ヨーロッパ文化教養講座(指揮者で音が変わるか?)

2022/11/02
映画「マエストロ」(原作 さそうあきら)の主人公は、指揮者の天道徹三郎(演 西田敏行)である。映画でも原作漫画でも、天道徹三郎が指揮棒を動かすとオーケストラの音が変わる(良くなる)シーンが出てくる。他のクラシック音楽映画やドラマもだいたいそうである

以前書いた、小澤征爾と村上春樹の対談でも、村上春樹の自宅で、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番のレコードやCDをいろんな演奏で聴きながら、時代や指揮者によって、同じオーケストラの音が変わるという話が話題になった。

指揮者によって音が変わるというのは、常識として伝わっていて、小生もそれに疑問を持ったことがないのだが、「マエストロ」を見ながらこの点について考えた。

同じ曲を演奏したとしても、音を作り出す方は、
1.指揮者 (当日の体調、気分)
2.オーケストラのメンバー(メンバー個々の体調、気分)
3.ホール(外気温、湿度、観客の入り具合)
という無限のパラメータがあり、
聴く方としては、
1.当日の体調、気分
2.その曲に対する好み具合
3.席の位置
4.近隣の観客の乗り具合
という、こちらも無限のパラメータがある。

同じオーケストラを同じ指揮者が同じ曲を演奏しても、同じ音にはならないことになる。
楽器の数が減って、指揮者もいなくなる(弦楽四重奏曲やソナタ、ソロ)曲は、パラメータも減るので、音の違いがわかりやすいのであろう。

同じ日に続けて同じ曲を何人かの指揮者で演奏するというイベントがあれば、面白いと思った。

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