見出し画像

ヨーロッパ文化教養講座(NHKクラシック音楽館 「N響首席指揮者ファビオ・ルイージ特集」を観て」

2023/09/14
第1987回のN響定期公演の放送の後に、この度、2028年まで契約が延長された、N響の首席指揮者ファビオ・ルイージ・マエストロ(イタリア ジェノヴァ出身)の少々プライベートな映像も映された特集があった。

マエストロは、スカラ座アカデミー・オケに所属のプロをめざす若者たちを率いて世界遺産アマルフィ海岸の頂上にある街、ラヴェッロの音楽祭に出演し、ストラヴィンスキーの「火の鳥」とチャイコフスキーの交響曲第5番を演奏した。

スカラ座アカデミー・オケは、ミラノの町外れにある、元映画館の練習場でマエストロの厳しくも愛情ある指導を受ける。

1番凄いと思ったのは、チャイコフスキー5番の第4楽章の出だしの主題、「ソ#~ソ#ソ#ラ~ソ#ファ##ソ# ミー」というところのリハーサル。
マエストロは、この部分を聴いて、すぐオケを止め、「皆さんはいい音で弾いているが、感情が何も伝わってこない。」といい、若いオケのメンバーにそれぞれが考えた思いをこめて弾くように言う。
そうすると、音が艶やかになり全く変わって聞こえる。これぞ、ファヴィオ・ルイージーマジックというものだろう。一流の指揮者は皆○○マジックを持っているのだなと思った。

また、本番前の最後のリハーサルが終わると、マエストロは、団員に向かって、「今日まで教えてたことは全て忘れて、明日は自分の演奏をして欲しい。」と言った。自主性を重んじるヨーロッパ人らしい、良い言葉だと思った。
スカラ座アカデミー・オケのラベッロ音楽祭での演奏は、とても短い抜粋だった。風の強い屋外の特設ステージの演奏は客席からはどのように聞こえるのだろうかと思った。

プライベートの話としては、アマルフィの公演の前日に、ナポリでマエストロは、奥さんと待ち合わせる。
マエストロは、今年64歳のはずなので、それにしては、奥さんは若い。しかも、昨年結婚したばかりの新婚だそうだ。
調べると、奥さんは、Yulia Levinという1981年生まれで、チューリッヒのオペラハウスの専属ピアニスト(オペラ歌手の稽古やリハーサルでオーケストラの代わりに伴奏を弾くピアニスト)だそうだ。
マエストロは、オペラの指揮もよくするので、そのときに知り合ったのかなと思った。

なお、マエストロの前の奥さんは、Barbara Luigi という人で、ヴァイオリニストで写真家だそうだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?