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ニンジャスレイヤーTRPGシナリオ案:「ヤクザイズム・テロリズム」

目次

1.始めに

 本記事は、「ダイハードテイルズ」が提供するTRPG、「ニンジャスレイヤーTRPG」第二版でプレイするための、非公式ファンメイドシナリオです。
こちらのルールブックに基づいて作成しています。
 また、ダイハードテイルズが開催する「ニンジャスレイヤーTRPG2版:第二回シナリオコン」への参加作品でもあります。

 また、このシナリオはニンジャスレイヤー第3部のエピソード『ニチョーム・ウォー……ビギニング』を参照しています。


2.シナリオサマリー

 ネオサイタマで勢力を拡大しつつあるアマクダリ・セクトが、ネオカブキチョに群雄割拠するヤクザクランの一つ、「デッドフェニックス・ヤクザクラン」と繋がりを強めているとの情報が入った。
 両組織の関係を破綻させてアマクダリとネオサイタマ裏社会を分断するための大規模工作活動に加わり、作戦に貢献を果たせ。

対象:
作成されて間もないソウカイ・ニンジャ、もしくはソウカイヤから依頼を受け得る立場にあるニンジャ3〜4人
難易度:ノーマル程度
キャラロスト:あり
余暇:標準(4スロット)

その他:工作活動パートの比重が多め。工作用ミッションを、提示された一覧から選んで判定に挑戦する形式を想定しているため、ミッション一覧表が必要。

参照エピソード:
【ニチョーム・ウォー……ビギニング】

 マスターへ:シナリオのコンセプトは、直接的暴力をなるべく使わない工作活動と、戦闘の組み合わせです。

3.ダンゴウパート


 君たちは招集に従い、トコロザワ・ピラー内のホールに集まった。周囲を見渡せば、かなりの数のソウカイ・ニンジャが集められている。君たちと同じく、数人ずつのチームでまとまっているようだ。

 ひとまず、君たちがコミュニケーションを取るべき相手は、自分と同じチームとして集められている、眼前の者たちだ。初対面の者がいる可能性もある。まずはお互いにアイサツを交わすべきだろう。

 君たちがアイサツを終えると、ホールの壇上に一人のニンジャが立つ。

ゲイトキーパー:「ドーモ。ゲイトキーパーです」

 グレーの髪を整え、嫌味のない薄色のスーツを着こなすその姿。派手さはないが、経験と実力に裏打ちされた確かな威厳を身に纏っている。

 ソウカイ・シンジケート最高幹部、ゲイトキーパー。ソウカイヤ威力部門、シックスゲイツの創設者にして名誉顧問を務める、名実共に組織の重鎮としてリスペクトされる存在だ。

ゲイトキーパー

◆ゲイトキーパー (種別:ニンジャ)
カラテ    12    体力   14
ニューロン  10    精神力  12
ワザマエ   14    脚力   7/N
ジツ     3    万札   50

攻撃/射撃/機先/電脳  12/14/10/10
回避/精密/側転/発動  15/14/14/13

◇装備や特記事項
 パーソナルメンポ、タクティカルスーツ、ニンジャレガース、ニンジャブレーサー
 トンファーx2(二刀流とみなす)
『●連続攻撃2』(二刀流時は+1)、『●連射3』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
『◉ニューロンブースト/チルアウト』、『◉忠誠心:ソウカイヤ』、『◉剣との合一』、
『◉回転斬撃強化』(目にも止まらぬトンファーの全方位攻撃を再現する)、
『◉◉タツジン:二刀流』(トンファー二刀流を再現する)、
『◉ヒサツ・ワザ:マサシズ・パニッシュメント』、
『☆ムテキ・アティチュードLV3』(鉄壁の守りのエンハンス・トンファー・カラテを再現する)、
『☆◉バリケード化』
『◉知識:ファッション』、『◉知識:ソウカイヤ』。『◉知識:高級嗜好品』、
『◉知識:経済』、『◉知識:犯罪』、『◉交渉:理路整然』

 普段は裏方として組織を支える役割を担い、現場での活動に関わることは稀であるため、ニュービーニンジャの内は彼の存在すら知らないことも珍しくないだろう。 

 そのゲイトキーパーが、こうしてニュービーを含んだソウカイ・ニンジャを多数集め、その前に立っている。異例の事態だ。
 ゲイトキーパーの横には、ソニックブームやバンディット、ヘルカイトといったシックスゲイツの最高位の者たちの姿もある。広間には、彼等の放つニンジャ存在感による圧力が充満しつつある。

ゲイトキーパー:「今回、諸君に集まってもらったのは、ソウカイヤの総力を結集して当たることとなった、あるプロジェクトに参加してもらうためだ」

ゲイトキーパー:「少し長話になるが、傾聴願いたい」

 ゲイトキーパーの視線が、広間全体に注がれる。一人ひとりを観察するかのように。

ゲイトキーパー:「ソウカイヤには敵が多いが、その中でも特に危険性を高めている組織がある。アマクダリ・セクトだ」

 ゲイトキーパーの背後のスクリーンに、「天下」とデザインされたエンブレムが浮かび上がる。
 続けて、スクリーンにネオサイタマ全域の概略図が映し出され、そこにジワジワと天下紋が広がっていくイメージ映像が流れた。

ゲイトキーパー:「彼等は野良ニンジャのスカウトにおける競合を主に、幾度となく我々と対立してきた」

ゲイトキーパー:「彼等の存在を認識してから、我々も調査を継続してきたが……アマクダリの秘匿性は極めて高く、未だ全貌を掴むには至っていない。公権力やマスメディアといった分野に、その影響の輪郭が見て取れた程度だ」

ゲイトキーパー:「しかし、諜報偵察部門の精鋭諸君が、この度キンボシを上げた。ヘルカイト=サンの偵察から、あるアマクダリ・ニンジャの動きが発覚し、バンディット=サンが決死の潜入を行って、撮影してきた写真がこれだ」

 己の功績を誇示するように、バンディットとヘルカイトが広間のニンジャたちを睥睨する。それを横目に、ゲイトキーパーが背後のスクリーンに写真を投影した。

 豪奢な邸宅の一室とわかる内装。チャブを挟んで向かい合うソファに座る二人の男女。
 片方は、上等な毛皮のコートを着た女だ。髪にはブラックオニキスのカンザシ、顔には幻惑的なヴェール。写真越しでもわかる威圧感は、ニンジャのそれだ。

 もう片方は、スキンヘッドにガスマスクメンポをつけた男。こちらもニンジャである。その腕には、「天下」のエンブレムを刺繍した腕章!

