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「値引き辞めてください」

資源高騰や円安の影響もあり、あらゆる調達コストが上昇気味。粗利の圧縮やちょっとした費用低減だけではとても追いつかないレベルになろうとしている現況だからこそ、きちんと見直した上で、適正に値上げするのが商売をする上での正しい戦略。さ、ためらわず、説明して、値上げしてください。

1、「値引き」しておきました。

4月1日から価格改定に踏み切った企業は多い。それでも、値上げ幅は1~2%とかわいいもので、5%以上に踏み切ったところは少ない。これでは、今年の夏以降、状況が更に悪化した際、再び値上げをせざるを得なくなる。

何度も何度も、値上げをしたら、買う側はいったいどういう思いを抱くだろうか。「また値上げ」「またまた値上げ」というのは、決していいものではないだろう。

だから、今年の動きを予想した上で、そのぶれ幅をも吸収するレベルで、「値上げ」を本気で取り組まなければならないのである。

そこで、4月1日から、値上げがまだ浸透していなかったり、告知不足という理由で、「価格が変わる」ことを伝えなければならない場面に直面する。この瞬間が、売り手にとって一番いやだろう。もちろん、買い手にとっても「高くなる」ということを告げられて、心地よいものではないだろう。

それでも、そこで「値引き」せずに「値上げ」を伝えてほしいのだ。「これこれこういう理由で」値上げします、といえばいい。

その時の相手の反応が、顧客としてこれからも取引が続くのか、値段だけが理由だったのかがわかる。それで離れてしまったとしても、恐れず、また新しいお客様を探せばいい。そうやって、顧客の新陳代謝を進めることもとても大事なのだから。

だから、値上げを伝え、ちょっと雲行きが怪しいと思っても、そこで
「値引きしておきますね」とは決して言わないでほしい。
それで断るようなら、受け入れない相手が悪いわけでもなく、単に「条件があわなかった」というだけの話。「またの機会に」と言って、さっさと引き下がりましょう。そこで、対立や相手に文句を言ったりしてはいけないのです。

2、「値上げ」には2つの理由がある

こちらが誠意を持って、「値上げ」を伝え、それが条件が合わずとも、丁重に、むしろこれまでのお取引に感謝を申し上げて、引き下がる。この最低限の礼節を伴っていれば、あなたは決して負けたわけでも、悪いことをしたわけでもない。

むしろ、その値上げで「買えなかった」側に、ずっと心残りや敗北感を与えることになるだろう。もしかしたら、この先、改めて予算取りをして「買います」ときてくれるかもしれない。だからこそ、丁重に扱うべきなのである。

そして、この「価格交渉」というのは、「本当に欲しいかどうか」を考えてもらうよい機会でもある。値段があがったとしても、どうしてもこれがなければ成り立たない。絶対にほしい。そういう気持ちになることが、改めてお互いの取引関係を強固なものにしていく。

だから、「値上げ」を受けいられれるか否かが大切なのではなく、「値上げ」を通して「商品が相手にとって必要か否か」を問い直すというのが、本当の意味なのである。

そして、この「値上げ」は、単に「利益を出す」という原価構造にするだけのものではない。もう一つの理由は、「これからも」商品をつくり、売り続けるための「機会維持」費用でもある。

単に売上と費用を差し引いた利益が出る、というだけの性格ではない。其の利益がちゃんと積み上げられ、積み立てられ、今後も同じ商品、いやそれ以上の品質のものを提供し続けるための投資や必要な経費を確保するための「値上げ」でもある。

だから、堂々と「値上げ」をするべきなのです。

あなたは、商売を通して生きています。だから、必要な費用を回収するだけでなく、会社や商売を維持するための「利益」が必要です。そして、その利益は、短期的には給与などの人件費や次の仕入れの費用に使われますが、長期的には、こうした商売を続けるための「投資」の原資でもあるのです。

これからも、ずっと、欲しいお客様に提供を「続ける」責任のために、「値上げ」をしないのは、むしろ「無責任」である、とは思いませんか?

3,「値引き」合戦がはじまっている

いま、この厳しい状況にも関わらず、「値引き」や「値下げ」をしている人がいます。より厳しい状況に自ら追い込んでしまうのは何か。もうビジネスが破綻しているというのと同義です。

商品に価値がない。其の商品に顧客がついていない。だからこそ、値段というものでしか判断されない。そんな人々が、これから「値上げ」の中で、さまよい続ける中、在庫処分のごとく「値下げ」という方向に走り出している。

一切気にしなくていいです。いま、崖が崩れようとしています。その崩れた崖めがけて、自ら走り出すような人です。自殺行為そのものです。商品を売り続ける責任を放棄した人たちです。

誘われても、値下げはしませんように。
お願いされても、値下げはしませんように。

「これから」をすべて捨てても、「今」が欲しい。あなたが取り扱う商品は、そんな程度の価値でしたか?ほしいと言ってくれる人はいなかったのですか?



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