ヨーロッパ文化教養講座(小曽根真)

2022/10/25
NACOさんのYOUTUBE「厳選クラシックちゃんねる」をよく見ているが、
小曽根真のインタビューがあった。

世界的なジャズピアニスト(実際にはジャズ演奏は聴いたことがない)小曽根真は、20年ほど前からクラシックを本格的に始めた。小曽根真の演奏は、ずいぶん前に、NHKでモーツアルトのピアノ協奏曲第9番K.271 「ジュノーム」を聴いたが、その頃は、小生は、ミスタッチに不寛容な人間だったので、それ以降小曽根真には興味を失っていた。

今回の、インタビューで、小曽根真の話を聴いて興味がわいた。立て続けに、反田恭平や角野隼斗とのラジオ番組も聴いた。

1.モーツアルトが好きな理由:
実際にジュノームを弾いてみると、繰り返しが続き、そろそろ飽きて音を変えようと思ったときに、ちゃんと音が変わり、展開するように楽譜ができている。思わず涙が出たほど感動した。
ジャズピアニストの耳からでも、楽譜通り弾くのがベストだと感じさせられる。(とは、言っても、小曽根真のジュノームは、装飾音が着いたりかなり一般の演奏とは違うが)

2.クラシックの耳とジャズの耳:
ジャズをずっとやってきたので、耳も手もジャズの手になっている。
クラシックは42歳から始めたので、耳がない。(ジャズの耳と、クラシックの耳の話は良く理解できなかった)
こどものときに、バイエルやハノンがいやで堪らなくてクラシックを辞めたくらいだから、クラシックの基礎がなく、ジャズの手になった。筋肉の付き方がクラシック奏者と違う。(実際に反田恭平の手を見てわかった。)ミスタッチが多い原因にもなっている。
ジャズは、ピアノも必ずマイクが入るので、大ホールの隅々まで音を響かせる必要がない。このクラシックのできないことを発見する楽しさが、自分の音楽の垣根を取り払って、自分の音楽をより高めてくれた。

3.ピアノについて:
スタインウェイは、歌いすぎるので、クラシックはスタインウェイを主に使う。ラフマニノフは、オーケストラも大規模なのでスタインウェイでないと音が観客席に届かない。 
ヤマハは制動が聞くので、プレイヤーにメロディを任せてくれるジャズ曲に使用(但し、調律師によっては、モノトーンのヤマハにカラーを付けてくれる人もいて、一概にヤマハがクラシックに向かないということではない)。
#昨年のショパンコンクールで牛田智大を始めヤマハを使った出場者がことごとく2次予選で敗退したことを思い出した。勝ち抜くには、ピアノの選択、ホールの音響に合わせた調律など、演奏テクニック以外の要素も大事だと思う。

あらためて、YOUTUBEで、2006年の宮崎国際音楽祭のライブでジュノームを聴いた。本当に楽しい演奏だ。ジャズファンが、この演奏を聴くと、ジュノームを好きになってくれるかもしれないと思った。

また、チックコリアとの共演(モーツアルトの二台のピアノのための協奏曲K365)も聴いた。おのおのカデンツァの部分を即興で弾くのだが、小曽根真のほうが、ジャズ的ではありながら、一本クラシックの道が通っていて、小生には圧倒的に良く聞こえた。チックコリアはあまりにもジャズだと思った。

小曽根真の演奏も生で聴いてみたいものだと思った。

#ところで、「ジュノーム」は、モーツアルトがこの曲を贈った、ジュノーム嬢にあやかって付けられた名前と理解していた。
ところが、最近の研究では、実は、ジュノーム嬢という女性は存在せず、「フランスの舞踏家ノヴェールの娘で優れたピアニストだったジュナミ夫人(Victoire Jenamy)のために作曲。(Mozart con graziaのサイトより) 」ということになっているらしい。
ということは、モーツアルトのピアノ協奏曲第9番K.271「ジュナミ」と呼ぶべきなのだろう。何だが落ち着かない気がするが。。。

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