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劇スのバージョンの違い(変更・修正)をまとめてみた

皆さんこんにちは。適度に強いお酒を飲んでいますでしょうか。文明歌(Akari-ka)です。

つい先日、Youtubeにて『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』が期間限定無料公開されました。

嬉しいですね。スタァライトの熱がどんどん広まると嬉しいです。
……くらいにしか、わたしは認識していなかったのですが。
しかしこれ、実は「劇場版をただ無料で観られるだけ」では無かったことが判明したのです。



劇場版スタァライトの2つのバージョン


皆さんは、劇スに2つのバージョンが存在している事をご存知でしょうか。
わたしは昨日TLで知りました。まさか。

実はこの作品には、

・初期版(劇場で上映されたバージョン)
・修正版(円盤でリリースされたバージョン)

の2つが存在しているのです。

今現在視聴できるものは恐らく全てが修正版の方だと思います。
円盤のほか、各配信サービスで配信されているものも修正版であることが確認できました。
また、現在再上映されている映像も修正版であるとの情報があるため、前者はかなりレアな映像だという事がわかります。


しかし、今回YouTubeで公開されたのはなんと初期版
今では観ることのできない貴重なレアバージョンが、この3周年という節目で公開されたのです。

意図的なものなのかは分かりませんが、こんなに貴重なものを拝める機会はそうそう訪れません。
という訳で、この2つのバージョンを見比べて、全編を通して変更点や修正点を確認してみました。

著作権の問題で各カットの画像を載せることはできませんので、各自皆様のお手元で確認していただければと思います。
すでに劇ス飽きるほど(飽きんが)観たよ!という方も、是非この機会に見比べてみてはいかがでしょうか。


注意書き

・本記事は、『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』を批判する目的で作成、公開したものではありません。
あくまでコンテンツの更なる発展と舞台創造科の活動に対する貢献を願い作成しています。

・本記事はあくまで目視で確認したものとなりますので、ミスや確認漏れがある可能性が十分にあります。

・Youtubeに公開されている映像のCM部分を抜いた独自の時間表記を用いています。多分どの環境でも同じだと思っていますが、若干のズレが生じている可能性があります。お許しくださいませ!


よろしくお願いいたします。




00:08:27 
大場ななのチェキが置かれているカット

・大場ななのチェキの影のかかる向きが修正

修正後は1影が主に下側に描かれており、自然な立体感になっています。


00:09:50 
星見純那が面談で座っているカット
(「今はもっと勉強がしたいんです。」)

・背景右側、ボードに飾られている『聖翔音楽学園の歩み』の写真の有無が修正

このカットだけ急に消えていたのが修正されています。


00:29:26 
星見純那のバストアップのカット
(「え?」「なな……?」)

・背景の動く向きが修正

星見純那が向いている本来の正しい向きに修正されています。(手前から奥に流れていく)

3Dワークスなので修正が簡単だったのかな?と思いましたが、恐らく単純に逆再生しているだけです。
このカットでは星見純那の作画自体に環境光やリムライトの描写が描かれていないので、環境のライトのタイミングと向きが変化しても違和感は無いです。


00:30:31 
電車が停車するカット

・背景、柱の明度が変更

変更後は全体的に暗くなっています。


00:32:22 
愛城華恋(幼少期)が玄関の前に立っているカット

・愛城華恋(幼少期)の髪飾りの有無が修正

修正後は髪飾りが無くなっています。
本来この時点では愛城華恋は髪飾りを貰っていません。


00:32:25 
愛城華恋(幼少期)のバストアップのカット

・愛城華恋(幼少期)の髪飾りの有無が修正

修正後は髪飾りが無くなっています。
前カットと合わせての修正でしょう。


00:34:48 
大場ななが電車で座っているカット
(「でも皆 新しい役、立つべき舞台を求めて……」)

・大場ななの靴下の長さが修正

修正後は他のカットと合わせて短くなっています。


00:35:42 
電車が砂漠の駅に停車するカット

・電車のサイズが変更

変更後は一回り小さくなっています。
電車の先端を基準にスケールが縮小されています。

・電車の動く速度が変更

変更後は少し遅くなっています。
発車するタイミング自体は同じですが、outに5F差があります。

・電車の窓の奥が透けるように修正

修正後は愛城華恋のいる駅が見えるようになっているほか、
追加で電車の内側も描かれています。


00:38:49 
決起集会、生徒一同が驚いているカット

・生徒の持っている台本の影が修正

修正後は右側3人の手に持っている台本に影が追加されています。


00:50:16 
愛城華恋(幼少期)がスマホで聖翔音楽学園のHPを見ているカット

・スマホの反射光が追加

変更後はスマホの画面上部が反射で白くなっています。

・サイト内、聖翔音楽学園の英語表記が変更

変更前:SEISHO MUSIC SCHOOL
変更後:SEISHO MUSIC ACADEMY


00:50:35 
愛城華恋(幼少期)が手紙を書いているカット
(「拝啓、神楽ひかり様。」)

