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ヨーロッパ文化教養講座(「世界で一番美しい少年」ルキノ・ヴィスコンティ番外編 鑑賞記)

2023/01/24
 ルキノ・ヴイスコンテ監督の名作「ベニスに死す」(1971年公開)のタジオ役で世界中に衝撃を与えた「世界で一番美しい少年」こと、ビョルン・アンドレセンのドキュメンタリー映画。

 映画は、現在のビョルン・ヴォルグ氏のインタビューを柱にして、周囲の人々、昔の映像等をミックスして作られた。

 スウェーデン出身のビョルン・アンドレセン(往年の名テニス選手ビョルン・ヴォルグを思い出した)の母親は父親の名前を言わないまま、ビョルンを産み、10年後自殺する。
 ビョルンは、祖母に育てられ、15歳のときに、美少年を探しにきた、ルキノ・ヴイスコンテ監督に発見され、「ベニスに死す」に出演。
 ビョルンはピアノを習っていてかなりの腕前だったようで、「ベニスに死す」中のエリーゼのためにをパラパラと弾くところは、本人にとっては楽だっただろう。

世界中を引き回され東京へも来た。
「ベルばら」の男装の麗人オスカルのモデルとなったことを、池田理代子本人から聞いてなるほどと思った。

 本人は、資本主義社会の商品として消費された。
そのことは、本人の意図するところではなかったはずだが、その結果は本人が背負わなければならない。

 幼少期に容姿や才能に恵まれることは羨ましいことだが、それがはたして、それからの長い人生に必ずしも幸せをもたらすことに繋がらないという冷酷な事実をあらためて思った。

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