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ヨーロッパ文化教養講座(1960年 イタリア・フランス映画 「若者のすべて」鑑賞記)

2024/01/03
ルキノ・ヴィスコンティ監督。白黒映画。
原題は、Rocco e i suoi fratelli (ロッコと彼の兄弟たち)。
5人の兄弟のうち、アラン・ドロンが演じる3男ロッコが主役の意味か。

イタリアの巨匠ルキノ・ビスコンティが1960年に発表した監督第7作で、都会の生活に翻弄される兄弟の姿を、アラン・ドロン、アニー・ジラルド、クラウディア・カルディナーレら若き俳優たちを起用して描いた。

ミラノに住む長男を頼りに、南部から移住してきたパロンディ家。
次男のシモーネはボクサーとして成功への糸口を見つけるが、娼婦ナディアに溺れ落ちぶれていく。
ある時、三男のロッコも偶然にナディアと知り合い、ロッコとナディアは惹かれあっていくが、2人の関係に嫉妬したシモーネによって悲劇が引き起こされる。

日本では60年に初公開。ビスコンティ生誕110年&没後40年となる2016年、「ルキーノ・ヴィスコンティ 生誕110年 没後40年メモリアル イタリア・ネオレアリズモの軌跡」と題した特集で、デジタル修復版が上映される(4K完全修復版マスターから変換した2K上映)。

1960年製作/179分/G/イタリア・フランス合作
原題:Rocco e i suoi fratelli
配給:アーク・フィルムズ、スターキャット
劇場公開日:2016年12月24日
その他の公開日:1960年12月27日(日本初公開)、1982年6月8日

映画.com

コメントと感想:

1.物語は、イタリア南部(プッリア州の州都バーリからの列車だということがわかる)から列車でやってきた、母親と4人の息子が、ミラノ駅に到着するシーンから始まる。
この家族は、ミラノで結婚式を挙げようとしている長男を頼ってきたことがわかる。

2.貧しいイタリア南部から職をもとめて、多くの人たちが北部へ移り住んできたことを描写している。特に、4男チーロは、成績優秀でアルファ・ロメオのミラノ工場に勤務する。

3.物語は、兄弟5人それぞれにスポットを当てた章を、積み重ねる形で語られるが、羅生門のように、それぞれの視点から違った事実が見えるということではなく、あくまでも、話としては、一環している。

4.次男のシモーネが娼婦ナディアやチンピラ系の悪友に染まって、破滅していくが、母親や兄弟は最後まで見捨てることができない。
家族愛とその葛藤、都会の魅力とその落とし穴を描く。

5.シモーネがナディアを刺殺するシーンは、カルメンを刺殺するホセを思い出した。

6.家族主義のイタリアとアメリカ化するまでの日本には多くの共通点があると思った。

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