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ヨーロッパ文化教養講座(「天才ヴァイオリニストと消えた旋律」鑑賞記)

2023/01/09
何も予備知識なく、題名だけで録画予約をした。
題名通り天才ヴァイオリニストが失踪して、コンサートを台無しにし、
35年後に戻ってきてリベンジするという話が表層だが、
主題はナチスの罪深さだった。

A. 第二次世界大戦のロンドン、少年ドヴィドルと少年マーティンの話
1.ポーランドから来た、ユダヤ人少年ドヴィドルを、ロンドンの音楽事務所(?)の経営者がヴァイオリンの才能に惚れ込み、自分の家の息子マーティンの部屋に居候させる。
2.2人は仲良くなり、発売したレコードも評判になった。そこで、ドヴィドルのデビューコンサートを開催する。ところが、開幕の時間になっても、ドヴィドルは現れず、コンサートは中止に。ドヴィドルは、失踪する。

B. 35年後のマーティンがドヴィドル探しをする
3.マーティンは、某コンクールの審査員をしているが、出場者の中にヴァイオリンの弓に松ヤニを付けるときに、ドヴィドルと同じ仕草をする少年を発見。
それから、マーティンは、ドヴィドル探しを始める。

4.映画は、AとBの間を行ったり来たりしながら、最終的にドヴィドルを発見する。

5.ドヴィドルは、35年前の失踪の理由をマーティンに話し、35年ぶりのコンサートに臨む。
前半は、35年前のプログラムと同じ、ブルッフのヴァイオリン協奏曲。
後半は、ドヴィドルが失踪する理由になった、ポーランドの収容所で虐殺された、彼の家族を含む、ユダヤ人の名前を覚えるために歌にした、The Songs of Names (原題)を弾き、喝采を浴びる。

6.そのまま、ドヴィドルは、置き手紙を残して再度失踪する。
手紙には、一生を、虐殺されたユダヤ人の供養のために過ごす決意が書かれていた。

感想:
1.虐殺された同胞ユダヤ人の名前を伝えるために、名前を歌詞にして歌を作り覚える。この歌は演奏するのに、丸5日掛かるということ。
如何に多くのユダヤ人が殺されたかを暗示する。
原題(The Songs of Names )の意味がここにあった。
2.35年後のマーティンのドヴィドル探しは、よくあるミステリーのシチュエーションではあるが、見応えがあった。
3.クラシックファンとしては、ヴァイオリンを弾くシーンがもっとあるとよかったと思う。

その他:
1.ヴァイオリンの演奏は、2009年 エリザベート王妃国際音楽コンクールで優勝した、台湾人ヴァイオリンのレイ・チェン

2.ブルッフの協奏曲は、2月27日にN響の熊本公演で、辻彩奈が演奏する。チケットをゲットした。

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