ゲイトキーパー:「……このアマクダリ・ニンジャについては調査中だが、密談相手の素性は調べがついた。ミロコ・ウノ。ニンジャとしての名はエンプレス。ネオカブキチョ周辺のヤクザクランの中でも、特に武闘派として知られる『デッドフェニックス・ヤクザクラン』のオヤブンだ」

ゲイトキーパー:「アマクダリ・セクトが、裏社会にまでその触手を伸ばし始めたことは確実。ソウカイ・シンジケートは、この状況を看過しない。ラオモト=サンの障害となり得る存在は、たとえ姿の見えない怪物めいた勢力であろうと、手段を選ばず引きずり出し、排除せねばならない」



ゲイトキーパー:「しかし、アマクダリは無鉄砲な暴力だけで喉首に喰らいつけるほど、甘い相手ではない。故に、今回のプロジェクトを立ち上げた」

ゲイトキーパー:「アマクダリ・セクトとネオサイタマ裏社会を分断し、敵の浸食に歯止めをかけるための、大規模工作活動だ」

 ゲイトキーパーは、スクリーンを指しつつ更に話を進める。

 概要はこうだ。現時点でアマクダリの関与が疑われる組織や業界に対して種々の妨害工作・破壊工作を仕掛け、アマクダリを挑発する。
 それと並行して、元よりソウカイヤの影響が強いネオサイタマの裏社会、すなわち各ヤクザクランに対して、アマクダリの印象を下げ、ソウカイヤの印象を上げるための工作活動を行う。

 これをもって、アマクダリ・セクトを「公権力の立場から裏社会の懐柔と排除を進め、古き良きヤクザの矜持を踏みにじる抑圧者」として悪魔化し、ソウカイ・シンジケートを「アマクダリの横暴にヤクザの矜持と暴力で立ち向かう解放者」と定義する。

 そうした物語を仕立て上げ、ヤクザ界に流布することで、アマクダリを裏社会から切り離す。最後には、刺激されたアマクダリが反応し、直接的に出てくるところを狙って、上層部が仕掛けを打ち、デッドフェニックスとアマクダリの関係を破綻させる。

 隠匿と抑圧を主とし、明快な暴力と恐怖を武器としてきたソウカイヤとしても、異例の計画である。

ゲイトキーパー:「水面下でのこととはいえ、公権力に対して挑戦する。アマクダリは、これをテロリズムと断ずるかもしれない」

ゲイトキーパー:「だが、これはイッキ・ウチコワシがやるような無軌道なテロ行為ではない。裏社会の世論を味方につけ、ネオサイタマをあるべき姿に是正するための行動だ」

ゲイトキーパー:「ネオサイタマはラオモト=サンのものである。それを知らしめ、この街に我らの手で真の秩序をもたらす!」

ゲイトキーパー:「我々がこの街からアマクダリという癌細胞を切除し、帝王の露払いを務めるカタナとなるのだ!」

 ゲイトキーパーが両手のトンファーを交差させ、力強い宣言と共に振り開く。
 それに合わせて、スクリーンに映されたネオサイタマ概略図に点在していた天下紋を二振りのカタナが斬り払い、中央で交差してクロスカタナのエンブレムを形作る映像が流された。

「「「「「ヨロコンデー!!!」」」」」

 広間のソウカイ・ニンジャたちが一斉に叫ぶ。
 ナムサン! なんたる欺瞞! ソウカイヤもアマクダリと同じく血も涙もないニンジャ組織であり、その方向性と帰属する先が異なるに過ぎない。

 ヤクザを自分たちの道具に落とし、踏み付けにするのも両組織に共通の要素である。にも関わらず、自分たちをヤクザの救世主に据えんとする悪辣!
 これに対して、君たちがどのような思いを抱くかは、君たち自身とブッダのみが知り得るところであろう。

 一方で、場の熱狂を煽っておきながら、広間を眺めるゲイトキーパーの目には変わらぬ冷徹で怜悧な光が宿っていた。

 君たちを含むこの場のニンジャの中にも、違和感を覚える者はあるかもしれない。組織同士の大規模な戦闘ならいざ知らず、隠密的要素を含む工作活動において、これほどの人員を投入するのは不自然ではないか。
 今回の発端となった情報を持ち帰った、ヘルカイトやバンディットのような精鋭を投入し、集中的に運用すれば済むはずだ。

 答えは、ゲイトキーパー個人の思惑にある。
 彼は以前より、威力部門の洗練強化を目標の一つに据えてきた。来るもの拒まずがソウカイヤの理念の一つではあるが、だからこそ組織の中枢に近づけるのは、ラオモト・カンの傍に立つに相応しい威厳・品格・気概を持つ者であるべき、と考えているからだ。

 そうした要素を身に着けるためには、一辺倒な暴力だけでは足りない。
 こうした迂遠な作戦行動を理解し実行できるだけの総合的な実力、中長期的な視野、ニンジャの行動が社会に与える影響を把握出来る思考、そういった要素に裏打ちされる。それがゲイトキーパーの考えだ。

 ニュービーまでも計画に参加させるのは、現時点のソウカイ・ニンジャたちの中にそういった光る物を秘める者がいるか見極めるための試金石である。
 それが証拠に、最前列で野卑な歓声を上げるデッドラインやアイアンフィストなどには、ゲイトキーパーは既に見向きもしていない。
 あるいは、その視線は君たちに注がれているかもしれない……。

