見出し画像

ヨーロッパ文化教養講座(藤田真央のモーツァルト・ピアノ・ソナタ全集 鑑賞記-15 第15番 K.533+K.494)

2023/04/14

別々につくられた2曲の作品を組み合わせて出版された作品。

ピアノ・ソナタ 第15番 へ長調 K.533+K.494
第1楽章 アレグロ 2/2 ヘ長調 ソナタ形式
第2楽章 アンダンテ 3/4 変ロ長調 ソナタ形式
第3楽章 アレグレット 2/2 ヘ長調 ロンド形式

1788年1月作曲K.533 第1、第2楽章
1786年作曲K.494 第3楽章

演奏時間:
① 真央君 2021年(23才)
I 7:32 II 9:30 III 6:09
② 内田光子 1985年(37才)
I 7:37 II 9:32 III 6:06
③ 内田光子 1991年(43才)サントリーホールライブ
I 7:34 II 9:22 III 5:44
④ アルフレッド・ブレンデル 1991年(60才)
I 11:15 II 13:40 III 6:22
⑤ アルフレッド・ブレンデル 2002年(71才)
I 6:38 II 9:41 III 8:16
⑥ アルフレッド・ブレンデル 2008年 The Farewell Concert (77才)
I 7:55 II 9:38 III 7:23

「第1、 第2楽章は、第14番K.457から三年あまりが経ってから書かれた作品だが、作風はかなり変わってきている。K.457にみなぎる緊張感やエネルギーは希薄になり、以前の長調の作品に見られた、流れるような歌や喜びも失われている。。。
謎めいており、入り組んでいるのに、不思議な透明さを堪えた音楽である。
第3楽章も印象は、変わらない。モーツァルトは難解なメッセージを送っているようにも思えるが、音楽のしみじみとした味わいは聴く人のこころに染み入る。
(久元祐子氏の本より)」

真央君「私がもっとも愛しているのは、第15番K.533です。モーツァルトのすべての音楽のなかで1番好きな曲です。」

「これだけの曲に匹敵する終楽章をモーツァルトが書きあぐねたのも不思議ではない。1790年にソナタとした出版された時には、1786年に作曲され単独に出版されているロンドK.494を終楽章として組み合わせている。
前2楽章が「ドン・ジョバンニ」の直前とすると、K.494は、「フィガロの結婚」の直前のものである。
ソナタにまとめた際、先立つ楽章との結びつきを強めるため、このあまり雲の無い無邪気とさえいえるロンドに、大きな対位法的カデンツァを書き加えている。(内田光子のCDのライナーノート エリック・スミス)

内田光子が、モーツァルト没後200年の1991年にサントリーホールのライブで取り上げ、アルフレッド・ブレンデルが、最後の舞台でこの曲を弾いたということは、2人にとっても価値のある曲だったということではないだろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?