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「夕焼けの歌」制作覚書

『夕焼けの歌』のMVをオフィシャルでようやく更新しました。カバー写真はアナログ12インチ版「夕焼けの歌」裏はアズマの顔。顔ジャケって面白い。

けっこう前に「あー誰かがUPしてるけど、コレ解像度低い〜わ〜。」と思っていて、いつかオフィシャルYouTubeチャンネル(よかったら登録をばね。)に更新しよう〜と思っていたけど、日々の喧騒に(カッコよく言ってるけど忘れてた)こんな遅くのupになりました。ごめんなさい。



あらためて観てみる。「そういや、この曲については制作時の事いろいろ覚えてるなぁ・・」と思ったので書いておくことにしました。所謂、覚書的なこと。



Small Circle of Friends の8枚目のアルバム『SPECIAL』のリリースが2005年11月。

2005年の9月にはSTUDIO75の1stアルバム『HAND』をリリースしているので、思えばこの時期はものすごい制作量だったんだなと思ったけれど、記憶のなかではそんなには忙しくしていない。むしろのんびりテレテレとしていたような気がする。

アルバム『SPECIAL』は20曲(そのうち3曲はインタールード)入りと、かなりのボリューム。なぜこんなに曲が多いのかというと、それはこの時期の海外の(特にヒップホップの)アルバムのボリュームに合わせていたからです。このくらいの曲数ないとダメなのかなぁ〜ってね。

このアルバムは制作、録音、ミックスダウンまで自分たちで行った初の作品です。さすがにマスタリングまではやってはいない。演奏も全部サツキ&アズマだし、ゲストは5曲目『I Know you got soul』のおおはた雄一さんだけ。言ってみれば、今の「スタジオ75」の仕事のやり方を始めてこのアルバムで実践したことになります。

このアルバムの主な使用機材はサンプラー/シーケンサーにAKAI MPC2000xl。ミキサーはMackie1604。DAWはLogic6(or7)。オーディオインターフェースはmotu828。アウトボードはコンプレッサーDBX160XTが2台。YAMAHA・SPX90。VestaFireRV-1とRV-3。…。そのくらいかなぁ。MIDIインターフェース何を使っていたのか忘れました。

そして今考えてみてビックリするのは、この時コンピュータに録音するのはボーカルだけで、他の音は同期させたMPC2000xlから出ていて、それをMackieでミックスしてDATテープに落としています。MPCからは8パラアウトでそれぞれ出して、Logicからはメインのボーカル、サツキとアズマでそれぞれ一本とその他ダブルやコーラスなどはステレオで。計12トラック。

もちろんボーカル類はLogic内で大部分を処理してからアウト。MPCからの音は上記のアウトボードを使うか、MPC内のエフェクターを消極的に使うか、もしくは「素」。

このアルバムはサンプラーの「素」の音がしています。

そして2006年6月にはアルバムSPECIALのインストバージョンもリリース。


では『夕焼けの歌』の話を。

トラックの音構成はシンプルです。
ギターサンプル、ブレイクビーツ、パーカッション。
以上。

「3つ」で構成しています。

もちろんブレイクビーツはキック、スネア、ハット、etcにバラして、それを打ち込んで、パラアウト。

メインのギターサンプルは元がかなりスイングしているので、細かくチョップして「縦」のノリで打ち込んでいます。感覚としてはブレイクビーツの方のノリに合わせる感じで。

パーカッションもループだったものをクイーカ(?)とクラベス(?)にバラして「縦ノリ」気味に打ち込んでいます。

これだけです。シンプル。
今でも「コレ」と「アレ」と「ソレ」と言えるくらいシンプル。

MPCはいくつかシーケンスを作って、それを組み合わせて「ソング」を組みます。で、僕らが使っていたMPC2000xlはこの部分にバグがあって、一度ソングを組むとたとえ実際にはそのシーケンスから消去したデータも消えずに残っちゃってました。この曲もホントは3分28秒あたりで終わらせたくてシーケンス消してもなぜか鳴っちゃって終われない現象になりました。「まぁいいや…マスタリングで切ろう…」とその時はあきらめましたが、結果そのままイカシで。

歌詞のこと

Small Circle of Friendsの場合「どの部分から書くのか」は特に決まっていなくて、その時々でヴァースからだったり、サビからだったり、フックからだったりします。当然、先に書いた部分に合わせて、他の部分を書いていくことになります。