 ともあれ、今回の任務は君たちの組織内における今後の立場を、それなりに左右するものとなるだろう。

ゲイトキーパー:「それでは、指示通りに各班ごと別れ、行動を開始するように」

 ゲイトキーパーが踵を返す。彼の退出が、作戦開始の合図となるだろう。


4.工作活動パート

 君たちはトコロザワ・ピラーを出立し、ネオサイタマの闇の中へと繰り出した。
 これよりネオサイタマ各地における工作活動に従事し、計画に貢献して自分たちの有用性を組織に示さねばならない。

 君たちの行動は、トコロザワ・ピラーでログインした作戦用IRCチャネルにより、逐一ログが取られるようになっている。
 他のチームの動向も参照可能だ。当然ながら、他のチームが達成したミッションに挑戦することは出来ない。限られた時間と、ライバルとの競争の中で、どれほどの成果を残せるか。腕の見せ所だ。


 ゲイトキーパーより提示された期限からして、チーム全員が各4回の行動を起こすことが出来るだろう。

マスターヘ:工作活動パートについて

 工作活動パートは、あらかじめスプレッドシートなどで提示したミッション一覧表の中から、PLに判定に挑戦したい物を一つずつ選んでもらう形で進行します。
 用意が難しい場合は、マスターの手元にのみ一覧表を置き、挑戦するミッションの選択をダイスに委ねるという方法も取れるかと思います。


 参加しているPL全員が、イニシアチブ順に1回ずつミッションの選択と判定を行って1ターンとし、合計4ターンを終えた時点で終了として、戦闘パートに移行します。
 この判定の結果を任務への貢献度に反映し、結果発表パートにおける評価に使用します。

・判定について
 判定難易度は一律で【Hard】とします。

 判定に失敗した場合:
貢献度は獲得出来ません。

 判定に成功した場合:貢献度を1獲得します。

 【6】を出して判定に成功した場合:
より大きな成果を上げたものとし、貢献度を2獲得します。

 【6,6】以上を出して判定に成功した場合:
最大級の成果を上げたものとし、貢献度を3獲得します。

 適した知識・交渉スキルによる補正:
各ミッションに適していると思われる知識・交渉スキルをPCが持っていれば、マスターの判断によって補正を付けることも可能かと思います。
 本来、知識・交渉スキルの判定はニューロンによるものと公式ルールブックにもあるため、工作活動パートの種別をカラテ・ニューロン・ワザマエの三種に分けている本記事においては、適した知識・交渉スキルは記載しないこととしています。

・ライバルチームについて
 
PCたちと競わされるライバルチームは二組送り込まれていると設定しており、PCチームと同じく工作活動に従事します。

 ターンの最後に、マスターがその時点で残っているミッション数に等しい面のダイスを二個振り、出た値を残ミッションを並べた際の順番に当て嵌め、該当のミッションをライバルチームが挑戦したものとして表から消し、挑戦不可としていく形です。

 これによって、PL全員が一回ずつ判定を終え、1ターンが終了するごとに残っているミッションを二つずつ消去していくという流れになります。
 PCが4人の場合、1ターンごとに合計6つのミッションが表から消えていくことになります。

 ライバルチームは、貢献度においてはPCたちを上回ることはなく、競争に関しては必ずPCのチームに敗北するものとしています。
 ライバルチームの存在は、あくまで『ニュービーたちにチームを組ませて競わせ、威力部門の洗練強化のための能力テストをする』というゲイトキーパーの目論見を表現するためのフレーバー要素であり、PCチーム以外のソウカイ・ニンジャも動いている、という説得力作りのためと考えています。

 ミッションの選択肢を狭めるだけのものとして、マスターが不要と判断したり、処理を簡略化させたいと考えたりした場合は、ライバルチームによるミッション消化判定自体をなくしてしまっても構いません。 

 PCたちに勝てないことについては、ソウカイヤはニンジャとあれば手あたり次第に組織に引き入れているため、そもそも単純な暴力以外の作戦行動が上手く取れない者が多い、といった理由付けをすればいいかと思います。
 PCたちの特別感にも繋がるかもしれません。

・ミッションについて
 下記のミッション群は、本記事における例として考えたものです。

 PCの所属や立ち位置、マスターやPLのアイディアによって、新たなミッションを加えたり、差し引いたりしていただくことも可能かと思います。

 本記事における工作活動とは、「敵組織に嫌がらせをして挑発し、先に手を出させて被害者を装う」、「敵組織の印象を下げ、PCの所属組織の印象を上げるような隠密作戦・情報操作を行う」といった目標を達成するため、直接的戦闘とは違う回りくどいミッションと設定しています。
 この前提の上で、本記事に挙げているもの以外のミッションの案があれば、それを組み込んでいくことも出来るのではないかと考えています。

 また、本記事においては、公式設定におけるアマクダリの秘匿性の高さを鑑みて、「ソウカイヤは、アマクダリの内情や影響の広がり具合をあまり掴み切れていない」という設定のもとで考えています。


工作活動ミッション一覧


ミッション種別:扇動

判定方法:カラテ【難易度:Hard】

1.ソウカイヤに非協力的なメガコーポの株主総会へ出席・威圧
 オナタカミ社など、ソウカイヤに非協力的なメガコーポの株券をネコソギ・ファンド経由で用意した。
 これをもってメガコーポの株主総会へ出席し、カラテ威圧感をもって対象のメガコーポ役員を恫喝しろ。
 コンプライアンス徹底の要求や行き過ぎた市場独占を咎める言論などを織り交ぜ、「メガコーポの横暴に歯止めをかけるヤクザたちの代表たるソウカイヤ」という印象を刷り込めれば、なお良し。

2.ソウカイヤに非協力的なメガコーポへの労働組合結成の支援・対象企業上層部への恫喝
 オナタカミ社など、ソウカイヤに非協力的なメガコーポの社員に接触し、労働組合の結成を促して、組合活動の安定までの間、対象企業の圧力から組合を守れ。
 ソウカイヤ関連のメガコーポには、組合結成の意気が伝播しないよう、別口で工作は行うので影響の心配はせずとも良い。