・背景左側、聖翔音楽学園のパンフレットの英語表記が変更

変更前:SEISHO MUSIC SCHOOL
変更後:SEISHO MUSIC ACADEMY


00:50:57 
聖翔音楽学園のパンフレットのアップのカット
(「だから、聖翔音楽学園……」)

・聖翔音楽学園のパンフレットの英語表記が変更

変更前:SEISHO MUSIC SCHOOL
変更後:SEISHO MUSIC ACADEMY


00:51:26 
愛城華恋(幼少期)がフレームに入った写真を持っているカット

・背景左側、聖翔音楽学園のパンフレットの英語表記が変更

変更前:SEISHO MUSIC SCHOOL
変更後:SEISHO MUSIC ACADEMY


00:51:33 
愛城華恋(幼少期)が神楽ひかりからの手紙を持っているカット

・背景左側、聖翔音楽学園のパンフレットの英語表記が変更

変更前:SEISHO MUSIC SCHOOL
変更後:SEISHO MUSIC ACADEMY


01:01:20 
花柳香子のデコトラが消灯するカット
(「これにて、縁切りや。」)

・トラックのライト消灯後の明度が変更

変更後は全体的に、より一段と暗くなっています。


01:01:41 
石動双葉のデコトラが点灯するカット
(「毎日駄菓子買って、寝かしつけて!」)

・トラックのライト点灯前の明度が変更

変更後は全体的に、より一段と暗くなっています。
また、ライトが段階的に点灯するにつれ、変更前の明るさへと変わっていきます。


01:06:59 
スズダルがタイマーを持って登場するカット
(競演のレヴュー Revue Song MEDAL SUZUDAL PANIC◎◯●)

・レヴューソングのタイトルが修正

修正前:MEDAL SUZUDAL PANIC◎◯●
修正後:MEDAL SUZDAL PANIC◎◯●

変更後はテキストサイズはそのままに、右揃えに揃えられています。

※この修正に関して、本記事の末尾に追記として詳細を記載しています。


01:17:27 
立体の『星』が降っているアップのカット

・立体の『星』の明度が変更

変更後は全体的に暗くなっています。


01:18:50 
星見純那の目元アップに、宝石の欠片が飛び散っているカット

・画面右側に緑色のライトが追加

追加されたライトは時間経過で消えていき、変更前の色味へと変わっていきます。


01:22:09 
星見純那が右足でポジションゼロを踏み込んでいるカット
(「星見純那!」)

・ライトが緑色に変わった後の色味が変更

変更後はコントラストが強くなり、地面が全体的に暗くなっています。


01:22:15 
星見純那を複数のスポットライトが照らすカット

・地面全体の色味が変更

変更後はコントラストが弱くなり、地面が全体的に暗くなっています。

・地面に反射するライトの形が変更

変更後は星見純那を中心とした円形状の明かりが無くなっているほか、
周りから照らしているスポットライトの光がよりくっきりとした筋で地面に映るようになっています。


01:24:24 
大場ななが右側に向かって歩く足元のカット

・地面の柄が修正

地面に描かれているグリッド状の柄の間隔が大きくなっています。

・背景のパースが修正

よりアイラインが下がり、足の作画に合うようになっています。

画面の質感は2Dですが、動き方と修正の仕方が3Dなので恐らく背景は作画素材を3D空間上に平面で配置して撮影されたカットだと思います。


01:56:56 
エンドクレジット(スタッフロール)

01:57:33
・「B-Box 協力」表記が削除

削除された表記はクレジットの後の方に追加されています。

01:58:29 
・「(特殊効果)小林香織」表記の位置を中央揃えに修正

修正後は若干左側に動いています。

01:59:19
・「キャスティング協力 B-Box」表記が追加 
・「(協力)株式会社TOKYO TOWER」表記が削除

削除されたB-Boxはこちらに表記されています。
株式会社TOKYO TOWERが消えたのは何故でしょうか……?

