ヨーロッパ文化教養講座(「ダウントン・アビー 新たなる時代へ」その3)

2022/11/14
「ダウントン・アビー 映画第二作 新たなる時代へ」を見ての各主要登場人物への感想 その2

2F(貴族側)
6.トム・ブランソン(演 アラン・リーチ)とルーシー・ブランソン(演 タペンス・ミドルトン) 南仏組

 映画は、この二人の結婚式のシーンから始まったので、メアリーと並んでの主役と言える。トム・ブランソンとグランサム伯爵の亡き三女シビル(シーズン3で、産後の子癇で急死)との娘、シビー・ブランソンの将来を考えて、シビーの曾祖母になる、バイオレット(演 マギー・スミス)が遺贈された、故モンミライユ侯爵名義の南仏の別荘を、シビーの将来を考えて(トムとルーシーの子どもができれば、シビーには財産が残らないので)シビーに贈与するという設定は、登場人物の一人一人に対する制作側の愛情を感じて、見ている方も嬉しくなった。
 最後のシーンでは、二人の間の子どもも登場した。このシーンはまさに、「新たなる時代へ」のメッセージであったと思う。

7.モード・バグショー 伯爵の従姉妹で、ルーシー・ブランソンの母(演 イメルダ・スタウントン) 南仏組

 一作目の映画では重要な役だったが、今回はトム・ブランソンとルーシーと一緒に南仏へ行くという脇役だった。ただ、南仏組に加わったのは、チャールズ・カーソンが、余りの暑さに帽子を求めて、帽子屋に入り、たまたま、居合わせた、モード・バクショーが得意のフランス語を使って、カーソンに帽子を選んであげて、お店の主人から夫婦と間違えられるシーンを取りたかったからだろう。 
 二人は実世界では、本当の夫婦なので、それを知っている観客はニヤリとしただろう。

8.イザベル・グレイ=マートン男爵夫人 故マシュー・クローリーの母(演 ペネロープ・ウィルトン)とマートン男爵 居残り組

 この作品では、バイオレットが死にゆく役だったので、いつものバチバチの毒舌の応酬はほとんどなかった。その代わり、バイオレットの終活のための書類の整理を頼まれて、「けんかするほど、仲が良い」姿を映し出した。

9.バイオレット=先代グランサム伯爵夫人(演 マギー・スミス)居残り組

 故モンミライユ侯爵の南仏の別荘を遺贈された本人なので、南仏へ行くべきだったのだが、死にゆく役なので、居残り組となる。
 映画の一作目で、メアリーに病気のことを打ち明け、後を託したので、二作目の映画は、すでにバイオレットの死後の話をもってくるかと思ったが、二作目の重要な感動の臨終の場面を作った。
 亡くなる寸前まで、トレードマークの毒舌を披露し、完璧に映画を支配した。役の上では召天したが、マギー・スミスとしては、まだまだ、いつまでも現役でいてほしい。歴史に残る名女優だと思う。
 臨終の瞬間に、あれだけ仲が悪かった、メアリーとイーディス姉妹が抱き合い、思わす涙が出た。
 最後のシーンで、トム・ブランソンとルーシーが新生児とシビーと一緒にダウントン・アビーへ来る。新生児をダウントン・アビーの住民が「可愛い」と騒いでいるときに、カメラが、壁に飾ってある、故 バイオレット・クローリーの肖像画へ焦点を移し、エンディングロールへ。
感動的なラストシーンだった。

次回は、1F(使用人)の感想を述べる。


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