3.NSPDに先んじての軽犯罪解決、モータル犯罪者の私人逮捕と引き渡し
 事件が既に起きた後でなければ動けないということが、警察官僚の弱点の一つであり、事が起きる前から抑止・解決に向けて行動できるのがヤクザの強みである。
 ヤクザの立場から先んじてネオサイタマ各所で起きる軽犯罪の解決に動き、犯罪者を私人逮捕してヤクザが事件を解決したことを周辺地域にアピールした後、マッポに引き渡せ。
 犯罪者がニンジャの場合は、捕えるのに時間がかかり確実性も下がるため、ターゲットは可能な限りモータルに絞れ。

4.公務員やその家族への闇金融による融資と借金取り立て
 アマクダリは、公権力への影響を強めているらしいことがわかっている。よって、公務員は工作活動のターゲットの一つである。
 彼等の中にも、ストレスや見栄からカネ使いが荒い者もいる。そういった相手をピックアップし、ソウカイヤ系列の闇金融からの融資を申し出て絡め取り、追い込みをかけるために役所やカチグミエリアの住居にまで押し掛けることで、アマクダリに揺さぶりをかけろ。

5.地道な地回り活動
 ヤクザ本来の在り方は、地域における自警団的活動と、それに伴う地元住民とのフェイス・トゥ・フェイスの関係構築である。
 ソウカイヤ系列のヤクザクランのメンツを潰さない程度に、こうした地道な活動を行うことで、ソウカイヤのヤクザとしての側面をアピールし、ネオサイタマ裏社会との繋がりを更に深めろ。

6.バウンサー部門の活動補助
 ソウカイヤのヤクザ的活動において、ヨージンボの派遣は外せない要素である。
 ヤクザとしてのソウカイヤの側面をアピールするため、バウンサー部門の活動に加わり、補助せよ。

7.ネオサイタマの歴史的施設の再開発に対する反対運動
 公共事業のカネの動きを追ったところ、街区整備や再開発の名のもとに、ネオサイタマ各地にある歴史の深い施設の排除が進みつつある気配を察知した。
 動きが小さいため、まだ事態は表面化していないが、アマクダリの関与も疑われる。この再開発の動きをより大きく喧伝し、それに対する反対運動を主導することで、アマクダリへの挑発・牽制と、地域住民や伝統的な気質を持つヤクザクランからの支持獲得に努めろ。

8.小規模違法店の店主に対する、自作自演の救助活動
 クローンヤクザによる権力機構の尖兵、「ハイデッカー」による取り締まり活動がネオサイタマの一部地域で行われ始めている。
 これに便乗して、ハイデッカーに偽装させたクローンヤクザに、違法商売人たちに捜査と称して因縁をつけさせ、そこにタイミングを見計らって介入・事態解決を演出する自作自演を行って、ソウカイヤとの繋がりを強引に作れ。
 キタノ・ストリートの地下にアジトを構える情報屋、タキなどは狙い目だ。

9.公共工事予定地に対するジアゲと、売却時の恫喝交渉
 アマクダリの全貌は見えないが、少なくとも公権力への影響力は強いとみられる。ネオサイタマ各地における、再開発の名の下に強行されようとしている公共工事は、アマクダリの意思による可能性もある。
 これに先んじて、予定地に対するジアゲを行い、担当している役人相手に売却交渉におけるヤクザ式恫喝を仕掛けろ。上手くすれば、地元の支持拡大のみならず、未だ全貌が見えないアマクダリの影響力に対する調査や、敵への妨害・挑発にも繋がるだろう。

10.逮捕されたヤクザクラン関係者の裁判への証人としての出廷、被告有利の証言とそれにかこつけたヤクザ的矜持の主張
 裁判という特殊な環境は、やり方によっては主張によって自分たちを売り込む場ともなり得る。
 逮捕されたヤクザクラン関係者を見繕い、裁判に弁護側証人として出廷する手筈を整えてある。
 裁判所で被告有利の証言をすると同時に、ヤクザの在り方、矜持を刺激するような主張を織り交ぜ、裁判をヤクザとしてのソウカイヤを売り込む場に変えろ。退廷させられるまでの間に、短く端的に印象を残すように尽力すること。

ミッション種別:交渉

判定方法:ニューロン【難易度:Hard】

11.各ヤクザクランへの闇取引の保証と中立的なダンゴウ場所の提供
 犯罪組織が提供出来るサービスの最たるものの一つが、暴力を背景とした保護である。その需要が発生する場の一つが、闇取引だ。
 ヤクザクラン同士の間に仲介として立ち、ニンジャの暴力を持って本来なら無法の闇取引の場に、一定の信頼と秩序をもたらすことで、ヤクザたちの信頼を勝ち取れ(原作第4部における『獄麗』のポジションを、ヤクザクラン向けにソウカイヤが占めるイメージ)。

12.マスメディア関係者へのケツモチとしての関係構築
 
アマクダリの動きは掴みにくいが、マスメディアに流れるカネの動きはいささか隠ぺいが甘く、報道関係各社にアマクダリの影響が広がりつつあることは掴めてきた。
 そこで、NSTV社の関係者や、ソウカイヤとの関係がない芸能事務所、芸能人に対して接触し、ヤクザとしてのケツモチの立ち位置を確保、関係を構築してアマクダリへのけん制手段、及び系列ヤクザクランの新たな資金源とせよ。
 対象への過度な直接的暴力は避けるべきだが、スキャンダルの証拠を掴んでの脅迫、ヤクザ的な威圧など、手段は多少強引でも構わない。