01:59:20
・「企画」のクレジット表記が複数行に変更 
・「プロデューサー」のクレジット表記が複数行に変更

縦に一行で表記されていたものが、変更後は複数行になっています。

01:59:35
・「監督 古川知宏」表記の位置が変更

変更後は若干位置が上がっています。

神楽ひかりの足元のカットにトランジションする際の透けている瞬間を止めてみるとわかりやすいです。
変更前は左足のくるぶしの下側が『古』の"口"の横に位置していたのに対し、変更前は『古』の文字のベースラインと同じ位置になっています。

・ロール全体の速度が変更

表記にいくつか変更があった影響か、全体の(文字が上がる)速度が変更されています。
ただし部分的に位置がズレているため、変更前と同じイージングを適用した結果変わっているように見えている可能性があります。



変更点・修正点は以上となります。



わかりま(したか)?🦒

いかがでしたでしょうか。
今回、全体で23カットに変更・修正が行われている事が確認できました。
(漏れなどもあるかも……)

《内訳》
・修正:10 / 変更(追加):13 (カット)
・作画修正:12 / 撮影修正:23 (点)

しかし、その中にTVアニメの円盤修正でありがちな「作画崩壊の修正」が含まれていなかった事には驚きでした。
やはり劇場版、予算や時間的余裕があったのか、作画クオリティ自体は元々完成度が高いんですね。全カット丁寧に作監修が入っているのでしょうか。

「ミス」というミスもかなり少なく、行われた変更の殆どは演出の変更であった点も興味深いです。
特に一部カットでの明度などがより暗くなっている変更に関しては、公開後に監督の思考に変化があったのでしょうか。気になりますね。

あと、「これ気付くわけないだろ」みたいな点がいくつかありますね。だいたい明度系。エンドクレジットを一文字ずつ読んで覚えていた変態さんはいましたか。そして初期版を劇場で観れた古参舞台創造科の方々、気付いていましたか?答え合わせを楽しんでください。


この絶妙な違い、バージョンが複数存在する事に気付いた方はかなり鋭い眼をお持ちだと思いますよ。オタクの集合知ってやつですかね。怖い。
しかしさらに何より凄いのがこのミスに気が付き、作品の更なるクオリティの向上のために修正してくださった制作スタッフの方々です。
本当に感謝してもしきれませんね。



以上となります。
公開から3年経ってまだ作れる資料があるという状況凄いですね。
以前からスタァライトの資料界に少しでも貢献したいと思っていたのでいい機会でした。僅かでも何かの役に立てていれば嬉しいです。

本記事の内容自体にミスがあった場合、その旨お伝えいただければ修正版を円盤としてリリースしますので、よろしくお願いいたします。

また、本記事に記載されていないカットで修正点・変更点を発見した際はそちらもお伝えいただくか、「見逃してやんの、にわかが」と嘲笑していただければと思います。





追記:2024/05/29


あったぜ。見逃しが。

本記事を公開後、嬉しいことに沢山の反響があり、記事を閲覧いただいた方から「記事に記載されていない円盤修正点がある」とご指摘をいただきました。

問題の修正点は競演のレヴュー、レヴューソング『MEDAL SUZDAL PANIC◎◯●』の表記についてです。


しかしわたしはこれに気が付いたとき、他と違いひとつの疑念が同時に浮かび上がったのです。

これは「変更」か?ミスの「修正」か?


こちらに関して、簡単に調査してみましたので、その結果をここに追記として記載させていただきます。


まず、この修正点に関して改めて確認しましょう。
こちらは本編開始から01:06:59のカット、
『競演のレヴュー』のレヴューソングが
「MEDAL SUZUDAL PANIC◎◯●」から
「MEDAL SUZDAL PANIC◎◯●」へと表記が変更されている件についてです。
(スズダルの綴りが異なっています。)


まず、前者(修正前)の"MEDAL SUZUDAL PANIC"をTwitterのキーワード完全一致検索機能を使用し、Twitter上でどのように呟かれていたかを調査した結果、2021年7月後半からこのワードを含んだツイート数が減少していることが分かりました。

それに対し、後者(修正後)の"MEDAL SUZDAL PANIC"を同様の条件で検索したところ、2021年7月以前には殆どこのワードを含んだツイートがされていないことが分かりました。

つまり、映画公開(2021年6月4日)からある7月の地点までは「MEDAL SUZUDAL PANIC◎◯●」、それ以降は「MEDAL SUZDAL PANIC◎◯●」の表記が用いられていることが分かります。


ここでいう「ある地点」とは何なのか。
それは『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト 劇中歌アルバム』の発売(2021年7月21日)です。


7月21日に発売された劇中歌アルバムのVol.1にて、本楽曲は「MEDAL SUZDAL PANIC◎◯●」表記で収録されています。
同様にTwitterでアルバムについて検索をしてみると、発売当時に修正後の表記を用いて楽曲配信URLが添付されているツイートが確認できるため、発売時点から「MEDAL SUZDAL PANIC◎◯●」というタイトルが用いられていたことが確認できます。

