減少傾向にあり、もう少しはやくできれば、という感想を持つユーザーも多いのではないでしょうか。
また、一部の報道によれば、TwitterがClubhouseに約4400億円の買収計画を持ちかけていたこと、ただし話し合いは決裂したとのことです。
◾stand.fmの収益化プログラム
一方、すでにクリエイターの収益モデルを実装している音声サービスもあります。音声コンテンツ配信アプリの「stand.fm(スタンドエフエム)」は、音声を収録して配信するほか、音声の生配信、またリスナーをゲストとして招待し一緒に配信できる等、様々な利用方法のあるサービスです。
現在stand.fmはパートナープログラムというクリエイター支援策を発表しています。そこで、すでにクリエイターへの月額課金が可能になっています(承認制)。無料で聴くことができるものと、月額課金ユーザー向けの特別配信を区別し、収益化が可能になります。
コロナ禍で人とのコミュニケーション機会が減少する中で、音声を通じた他者とのコミュニケーションは、顔が見えないこともあり手軽であるだけでなく、音声ならではの気軽な会話や、じっくりとした話もできます。
以前紹介した通り、音声配信によって、不安な気持ちを落ち着けたり、自分の気持ちを語ることができます。こうした収益化プログラムは単にクリエイターの生活を支えるだけでなく、コミュニケーションを求める人々の動機になる他、人々をつなぎ合わせる意味も持ち合わせています。
2021年も音声コミュニケーションがより一層求められる一方、それによる収益化の動きも加速します。音声の力は、今後も人々に大きな影響を与えていくのです。