13.ヤクザアリバイ会社の運営
 「保証人制度」という強固な相互管理システムが存在するこの社会において、下層市民は堅実な生活基盤を持つ身内を持つもの以外、賃貸契約を結べないことをはじめとした様々な壁にぶつかる。
 そこで、ソウカイヤ関連のヤクザクランに命じ、債務者を身代わりに立てての偽の身内のでっち上げ、あるいは本人の身分の偽装を行い、後ろ盾なき下層市民からカネを受け取って、引き換えに名義を保証するシノギを行う。すぐに裏を探られないよう、名刺や身分証、担当ヤクザクランに繋がる偽の連絡先なども用意させること。
 用意する偽の身分は、アマクダリの影が見え隠れするオナタカミ社正社員、あるいは公務員といったものにすること。トラブルが起きた際、担当のヤクザクランにはしらを切り通させることで、アマクダリが関連している疑いが強い組織の、社会的信頼度を下げることを目的とする。ヤクザにとっての、代紋の無許可使用に匹敵する屈辱を叩き付けろ。

14.ネオサイタマ市議会議員の選挙への協力
 公権力への介入は、ソウカイヤとしてもいずれ進めるべきことである。ネオサイタマ市議会にソウカイヤの息のかかった議員を複数送り込むための、選挙における票田作りや関係各所への「穏便な」協力要請を行え。
 ネオカブキチョ周辺の地域浄化法案に反対姿勢を表明する議員を複数作れれば、ネオカブキチョの住民やヤクザへのアピールにも繋がるだろう。

15.アマクダリ傘下にないNSPDの課への癒着工作

 NSPDは極端なタテワリの組織構造であり、課ごとの連携はほぼ皆無である。一部の課はソウカイヤとの癒着を拒んでおり、その背後にアマクダリがいる可能性も考えられている。
 外部から課の内部事情は見えにくいが、裏を返せばソウカイヤの懐柔に反応を示す課は、アマクダリの手が及んでいない確率が高く、介入の余地がある。
 そういった課に接近し、ソウカイヤ側に引き込む工作を行え。ただし、危険性が高いと思われる49課は避けること。

16.ヤクザクランのシノギに対する闇投資
 
ニンジャ組織の台頭や、暗黒メガコーポの勢力拡大により、ヤクザクランの多くは困窮している。ソウカイヤへの上納金でそうなっているクランも多く、ヤクザ業界の支持を取り付ける上で、障害ともなり得る。
 特になりふり構っていられない事態にあるクランを選び、恩を着せる形でシノギへの闇投資を持ち掛けろ。

17.特定のソウカイヤ傘下ヤクザクランへの再懐柔
 
現在、ソウカイヤが傘下に置いているヤクザクランの多くは、ニンジャの暴力を背景にした恫喝によって従わせている。
 我の強いヤクザたちに舐められないようにするには必要な措置だが、恐怖と共に反感を覚えるクランが多いと今回の計画に支障をきたす。
 中でも特にその傾向の強い二つのクラン、「キルエレファント・ヤクザクラン」と「横浜御縄連合」に対して、ある程度軟化させた態度で接し、上記の闇投資の提案を行うなどの手段で反感を和らげろ。集金部門の担当ニンジャと協力し、「良いマッポ・悪いマッポ」メソッドの形式を取れれば、なお良し。

18.トネ湖周辺の少数ヤクザクランに対する支援
 
バイオ系メガコーポの影響が強いトネ湖周辺は、以前よりソウカイヤが浸透出来ていない地域である。
 この地域周辺にも、ごく少数ながらヤクザクランは存在する。これらのクランに接触し、ソウカイヤの拠点は作らず、あくまで外部からの協力という形でクランを支援、支持を取り付けろ。
 マスターへ:公式設定によると、この地域はアマクダリのテリトリーになりつつあるようですが、ソウカイヤはそこまでは掴み切れていない可能性もあるため、説明文にはそのあたりを入れていません。知らずに結果的に、アマクダリのテリトリーに揺さぶりをかけることになる、という展開も可能かと思います。

19.渾崎(ケオサキ)地区のヤクザクラン、〈老頭〉との関係構築
 
ネオサイタマの南西の端、渾崎(ケオサキ)地区はネオサイタマ経済圏から取り残されつつあるが、それ故に古いヤクザクランがいまだ細々と生き残っている。
 この中でも代表的なクラン、〈老頭〉に接触し、今後の関係構築の布石を打て。〈老頭〉は昔ながらのヤクザ組織であるため、接触にはヤクザの流儀に基づいた慎重さが要求される。
 見せかけであっても、彼等と友好関係を結ぶこと自体が、ソウカイヤを古きヤクザたちの復活を先導する存在だと印象付けられる。

20.湾岸警備隊への防衛予算増額のための、市議会への干渉補助
 鎖国状態の日本にあって、未だ油断なき戦闘力の維持を欠かさない湾岸警備隊との関係構築のため、防衛予算増額を実現させる必要がある。
 ネオサイタマ市議会にこれを働きかけるため、ソウカイヤの息のかかった議員の影響力拡大のための根回し、これと対立する議員への恫喝などをこなして、工作を補助せよ。

ミッション種別:隠密

判定方法:ワザマエ【難易度:Hard】

21.ネオカブキチョで蔓延し始めている危険薬物「ピュア・オハギ」の生成者であるニンジャの捜索補助
 
ネオサイタマにおける薬物密売のルートを、今回の作戦に際して洗い直したところ、危険薬物生成を請け負う、正体不明の生成業者がいることが明らかになった。近年、ネオカブキチョに流れている「ピュア・オハギ」の生成にも、関わっている可能性がある。ヤクザの古くからのシノギである違法薬物売買に、筋を通さず参入する許しがたき所業である。
 用心深い相手だが、カネと薬物の流れを辿れば見つけられない相手などいない。諜報偵察部門による対象の潜伏場所捜索を補助し、威力部門の確保チームに任務を引き継ぐ体勢を整えろ。
 マスターへ:ターゲットの生成業者の正体は、無所属ニンジャの「ラストリゾート」です。