(さらに発売前、アルバム収録楽曲が公開された記事を確認すると、その(発表)時点で修正後の表記を用いていたことがわかります。)


以上のことから、映画公開から劇中歌アルバム発売までの約1ヶ月間で表記が変更されていることが判明しました。
では、果たして初期の劇場版で使用された表記は「ミス」だったのか。
こちらに関して、興味深いツイートを発見しましたので共有いたします。

こちらは「MEDAL SUZDAL PANIC◎◯●」の作曲・編曲を担当された広川恵一 (MONACA)様の、2021年6月6日(映画公開から2日)時点のツイートになります。

こちらのツイートを見てみると、文章中にこのような文面が確認できます。

「MEDAL SUZUDAL PANIC☆★」 (で合っているはず…!)

広川恵一 (MONACA)様のツイート(2021/06/06)

記号に関しては修正前、修正後共に一致してはいませんが、この時点で作曲者本人様が「MEDAL SUZUDAL PANIC」表記を用いていたことがわかります。

しかしこのツイートが投稿された6日後、当ツイートの返信欄にて本人様より訂正が行われていることが確認できます。

以上のことから、劇中歌アルバム発売よりも1ヶ月前、2021年6月12日時点で既に「MEDAL SUZDAL PANIC◎◯●」表記に変わっていることが判明しました。


【調査結果】

主にTwitterを用いて、2つの表記の変化と推移を調査したところ、以下のことが判明しました。

・舞台創造科の間では、2021年7月21日時点で修正後の表記が用いられていた
・制作スタッフの間では、2021年6月12日時点で修正後の表記が用いられていた

上記2点を踏まえ、私はこの変更を「ミスの修正」であったと推測します。


しかし、これは単なるミスではない可能性があります。
ご紹介させていただいた作曲者本人様のツイートからも確認できる通り、制作間で「認識の齟齬」が発生していた可能性があるためです。

作曲者は「SUZUDAL」と認識していたが、また別のスタッフは「SUZDAL」と認識していた。このように複数の情報が制作中に錯綜してしまい、誤った形でデザインを発注してしまった。十分にあり得るものだと思います。
(実際、劇中歌発売前後も比較すると少数ではありますが、舞台創造科の間でどちらの表記も用いられてツイートがされていることが分かります。不特定多数の観客ですら曖昧な情報として認識していた方が多かったのでしょう。)


そしてもうひとつ。

作曲者様のツイートにあった「MEDAL SUZUDAL PANIC☆★」表記についてです。
これはあくまで私の推測なのですが・・・

このレヴューソングは制作(構想)当時、「◎◯●」ではなく「☆★」の記号が書かれていたのではないでしょうか。

レヴューに参加するまひるとひかりの上掛けのボタン。
白星と黒星。表と裏。演技と本音。舞台に立つまひると、舞台から逃げたひかり。

こうして考えてみると、レヴュータイトルにつく記号として「☆★」は相応しいように感じます。

これが後になって、「◎◯●」表記に変更されたのでしょう。
これは恐らくメダル(金銀銅?銀金銅?)を表しているのでしょうが、記号の数が2つから3つに増えているという点に着目すれば、これはまひるとひかりだけのレヴューではなく、「華恋」という存在が間にある、と捉えることもできるかもしれませんね。

レヴュー『最後のセリフ』が、当初は『再生産のレヴュー』という名前で制作されていたという情報があるくらいなので、レヴューソングが変更されるということ自体にも違和感はありませんね。

(となると、当初作曲家様とデザイナー様に渡った依頼書には『MEDAL SUZ"U"DAL PANIC☆★』という名前で書かれており、綴りのミスと末尾の記号が制作途中で変更されたことが作曲家様には届いていなかった、というだけの可能性がありますね。)

真相は不明ですが、あくまでひとつの可能性として……。



以上となります。いかがでしたか♪(疲労)

X Holdings Corp.のCEOにTwitterの有用性を示すために、主にTwitterという観点から調査しましたが、普通にTVアニメ時点での「スズダルキャット」の英語表記を調べた方が早かった気がしますね。

ただし、ざっと見返したところ本編映像内にスズダルの英語表記が書かれたシーンが存在していないこと、わたしが本編を英語字幕をつけて確認できる環境にいないこと、スタリラやその他コンテンツ含むローカライズの正確性を証明できないことから割愛です。

ちなみに、スズダルキャットの名前の由来である小説『スズダル中佐の犯罪と栄光』の原題は、『The Crime and the Glory of Commander Suzdal』となっています。ので、多分スズダルキャットの綴りもこの通りですね。


ちゃんちゃん。またこの他に修正点など見つけたら教えていただけると助かります。何卒です。よろしくお願いします。さようなら!(2024/05/29)