まだまだある、あの動物の不思議ーー「猫の音」の紹介

Screenless Media Lab.は、音声をコミュニケーションメディアとして捉え直すことを目的としています。今回は、猫の音に関するいくつかの研究について紹介します。

◾なぜ猫は喉を鳴らすのか

以前、猫の鳴き声「ミャオ」の意味に関する研究を紹介しました。猫の音に関しては、一般的な関心も高く、多くの研究があります。

例えば、猫はゴロゴロと喉を鳴らしますが、これは猫だけでなく、チーターやオオヤマネコといった同じネコ科の動物の特徴です。他方、同じネコ科でも、トラやライオン、ジャガーは喉を鳴らすことができませんが、代わりに「吠える」ことができます。

この、喉を鳴らす行為と吠える行為を両方できるネコ科の動物はおらず、一方しかできないことがわかっています。これらの行為は小型(猫、チーター)か大型(トラ、ライオン)で区別可能であり、顎や喉の骨格などが関係していることがわかっています。

ただし、大型が威嚇の意味で吠える一方、小型のネコ科の動物がなぜ喉を鳴らすのか、鎮静効果や子猫の鳴き声をごまかすという説もありますが、その理由はまだわかっていません(また、多くの猫の飼い主は、喉を鳴らす行為は満足の意味だと捉えることが多くあります)。

◾猫の鳴き声を理解する

また、昨今は猫の鳴き声を翻訳すると謳ったアプリも登場しています。SNSでも話題になった「Meowtalk(ニャントーク)」は海外のアプリですが日本語版もあります。ニャントークは猫の鳴き声を9つ(防御、戦闘、幸せ等)に分類した上で、鳴き声をアプリに集音すると「かまって」や「激おこ」など、様々な「言葉」が示されます。最終的な判断は飼い主がしますが、反応が間違っていればアプリを修正できたり、また機械学習機能があるので、ログがたまるので、翻訳精度が高くなる可能性があります。

猫には人間と同じ言語体型があるわけではありませんが、猫の鳴き声に意味が含まれていることは、これまでの研究からもあると考えられてます。ニャントークの開発元が参考にしている論文は、メインクーンとヨーロピアンショートヘアの2種類の猫(それぞれ雄雌合わせて10匹程度)に、「餌を待つ」「慣れない環境で孤立する」「ブラッシングをする」という3つの環境下での音を収録し、様々な分析を行い、ポジティブやネガティブといった、猫の鳴き声の意味を明らかにしようとしています。とりわけ昨今の機械学習技術の発展は、動物の音の意味理解に有益な貢献をもたらすことが期待されます。

このように、動物の鳴き声の分析は、様々な領域で進んでいます。近い将来、私たちは動物たちと、さらに親しい関係を結ぶことが可能になるかもしれません。その際、音声研究は非常に重要な意味を持つのです。


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