22.ヤクザ抗争のショウビズ化についての証拠の確保、およびヤクザ界隈IRCへの拡散

 サイバーツジギリブローカーたちが、小規模ヤクザクラン同士の抗争を仕組み、これを中継して闇カネモチへの娯楽とするビジネスを試験的に運用し始めているという情報が入った。ネオサイタマの全ヤクザにとって、許しがたき所業である。
 隠密行動によって証拠となる現場映像を撮影し、ヤクザ御用達の裏IRCに放流せよ。
 マスターへ:ソウカイヤは、この件へのアマクダリの関与までは掴み切れていないものとして設定しています。ショウビズ計画進行の中心となっているのは、サイバーツジギリブローカーの「笑い爺」です。

23.違法薬物「メン・タイ」流通に関する、NSPDの一部の課の関与について証拠を確保、およびヤクザ界隈IRCへの拡散
 ネオサイタマにおける薬物密売のルートを、今回の作戦に際して洗い直したところ、NSPDの一部の課が自分たちで麻薬を扱っているという疑惑が浮上した。ヤクザの古くからのシノギである違法薬物売買に、公権力の立場から参入しようという許しがたき所業である。
 問題の課の責任者は、カスミガセキのオーガニック中華飯店「スコシ・シャンハイ」をよく利用するらしい。隠密行動によって証拠となる現場映像を撮影し、ヤクザ御用達の裏IRCに放流せよ。
 マスターへ:この癒着を仕切っているアマクダリ・ニンジャ、フレイムタンは、公式設定によると渾崎地区出身です。この情報も取れれば、渾崎地区の住人たちの怒りを、より煽り立てるという展開にも出来るかもしれません。

24.暗殺野球の妨害
 
ネオサイタマ野球における暗殺は、以前より闇の世界で行われていたことだが、その中でも特に高い暗殺技術を持つニンジャ、「サブスティテュート」の存在が割れた。ソウカイヤの影響下にない彼の暗殺の背後に、アマクダリがいる可能性は十分に考えられる。
 彼の暗殺計画の一部を、諜報偵察部門が入手した。野球場に潜入し、秘密裏に暗殺を妨害せよ。それをもって、アマクダリが反応するかどうかを、上層部が監視・判断する。

25.組織に隠れて個人的集金活動を行っている、アマクダリ末端ニンジャの洗い出しと被害者の救済
 
現在、勢力拡大中のアマクダリは、数を揃えるためにニンジャの取り込みに積極的と思われるが、それ故に質の悪い者も紛れ込んでいるはずだ。
 その予測のもとに調査を進めたところ、所属不明のニンジャによる脅迫と恐喝を受けているネオサイタマ市民が幾人か情報網に引っかかった。
 その被害者にソウカイヤのヤクザとして接触し、救済することで支持を広げると同時に、対象のニンジャの情報を聞き出し、上層部に報告せよ。
 対象のニンジャは、アマクダリであるか否かに関わらず、スカウト部門精鋭を送り込んで確保するため、工作担当者は被害者の篭絡に徹してよし。

26.連続する若手モデル失踪事件にアマクダリが関与している証拠を掴み、被害者の中から特に各ヤクザクランが関係している芸能事務所所属者を洗い出し、ヤクザ界隈IRCへ拡散
 
意図は不明だが、芸能界で頻発する若手モデルの失踪事件の影に、アマクダリの影響が疑われるカネの動きを捉えた。ヤクザクランがバックについている事務所の者も数名、被害者に含まれている。
 直接の拉致は、アマクダリ末端ニンジャが行っている可能性もある。そうした現場映像などの証拠を抑え、ヤクザ界隈に情報を流してアマクダリへの反感を高めろ。
 マスターへ:若手モデル失踪の黒幕は、アマクダリ最高幹部「12人」の一人であるニンジャ、マジェスティです。

27.企業ダンゴウにおいて、ソウカイヤに従わない企業の調査
 各メガコーポ群同士のダンゴウを取り仕切る役割は、ソウカイヤが以前より勤めてきたものである。
 しかし、ソウカイヤに対して服従を示さないメガコーポが、ここ最近少しずつ現れ始めた。背後に、アマクダリの関与が疑われる。
アマクダリにメガコーポのダンゴウにおける主導権を渡さないため、ソウカイヤは一歩も引かない。対象メガコーポ関係者の動向を探り、今後への足掛かりを得よ。ある程度までの脅迫・恫喝も許可する。

28.ソウカイヤに友好的でないエスタブリッシュメント層に提供される移植用臓器やサイバネなどの物資の強奪、およびヤクザクランのオヤブンや幹部への適正価格による横流し
 
アマクダリは組織の内情を極めて巧妙に外部に対して隠しているが、社会の支配者層に対する影響を拡大しているのは、これまでの調査でほぼ確実と思われる。
 そのため、実際にアマクダリに与しているのかどうかに関わらず、ソウカイヤと友好関係を結んでいないエスタブリッシュメント層は、工作活動の対象となる。
 彼等に優先的に提供される、移植用臓器やサイバネティクス、高価な薬物といった物資を強奪せよ。ソウカイヤの関与の証拠は残さないよう注意すること。
 奪った物資は、ヤクザへの支持拡大のために、各ヤクザクランの関係者に横流しせよ。

29.アマクダリに反感を持つ野良ニンジャの洗い出しとスカウト部門への報告
 アマクダリによる活動の全貌は見えないが、ニンジャ組織が動く以上、そこに必ず踏み潰される虫のように扱われる者たちがいる。裏の世界には、徐々にアマクダリの名前は広がりつつあり、それ故にアマクダリに反感を抱く野良のニンジャも少なくない。
 スカウト部門がこうした野良ニンジャの捜索に当たっているが、手が足りない。工作の一環として、スカウトに相応しいと思われるニンジャを発見した場合、スカウト部門に報告すること。

