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メインストリームを否定したい

世の中では必ず多数派と呼ばれる人たちがいます。

メインストリームって言うのでしょうか?カメラマン界隈のメインストリームは作家系と呼ばれる派閥だと思うのですが、僕は作家系カメラマンさんと撮影モデルさんの組み合わせから生まれた写真が苦手です。

写真は哲学だと思うので、自分自身の哲学と合わないなら自分の哲学を重視すべきだと思っています

メインストリームの写真を否定する事で、自分自身の心の中、撮りたい世界観が見えてきて、それらを模索しています。

作家系カメラマンさんたちの多くは、ポーズの指定とか構図とか案外厳密で、それでいて実は有名カメラマンの作品のコピーを狙っていたりします。

無名のフリーモデルにポーズの指示を出し、どこかで見た写真と似たようなロケーションで撮ります。

レタッチなんかも今流行りの色味ですが、実はフォトショップ用に有名カメラマンが作ったプロファイルのコピーを使用していたりします。

そんな写真でインスタ映えを狙っているというか、万人受けを狙っているというか、簡単に言うと「イイね!」が欲しい写真、誰かに認められたい写真を作成していると感じています。

カメラマン本人よりも周辺機器やソフトが技術的にハイレベルになっているだけで、写真としてのテーマは希薄なんじゃ無いかな?なんて思います。

僕はといえば「イイね!」とか興味が無い人間で、世の中の流行の色味にも興味が無くて、誰かに認められたい欲望も無いので、この温度差も問題なのかも知れません。

僕は、僕自身の求める何か?を探しながら撮っていて、自分探しの旅の最中の人間だったりします。

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僕の場合、その人らしさの無いポートレートは、撮っていてツマラナイのです。人が生きて、苦悩して、時に笑い、挫折して、でも頑張って生きてるよ!ってのが撮りたいのです。

なので可愛らしさや美しさを強調した、顔の輪郭や目の大きさ、肌の調子を極端に変えた写真には全く興味が無くて、むしろ、そんな写真を撮っているカメラマンや、加工した写真を良しとする人たちを、どこか軽蔑しているタイプの人間です。

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煌びやかな街並みは東京の人だけが撮っていれば良いと思います。僕みたいな地方都市の人間は、地方都市の惨状を背景に写すべきだと思っています。

どこかリアルが欲しいのです。夢見たいなキラキラした世界ではなくて、現実の毒や影も写して行きたいのです。

ほんの少しだけジャーナリズムがないと、軽い写真になってしまう気がするのです。

それは、時に無意味で、時に強烈に、見過ごされがちな何か、見えざる何かを写真に閉じ込める事が出来るような気がします。

僕自身は、カメラ単体で撮る写真を極力避け、可能な限り光は、ストロボ光で作り出して撮影しています。自然光による偶然ではなく、自分の力で光と影を作るようにしています。そうする事が最低限、自分の写真を撮っていると感じられる時です。

昼間の時間帯に、夜みたいな写真を撮る。あるいは綺麗な人の憂いや、奥底の人間性を撮ろうと模索します。

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世の中の多数派はモデルさんの顔の加工を良し。としていると思いますが、僕は納得出来ない一人です。そばかすも、黒子も、痣だって、タトゥーだって、僕は否定せず、その人の個性として受け止めて写真が撮りたいのです。

例えばフリーのモデルさんが、顔を加工した写真をアップして、世界中の誰かが「イイね!」してくれて、もしも100万イイね!がついたとしても、良い結果は待っていないでしょう。

何故なら、それは一時的なドーピングみたいなものです。顔を加工した人物写真に、写真としての美的価値はあるのかも知れませんが、モデル本人には一瞬の売名以外メリットは無いのです。むしろ、本人の顔が現実とは違うのでデメリットの方が増えて行くのです。

多くのカメラマン達が「撮りたい」と考えて撮影依頼をしても、スポンサー企業さんが現れて「この人モデルにして広告作ろうか?」なんて考えても、実際に本人を目の前にした際写真とは別の顔の人が現れるわけですから、モデル本人は上手く行く訳が無いのです。カメラマンだけが評価される写真なんて、楽しくないじゃないですか?

加工した写真をアップしている時点でモデルとしてのキャリアを捨てているようなものだと思います。そして、過度な修正をするカメラマンは一時のイイね!という賞賛、栄光に酔いしれ、暫くして、そんな物は砂の城だったと気付く筈です。

過度な修正はモデルの人格すら否定しているのと同じ事だと僕は思います。

僕は、そんな写真は嫌なんです。

カメラマンもモデルも評価される写真でありたいのです。

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写真は誰のため撮るんだろう?その写真は誰を幸せにするんだろう?このモデルさんは何がしたいんだろう?そんな事を考えてはSNSにアップされる写真を見ている毎日です。

退屈しのぎにフリーモデルをして、お小遣い稼ぎをしたいだけの人なら関わりたく無いってのが本音です。

有名になりたいとか、誰かにチヤホヤされてお姫様になりたい人とも関わりたく無いのです。

抜群のコミュニケーション能力でフォロワーを増やしイイねを量産する宗教みたいなフリーモデルさんとも関わりたく無いのです。

今、生きていて、その証を撮りたい。そんなシンプルな人と撮影がしたいなと思っています。

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僕自身はフリーモデルさんの撮影に関しては自然体で撮らせてくれる人を探しています。

無理に演じる事は必要無いのです。

世の中の流行りが、作り込んだ写真の世界だとしたら、僕が目指しているのは、その逆なのです。

シンプルポートレートとでも呼ぶべきでしょうか。

七五三や成人式みたいな写真には興味が無いのです。

カメラ雑誌やコンテストで賞を取る為に写真を撮っている訳では無いのです。

メインストリームを否定したい、変わったカメラマンも広い世界の中にいるのです。


モデル:青木 由宇 / 𝚈𝚞𝚞 𝙰𝚘𝚔𝚒さん 

写真:pashastyle認定作品

「売れないカメラマンにコーヒーを一杯飲ませてやるよ」っていう心優しい方、サポートおまちしております。コーヒーは我慢して交通費や制作費に充てさせていただきます。