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万人の万人に対する闘争
数ヶ月前、私は絶対的権限であるルールという枠組みについて
今一度思考させられるきっかけに直面した
現代社会を振り返ってみれば
治安維持のため、私たちにとってありがたいルールもあれば
「基準が厳しくないか?」と感じる近年の表現規制
ルールを開設せずとも
「最低限の常識でしょ」の空気が創り出す暗黙の領域なるものも存在する
私自身は、暗黙の領域や過度な表現規制など
禁止事項を多く設ける事は、かえって全体の意欲低下につながり
低質な製品やサービスを提供し、総合的に没落する事に繋がると危惧する
過度な規制には断固反対の態度だ
だが、仮に世界からルール・秩序を取っ払えば
その先にどのようなディストピアが差し掛かるのか
この仮説は
400年前に本日の秩序体系について説いた政治学者
トマス・ホッブズがこう綴っている
「万人の 万人による戦い」
〜 貿易、農耕、航海、政治が一切行われず。
便利な発明や建築、多くの力を必要とする運搬し移動させる道具、地動説に対する知識、計算、技術、文字のいずれも消滅した。
そして最悪なことに、絶えざる恐怖と、暴力による死の危険がある。
そこでは人間の生活は孤独で貧しく、汚らしく、残忍で、しかも短い 〜
大前提ながら、ホッブズの存命した時代と現代では生活水準も価値観も同一視すべきでない
血で血を洗うような宗教戦争が勃発し
食事にありつける事、治安が維持される事の補償がない時代を彼は生きた
金目の物の所有物に手を出す事は
口約束など上部約束に過ぎず、混乱に満ちた境遇が目の前に広がっていた
なので彼は
ただの言葉約束に過ぎない秩序に「不十分だ!」と
唱え、「剣ある社会」 ルールを犯した者に適切な
ペナルティが降る制度を祈願した
〝リヴァイアサン〟
彼は、罪を犯した人間を罰する中央巨大権威を
旧約聖書の「ヨブ記」の怪物に喩えた
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全身に猛威が宿り、怒りの形相で地球を監視する
自然災害を操る能力を秘め、時に口から火炎を吐く
ご想像通りの禍々しいモンスターが
法を犯した人間に雷を撃ち、火を放ち制裁する
子供のしつけの一貫で
「夜中まで遊ぶ悪い子には鬼がやってくる」
といった
人間が恐怖に感じる生物を巧いこと利用して
規律を保つ方式に似ている
ポップスは、巨大で、恐怖対象で、絶対的な権威を
放つ監視員リヴァイアサンを通して
個人の自由すら剥奪できる中央権利が社会を統制し
混乱期を制圧することをユートピアと見た
法律を通し
中央権限に幾分かの自由を授ける対価として
外敵や内紛から、私たちの安全を保護してもらえる
これは、現代で言う独裁的な体系に近い形状である
だが、ホッブズの望む国民全員の動向が監視され
治安保護を中国が実現している姿を見れば
身の保証の安泰を引き換えに、膨大な情報を
権力者が網羅する様が理想的なのかと疑問だ
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対照的に未だ16世紀のような所有権が曖昧で
混沌殺伐とした無法地帯国ベネズエラのような
中央や法律が機能しない地域も珍しくない
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相対的に見れば
規制や節約、暗黙の空気には厳格なものの
最低限の自由が保証されている日本はこの点非常に
中道を得て理想的かもしれない
日本という自由大国で育った私達だからこそ
独裁や厳格的なルールに対して
一種の気持ち悪さを感じることは無理ないのである
だが、ホッブスのような
環境や時代に産まれ落ちたと思えば
無意識下で裁きを下す権威、リヴァイアサンの存在
を密かに懇願したはずだ
それは、現代の同調圧力や空気を読む日本の文化を
目の前にした外国人も
ある程度の統制のし易さの観点から望ましいと考え
る側面があってもおかしくないだろう
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