30.短絡的な性質を持つアマクダリ衛星組織の洗い出し、対象組織の収入源への妨害活動・挑発行為
 
 急激な勢力拡大の一方、これまでソウカイヤの網にかかったアマクダリの末端ニンジャは、小規模組織に属して活動しており、上層部の情報をほとんど持っていないものが多かった。
 これは、アマクダリが下位の立場のニンジャを、衛星組織として切り離して運用していることを意味する。情報管理という面では機能的な仕組みだが、同時にソウカイヤに比べて、指揮命令系統が機能するのが遅いという弱点が生まれる。
 こうした衛星組織を複数、諜報偵察部門が洗い出している。これらに対して因縁をつけ、挑発と妨害を繰り返せ。ただし、早期に戦端を開かないよう、嫌がらせの範囲で収めておくこと。

5.戦闘パート


マップ


 君たちの成果に関わらず、計画そのものは滞りなく進行し、現在。

「チョウダ!」「ハンダ!」「ハンダ!」「チョウダ!」「ハンダ!」

 『デッドフェニックス・ヤクザクラン』の邸宅にて、賭場が開帳されていた。賽を転がす丁半博打の場は、裏社会における複雑なマネーロンダリング作業であり、本来ならばその場の勝敗に関わらず、どこか和やかなアトモスフィアすら漂うものである。

 しかし、この日は違った。参加している闇カネモチたちの顔には汗が滲み、賭場の空気は張り詰めていた。資産の行き来を脳内で処理する有能なテッカバすらも、その手に震えが見て取れる。
 その理由は、場の端に座る男。ソウカイ・シンジケート幹部、ゲイトキーパーの存在にあった。

 ソウカイヤの最高幹部が、自らネオカブキチョに訪れること自体が異例中の異例。まして、近辺随一の武闘派として知られ、今や密かにアマクダリ・セクトと繋がるデッドフェニックス・ヤクザクランに乗り込んで来るとは。

 相手は巨大組織ソウカイヤ。更には、工作活動によって組織の名はヤクザ界隈でこれまでにない称賛をもって語られている。

 そのうえで、ヤクザ流の様々な折衝や手続き、複雑な礼儀プロトコルの全てを完璧にこなし、賭場への参加を申し出た彼を、デッドフェニックス・ヤクザクランのオヤブン、エンプレスも拒絶することが出来なかった。

 エンプレス:(ソウカイヤ……何を目論んでおるか……)

 周囲と違って動揺はおくびにも出さず、しかし彼の真意までは測りかねつつ、壺振りの役目をこなしていたエンプレスの物思いは、けたたましいサイレンといくつもの威圧的な足音に掻き消された。

ハイデッカー:「ザッケンナコラー家宅捜索!」

ハイデッカー:「スッゾコラー強制捜査!」

 表の入口からは、複数のハイデッカーの怒声!

 更には、裏口からも複数名が突入し、庭園に展開する! 数名のニンジャを含むアマクダリ・セクトの部隊だ! 先陣を切るは、アクシスのニンジャ、ヴァニティ。ディクテイターやフレイムタン、ブラックメイルといったエージェントニンジャや、衛星組織の末端ニンジャの姿もある。

 エンプレスは賭場のショウジ戸を開け放ち、震えあがる闇カネモチたちを背後に縁側へと進み出た。
 エンプレスとヴァニティが代表アイサツを交わし、真っ向から睨み合う。

エンプレス:「何事か。ここは我らデッドフェニックス・ヤクザクランの領域。勝手な真似は許さぬぞ」

ヴァニティ:「極めて緊急性の高い、重要参考人の確保だ」

 ヴァニティの目には、有無を言わさぬアトモスフィアがあった。彼女は、傍のハイデッカーが差し出した逮捕状を受け取ると、それを高く掲げた。

ヴァニティ:「対象者はゲイトキーパー=サン。ヤクザクランが関わる複数の事件における、使用者責任での逮捕状だ。今夜、ここに本人が来ているとタレコミがあった。速やかに引き渡してもらう」

エンプレス:「今は、我がデッドフェニックス・ヤクザクランが賭場を開帳している最中じゃ。いかな理由があろうと、中断の上で客を差し出すことなど出来ぬわ。クランの沽券に関わる」

ディクテイター:「何が沽券だ、ヤクザ者が!」

 ガスマスクメンポのニンジャ、ディクテイターがエンプレスを指さし、金切り声を上げた。

ディクテイター:「貴様、まさかソウカイヤとも繋がっていたんじゃねえだろうな!? 俺がこれまでどれだけ」

ハイデッカー:「ザッケンナコラー公務執行妨害!」BLAM!

 その時である! ディクテイターの言葉を遮るように、ハイデッカーの一人が突如発砲した!

ザマトラ:「アバーッ!?」

 想定外のタイミングで放たれた弾丸は、苦虫を嚙み潰したような顔で状況を見守っていた闇カネモチの一人、ザマトラの頭を吹き飛ばした。

ディクテイター:「な、バッ、まだ発砲命令は――――」

ヴァニティ:「……やられたな。イヤーッ!」

ハイデッカー:「アバーッ!」

 ヴァニティが発砲したハイデッカーを殴り飛ばす。その時、コトダマの狭間に溶けるほど微かな「ホホホ……」という笑い声を聞いた者がいたのかどうか。

エンプレス:「一方的に疑いをかけ、邸宅に踏み込んできた挙句、客人を撃ち殺す。これがアマクダリのやり方かや」

 エンプレスの怒気に満ちた声が発せられた。それを合図に、デッドフェニックス・ヤクザクランのニンジャたちが次々に庭園に現れる。

 エンプレスの横には、賭場から滑るように出てきたゲイトキーパーの姿もあった。

ゲイトキーパー:「ここに至っては、我々も当事者。邸宅内なれど、構いませんな?」

エンプレス:「……無論のこと」

 エンプレスが答えれば、ゲイトキーパーが右手を掲げる。これが君たちへの合図だ!
 待機していた応接間から庭園に飛び出し、アイサツを行おう。


NPCデータ

◆プラズマリザード (種別:ニンジャ/アマクダリ・セクト衛星組織「ウォーヘッド・カンパニー」構成員)    
カラテ    3  体力   3
ニューロン  4  精神力  4
ワザマエ   5  脚力   3/N
ジツ     3  万札   10
攻撃/射撃/機先/電脳  3/5/5/4
回避/精密/側転/発動  5/5/5/7
即応ダイス:5  緊急回避ダイス:0

