見出し画像

食を取り巻く人と価値~#RESQ

新大久保駅に期間限定で出店しているポップアップレストラン「RESQ(レスキュー)by #CookForJapan 」に食べに行ってきました。

レストランが生まれた背景については、こちらをご覧ください。

1,レストランの魅力

 今回、ポップアップレストランに食べに行ってみたいと思ったのは、この1文にピンときたから。

「生産者の食材を適正価格で買い、価値を高めて皆さまに楽しんでいただきたい」というシェフの想い」

送料無料とか、コロナで大変とか、「かわいそう」「助けなきゃ」という消費のあり方は、一時的には必要、有効かもしれないけれど、いつまでもそれじゃ「Charity(チャリティ)」と一緒。やっぱり生産者がつくったものは、いいものがいい値段がついて売れる。この市場原理に沿って消費者の口に届くのが本来の姿というもの。

 そして、産直で取り寄せるということで、この外出自粛の1年の中で、「生産者から直接届く」という価値と鮮度に多くの消費者は魅了されたかもしれない。でも、一方で、飲食店やレストランが強制的に分断、停止され、料理するプロとしての価値や味を遠ざけた1年でもありました。彼らシェフや料理人に、存在価値や生きる意味はまったくないのか…そんなことはありません。素人や家庭ではできない味やワザ、演出も含めて、「食を最高の状態で提供する」ことに長けた人たちがいる。長引く自粛の中、こうしたプロのワザや価値も、遠い記憶の彼方の断片になりそうだったからこそ、思い出したいという気持ちもあり、今回ポップアップレストランに食べに行くことにしました。

2,やっぱりスゴイよシェフって職業

 お店の場所はJR新大久保駅直結のビルの3F。いくつかの店舗が共同で出店できる空間であり、客席は共用、配膳・片付けはセルフ。#RESQのレストランでは度々Twitterで見ていた関口シェフがキッチンでつくっておられました。

で、まず頼んだのは「SOS前菜全部盛り合わせ」という贅沢なプレート。

画像1

やべえ、どれもうまいーーーー。家庭では作れない、味、スパイス、香り、食感、やっぱりシェフってすげええよ。ほんと。食材の味とメリハリ、順番がもう秀逸。左上から順にぐるっと↓

・手作りハーブソーセージ 乾しいたけバジルのクロスティーニ
 ▶きのこの旨味を引き出すのほんと上品だよ。

・季節野菜とツナのライスサラダ
 ▶繊細でさわやかな味ってまさにコレ

・グリーンサラダ、いろいろな野菜のバーニャカウダソース
 ▶アンチョビがねちょいちょいちょっかいだしてくるのがまた美味

・新玉ねぎとクレソンのエルバッツォーネ
 ▶玉ねぎの甘味をしっかり凝縮って感じ

・揚げたてライスコロッケ
 ▶脳内崩壊のおいしさじゅわー

思わず破壊活動の写真を撮ってしまいましたわ。

画像2

あかん、もうあかん。1年ぶり以上にシェフの味ってやつを思い出しましたわ。

3、素材を超える価値をつくる

 そしてね、メインは食べ比べっていう手もあったんだけど、やっぱり好きなものは贅沢に食べたい!ということでメインダブルにしてしまう暴挙にでることにしました。

・戸倉っこカキの濃厚リゾット
▶牡蠣好きな人間として、これは避けることができなかった。脳内牡蠣の風味でええ、海に捕りにいきたくなりましたわ。そして、リゾットのお米の食感はやっぱり絶妙。家じゃできないんですよ、お雑炊になってしまう(笑)

画像3

ええ、ここでやめればよかったんですが、パスタが語りかけてくるじゃないですか。メニュー表からね。

・ごろごろお肉のボロネーゼ 極太生パスタキタッラ
 ▶もうね、おいしい超えて、感動でした。ゴロゴロ肉に、パスタの太い食感がパーフェクト。こういうおいしいパスタ、もう1年以上食べれてなかった(笑)

画像4

本当は、極太パスタに目がない自分としては、甘塩ウニまでいきたかったが、「自粛太りは甘え」の自戒を込めて、ここで止めておきました(泣)

ウニも大好物なのに…

4,お金を払うという価値創造

長引くデフレに少し慣れてしまった日本では、「訳あり」や「もっと安く」という価値を下げる「値下げ」が多くの市場や日常に浸透してしまったように思います。でも、よく考えて欲しい。

「払うお金が安いのに、自分の給与はあげたいっておかしくありません?」

ってこと。払うことは相手に価値を認めること。そしてその得たお金は、また誰かの価値を認めることで、綱渡りのように巡り巡って、それが社会や仕事の価値を作るんだってこと。

この1年は強制的に営業や事業が止められたことにより、モノが動かなくなり、それが生産者や料理人をひどく痛めつけた1年でもありました。でも、もう1年。そろそろ「誰かがやってくれる」「政府がやってくれる」という他人任せで社会を良くすることより、「自分がやる」「社会に関わる」という自発的な形で、世の中をよくすることに加担していかなきゃいけない。

画像5

そろそろ「送料無料」や「訳あり」からは卒業せねばなりません。

生産者がつくった、すぐれたものは、相応の価値がある。

料理人は、その価値がある素材や材料を相応の価値で仕入れ、お客様に調理し、提供する。

消費者は、料理人が提供した料理に相応の価値を代金として支払い、おいしさと満足を得る。

生産者と消費者は無理につなげる必要なんかないんです。既につながっている。食材なら流通・仲卸、そして産直。調理された食なら料理人を通して得ることができる。

社会貢献やレスキューは「新たな」仕組みなんかじゃなく、日々の食をめぐる消費の中で、誰もが貢献し、価値を認め、維持することができる。

喜んで食べて、喜んでお金を払おう。

料理人、そして飲食店の皆様の苦労と我慢と苦悩が、どうかこれから報われますように。

おいしい食事をごちそうさまでした!

6月30日までやってるから、近くなら是非行って悶絶してみてねー!


日本と世界を飛び回った各地域の経験と、小論文全国1位の言語化力を活かし、デジタル社会への一歩を踏み出す人を応援します!