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ヨーロッパ文化教養講座(「帰らない日曜日 Mothering Day」録画鑑賞記)

2023/04/24
WOWWOWで、2021年のイギリス映画、「帰らない日曜日」を観た。

観た動機は、舞台が1924年のイギリスの上流家庭ということで、ちょうどダウントンアビーのドラマ版の終わりの頃と一致すると思ったからだ。

「帰らない日曜日」の舞台は、どこかのカントリー・ハウス。
主人公のジェーン・フェアチャイルド(演 オデッサ・ヤング)は孤児。

ニヴン家
ジェーンは、ゴッドフリー・ニヴン(演 コリン・ファース)とクレア・ニヴン(演 オリヴィア・コールマン)夫妻の屋敷のメイドである。
ニヴン家の子供は第一次世界大戦で戦死したため、今は、ニヴン夫妻、ジェーンと若い料理人のミリー(演 パッツィ・フェラン)で暮らしている。

ニブン家の友人、シェリング家
ミスター・シェリンガム(演 クレイグ・クロスビー)、ミセス・シェリンガム(演 エミリー・ウーフ)夫妻
と息子のポール・シェリンガム(演 ジョシュ・オコナー)、及びメイドのエセル。

もう一つの友人家族は、ホブデイ家
ジャイルズ・ホブデイ(演 サイモン・シェパード)、シルヴィア・ホブデイ(演 キャロライン・ハーカー夫妻
と娘のエマ・ホブデイ(演 エマ・ダーシー)

Mothering Day (英国の母の日 イースターの3週間前の日曜日 2023年は、3月19日)は、イギリスでは、母教会の礼拝へ出席するという習慣があるため、ニブン家のメイド、ジェーンと料理人ミリーは、1日休暇をもらった。

ジェーンは、密かに、シェリング家のポールと親密な関係にあったため、この休暇を、シェリング家のポールのベッド上を過ごす。
ポールは、ボブディ家のエマ(戦死したニブン家の息子と付き合っていた)と婚約しており、この日は、3家族で、昼食を取ることになっていた。
ポールはジェーンとの濃密な時間を過ごした後、
ジェーンを家に残して、3家族の昼食会場へ車で向かう。

残されたジェーンは、一糸まとわぬ姿のまま、シェリング家の図書館やキッチンで数時間を過ごし、ニブン家へ戻る。

すると、ニブン家の主人が青ざめた顔で、車で出かけようとしていて、帰ってきたジェーンに悲劇を告げる。

という流れ。

時間軸は、幾重にもスライスされていて、メインストリームは、
1.何かの大きな文学賞を受賞してマスコミが自宅に殺到している、OLDジェーン
2.黒人哲学者と恋人になり、人気作家の道を歩み始めた、ジェーン
3.メイド時代のジェーン

となっており、
1の回想で2が描かれ、2の回想で3が描かれているようだが、
例えば、3でジェーンが、ポールと濃密な時間を過ごしている間にも、ポールとの初めてのときや、その後の逢い引きのシーンなどの回想が織り込まれている というように、シーンが目まぐるしく切り替わり、エンディングロールまで、集中して観ていてやっと、ジェーンの人生の道のりがわかることになっている。

映画のテーマは、「生と死」ではないだろうか。
第一次世界大戦の戦死や事故死、病死など、「死」が中心。
子供たちの死を先に経験してしまった、3家族の暗い影が強烈に描かれている。
そこに、「性」による「生」とジェーンの人生を交錯させたというところだろう。必要以上の若いジェーンのヌードシーンも「生」の象徴だったのかもしれない。

秀作だと思った。




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