◇装備や特記事項
『◉常人の三倍の脚力』『◉滅多打ち』
『☆デン・ジツ(LV3)』
◆トリガーハッピー (種別:ニンジャ/アマクダリ・セクト衛星組織「ウォーヘッド・カンパニー」構成員)    
カラテ    4  体力   3
ニューロン  2  精神力  4
ワザマエ   5  脚力   3/N
ジツ     0  万札   10
攻撃/射撃/機先/電脳  4/5/2/2
回避/精密/側転/発動  5/5/5/2
即応ダイス:3  緊急回避ダイス:0

◇装備や特記事項
カスタム・チャカガン×2
『◉常人の三倍の脚力』『◉トリガーハッピー』

 君たちの眼前に立つのは、明らかに末端と思しき二人のニンジャ。
 アマクダリ衛星組織「ウォーヘッド・カンパニー」から、今回の捕り物の数合わせのために派遣された、プラズマリザードとトリガーハッピーである。

プラズマリザード:「何だってんだ、どうも妙なことになってるな」

トリガーハッピー:「知るかよ、俺らはこいつら殺せばいいんだろ!」

 周囲では、ゲイトキーパーやエンプレスたちがアマクダリの精鋭と激突を始めた。
 君たちにも、アマクダリの尖兵が迫る。カラテの時間だ!

 マスターへ:PCたちがボスエネミー二人を倒せば、これも計画への貢献とみなし、貢献度2を獲得するものとします。

戦闘後

 戦闘が終われば、アマクダリの部隊は撤退する。荒れ果てた庭園で息をつけば、ゲイトキーパーたちの会話が君たちのニンジャ聴力に届くだろう。

ゲイトキーパー:「今回の件については、折衝のための再会合が必要となるでしょう。また日を改めて。次はこちらがトコロザワ・ピラーにご招待致します」

エンプレス:「……承知した」

 エンプレスが頷けば、ゲイトキーパーは丁寧にオジギし、君たちの視線を向ける。彼に続き、邸宅を後にしよう。


6.結果発表パート

 君たちはトコロザワ・ピラーに帰還した。貢献度に応じた評価を下されることとなる。

A+:貢献度10以上
【名声】+2 【万札】プール+80

A:貢献度6~9
【名声】+2 【万札】プール+60

B:貢献度3~5
【名声】+1 【万札】プール+40

C:貢献度1~2
【名声】+1 【万札】プール+20

D:貢献度0
【名声】-1 【万札】なし

結果に関わらず、余暇:4日
ユウジョウ対象:ゲイトキーパー

 しかし、この評価がどのような結果になろうとも、今回の計画はゲイトキーパーの目論見の通りとなっているだろう。

 ゲイトキーパーは、エンプレスの経歴を調べ上げ、あの場にいた闇カネモチの一人、ザマトラに対して私怨を抱いていることを突き止めていた。
 そこで、シックスゲイツの恐るべきニンジャ、フドウノリウツリ・ジツの使い手であるウォーロックに命じて、あの場に駆け付けたハイデッカーの一人の精神を乗っ取らせ、公衆の面前でザマトラを銃殺させたのだ。

 彼女にとっては、もはや乾いた感情だったのかもしれない。しかし、自らの手でケジメを取るつもりだった相手を、眼前で殺されるということはヤクザの矜持を著しく傷つけるものである。

 デッドフェニックスの邸宅に、自分自身を囮にしてアマクダリを誘い出し、これを演出することこそが、ゲイトキーパーの狙いであった。
 これをもって、デッドフェニックスとアマクダリは決裂。ソウカイヤは、「ヤクザの誇りを踏みつけるアマクダリに敢然と立ち向かった」というストーリーを、エンプレスを語り部として更に拡散させるだろう。

 ソウカイヤの側に取り込まれたデッドフェニックスには、ソニックブームが折衝役として付く。
 エンプレスたちのニンジャ性に歪んだヤクザ・ミームは、ソニックブームの手によってソウカイヤの都合の良い方向に「矯正」されていくことになるだろう。

 これをもってソウカイ・シンジケートは闇社会への影響力を盤石とし、来るべき敵対ニンジャ組織との戦争へと突き進んでいくこととなる……。


7.シナリオ改変について

 本シナリオはソウカイ・ニンジャないしソウカイヤから依頼を受けられる傭兵ニンジャのPCを対象としていますが、依頼主を変えることで他の所属PCでも、プレイは可能になると考えています。
 しかし、その場合は工作活動パートのミッションを、PCの所属によって書き換える必要は出てくるため、準備の時間は相応に必要になるかと思います。

 カルマ:善のストリート・ニンジャの場合
 
ニチョームの所属であれば、忌避されるマイノリティの街というニチョームの悪印象を払しょくするため、PCたちが様々な活動に勤しむ、といった形が取れるかと思います。
 より草の根的な活動をテーマにしたミッション作りも出来るかと思います。

 ザイバツ・ニンジャ、アマクダリ・ニンジャの場合
 アウェイであるネオサイタマ社会に、工作で食い込む理由が薄そうなザイバツと、公権力側たるアマクダリは、このシナリオ案では読み替えは難しいかもしれません。
 アマクダリの方なら、ニチョームに経済的支援を申し出て自分たちの側に引き寄せる、といった行動を公式で行っているように、表社会への支援や援助を通してネオサイタマを浸食する、といった形には出来るかもしれません。

 その他の場合
 巨大組織への工作ということで、イッキ・ウチコワシなどは主人公側に据えやすいかもしれません。
 それ以外なら、暗黒メガコーポの工作部隊といった形も取れそうに思います。

8.最後に

 長文を最後までお読みいただき、ありがとうございます。
 深く感謝申し上げます。
 オツカレサマドスエ!


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