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ヨーロッパ文化教養講座(NHKクラシック倶楽部 フィリップ・ジャルスキー「オルフェオの物語」録画鑑賞記)

2023/06/01

オペラは、関ヶ原の戦いがあった1600年の少し前、フィレンツェで誕生したと言われている。
楽譜は見つかっていないが、1597年フィレンツェ在住のギリシア人作曲家 ヤコボ・ペーリの「ダフネ」が世界最初のオペラと言われている。

それから10年後、イタリア・マントヴァに天才クラウディオ・モンテヴェルディが登場。1607年上演の「オルフェオ」でオペラは一気に宮廷に広まった。
この「オルフェオ」は、現在でもバロックオペラの名作として良く演奏される。
この曲は、テンポの良い序曲のあとは、いきなり長いレチタティーヴォが始まり、21世紀の現代人にとっては、最後まで観るのがきつい。(あくまでも小生の私見)

と、同じ事を思ったのか、カウンター・テナーのフィリップ・ジャルスキーが、このモンテヴェルディの「オルフェオ」とその後に作曲された「サルトリオ」「ロッシ」の作品とをミックスして観客にわかりやすくした作品とのこと。

フィリップ・ジャルスキー「オルフェオの物語」

モンテヴェルディ、サルトリオ、ロッシの3人がそれぞれ作曲した歌劇「オルフェオ」から、ジャルスキーが選んで再構成した「オルフェオの物語」の演奏会を抜粋でご紹介

【曲目】歌劇「オルフェオ」から、トッカータ、天界のバラ、強力な霊(以上、モンテヴェルディ)、シンフォニア、愛しく心地よい鎖(以上サルトリオ)、愛しい人あなたと共にする苦痛は、冥界を離れて(以上ロッシ)ほか 曲順不同 

【演奏】フィリップ・ジャルスキー(カウンター・テナー)、エメーケ・バラート(ソプラノ)、アンサンブル・アルタセルセ(合奏)【収録】2023年3月1日 東京オペラシティコンサートホール

NHKクラシック倶楽部ホームページ

コメントと感想:
1.サルトリオもロッシも初めて聞いた作曲家なので調べてみた。

アントニオ・サルトリオ(Antonio Sartorio、1630年 - 1680年12月30日)は、イタリア、ヴェネツィア出身の作曲家。
ヴェネツィアで生まれ、カレンベルク侯ヨハン・フリードリヒの宮廷楽士長としてハノーファーで10年過ごした間も、余暇にはヴェネツィアに戻って作曲にいそしんだ。1680年、ヴァネツィアで没した。
サルトリオのオペラのほとんどはヴェネツィアで初演され、1660年から1670年にかけて、ヴェネツィアで最も名声を博した作曲家である。

WIKIPEDIAより

アントニオ・サルトリオの「オルフェオ」は、1673年なので、モンテベルディより、60年以上あとの曲だということになる。

ルイージ・ロッシ(Luigi Rossi, 1597年 - 1653年2月19日)はイタリア初期バロック音楽の作曲家。ナポリ出身と伝えられる。生涯について実際のところは不明である。1646年に枢機卿ジュール・マザランにパリに招かれ、歌劇《オルフェオとエウリディーチェの結婚 Le Ménage d'Orphée et d'Euridice》( (Orfeo (Rossi)) 、1647年)を上演。これはフランスで上演された最初のイタリア・オペラとなった。主役(プリモ・ウォーモ)をカストラートのアット・メラーニが演じた。ロッシは、もっぱら室内カンタータの作曲家として特筆するに価し、ロッシのこれらの作品は、17世紀に創り出されたうちで最も優れた例となっている。膨大な作品が自筆譜のまま大英図書館やオックスフォード大学クライストチャーチ校附属図書館に保存されている。

WIKIPEDIAより抜粋

ルイージ・ロッシの「オルフェオ」は、1647年。こちらもモンテベルディより半世紀近く後の作品である。

2.以前から疑問に思っていた、「ルネサンス音楽のポリフォニーからバロックのホモフォニーへの移行がどのように行われたか」は、この3人の活動時期の音楽を研究すればわかるのだろうなと思った。

3.フィリップ・ジャルスキーのカウンター・テナーの歌唱の巧みさには驚く。音域は、聞いた印象では、女声のアルトとメゾ・ソプラノを合わせた感じだが、音色が全く違う。
これは、発生方法の違いからくるものだと思うが、雑音が少なく繊細に感じる。一方、雑音が少ないからなのか、音の強さは比較的弱い。バロック音楽のように小編成の管弦楽がバックでないと、声が観客に十分に届かないのだなと思った。
音色の違いは、競演したソプラノのエメーケ・バラートとの比較でよくわかった。


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