この曲はフック『夕焼けの歌を聴いた〜あの日あの時〜バ…』が最初にできました。だからそれに合わせてヴァースを書いています。

歌詞を書く場合にシーンとして、実際の場所が浮かぶ場合と、あくまで空想の設定の場合があります。たとえば『西通りプリンの歌』はまちがいなく福岡の西通り。


『Drifter』は福岡久留米LusCafeの前の通り。



1stアルバムの『帰ろうよ』は仙台。

とか。

で、『夕焼けの歌』は福岡の西通りからジョーキュウ醤油のある通りに入って、和菓子の駒屋青木食堂の方へ曲がる入江書店の「角」。その角がこの曲に出てくる「角」です。そして「君」に関しても特定のモデルが居ます。Small Circle of Friendsの曲の「君」や「あなた」や「彼」や「彼女」から「ボク」に至るまで結構フワッとしたイメージで存在しているのですが、『夕焼けの歌』は例外です。

ヴァース書くのは苦労しました。書く事(イメージ、情景)は決まってるけれど、な〜んかリズムにすっきり言葉を乗せることができなくて、モヤモヤとしたまま、最後は「…これでいっか…」くらい投げやりに終わらせています。でも、それが悪いことかどうかは、出来上がり次第、もしくは、聴き手次第なところが音楽の面白いところです。

ボーカルのレコーディングについて
この時期結構佐賀に居る事が多くて、この曲も佐賀で録音しています。東京からマイク、マイクスタンド、マイクプリ、オーディオインターフェースを送って、バックトラックはとりあえずMPCからの2ミックスを録音したものを使って。

Studio パスポート75。

だからこの佐賀でのレコーディングが後のMV撮影に繋がるわけです。

ミックスダウンは、前述の様な工程でDATテープに録音。だからマスターはマルチでは存在していないです。ボーカル部分はあるけれど。バックトラックに関してはMPC2000xlのZIPディスクにのみ存在しています。どひゃー。


MVについて。

ディレクターはミヨシダイスケさん。ミヨシさんは『夕焼けの歌』以外にも『RCCB』『Pass The Mic』『D.E.S.I.G.N.』、そして75clothesのビデオを制作。2003年〜2009年あたりのSmall Circle of Friends関連の映像は全部ミヨシさんです。

はい、三好大輔さん。かっこいいよね〜。
『1972年生まれ 。1995年日本大学藝術学部卒業。SEP入社。ミュージックヴィデオ、音楽番組、ブランドデザインを担当。2003年CM会社の井出プロダクションを経て2005年独立。2007年より東京藝術大学美術学部デザイン科映像工房講師。2016年、映像を軸にしたクリエイティブカンパニー、アルプスピクチャーズ設立。地域に眠る8ミリフィルムを掘り起こし地域映画として蘇らせる活動を全国各地で展開中。』

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『夕焼けの歌』撮影
おそらく2005年の9月か10月。福岡、佐賀で二日間にわたっておこなわれました。ミヨシさん、サツキ、アズマ、そしてハチスカさんの4人。ハチスカさんがレンタカーを借ります。

一日目は福岡にて。カフェ場面はソネスイコネを借りて撮影。サツキがイコネでアズマがソネス。「ふたりが会わない」映像ストーリーなので、福岡ではほぼアズマのみの撮影。福岡の天神周辺に詳しい人なら解るところも多いと思いますが、プペドソンの前とか今泉の公園とかホテルプルミエ前のビルの階段とか出てきますね。あとは赤坂から福岡城跡に向かうところとか。福岡空港でも結構長いこと撮ったんだけど、ちょこっとしか使われていません。

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二日目は佐賀での撮影。前日にミヨシさんのものすごい「ヒト 力りょく(!)」で借りたとってもイカす自転車をレンタカーに載せ、佐賀の街をあちらこちら、サツキの知る佐賀の「絵になるとこやお気に入りの場所」を中心に回り、どんどん撮影。サツキは自転車で街を滑走する設定なんだけど、とにかく自転車を漕ぐスピードが速い(通常運転)。ほとんど全速力じゃないかと思うスピードを涼しい顔で走っています。有明海沿いとか佐賀空港大橋とか陸上競技場だとかね。

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このMVをあらためて観ると、なんだか「今」な気分。ありますね。私たち的にってことも含め。どう?。


以上、『夕焼けの歌』のトラック制作、歌詞、レコーディング、ミックスダウン、MV撮影についての話でした。

思い起こすと、ちょっとした時間旅行。思い出しつつ書いているから、書き始めた頃に想ってもいない心境なんかも反芻する思い。意外と盛り沢山になりました。

また、楽曲の覚書については時系列でなくともアトランダムに更新します。またぜひね。ここへ遊びに来てください。


Small Circle of Friends
サツキアズマ



いつもサポート下さりありがとうございます。これまでのご支援合わせ2021年12月1日に12枚目のアルバム「cell」発売が決定いたしました。CD、サブスクともに発売いたしますが殊にフィジカルについてみなさんのサポートなくして叶わなかったと思います。ありがとうございます!サツキリキ