見出し画像

ヨーロッパ文化教養講座(厳選クラシックちゃんねる「音響設計家・豊田泰久氏」のインタビュー Youtube)

2023/04/13

naco さんの運営する 厳選クラシックチャンネルで、

【必見】サントリーホールが2倍たのしめる!音響設計家・豊田泰久氏に訊く「響きの秘密」/コンサートホールの良し悪しって何で決まるの?

というタイトルで、サントリーホールを設計した、豊田泰久氏のインタビューがあった。
*写真は、ミューザ川崎

naco さんの素性は不明だが、クラシック音楽ファンも、そうでない人にとっても、わかりやすく丁寧に番組を作っている姿勢に共感している。
編集の能力も高く、インタビューの内容も適切で教養がある女性だといつも思う。

サントリーホールが開館した1986年は20代の終わりくらいなので、まだまだクラシック音楽ファンというレベルではなかったが、それでも、サントリーホールという素晴らしいホールができたということがニュースになったことは覚えている。

豊田泰久氏によれば、大のクラシック音楽ファンであった依頼者の佐治敬三氏に「ワールドクラスのコンサートホールを」という、たった一言の指示のもと、大きなプロジェクトがスタートしたそうだ。

何がワールドクラスなのかという、要件を定義することからスタートとなるたいへんな作業だったと思う。そのため、世界中の当時ワールドクラスのコンサートホールに出かけたとのことだ。

音響に関しては、その要件定義の中で、目標を二つ定め、
1.「響きがリッチ」
2.「明瞭な響き」 
つまり、「豊かな音だけれど、楽器一つ一つの音がクリアに聞こえる。」という相反するようなことを実現しようとした。

当時は、まだコンピュータを音響設計に活用できる時代ではないので、試行錯誤は続いた。数値として計測できるのは、残響時間しかないが、残響時間だけが、いい音のホールを決定するパラメータではない。

佐治敬三氏は、ウィスキーのアルコール度数と一緒だなと言ったそうだ。

響きだけでなく、エコーなど余分な音が聞こえないように、1/10スケールの模型を作って、テストを繰り返したそうだ。

豊田泰久氏は、何がいい音かというのは、個人個人によっても違う。
ただ、観客が演奏者になるべく近い(物理的にも音響的にも)コンサートホールが良いホールだと言っていた。

豊田泰久氏が手がけたホールのリストの中では、サントリーホールとミューザ川崎しか行ったことはないが、確かに、音が届くホールだと思う。

◎豊田さんが手がけた主なコンサートホール
1986年 サントリーホール/東京
1995年 京都コンサートホール/京都
1997年 札幌コンサートホール Kitara/札幌
2003年 ウォルト・ディズニー・コンサートホール/ロサンゼルス(アメリカ)
2004年 ミューザ川崎シンフォニーホール/川崎
2006年 マリインスキー・コンサートホール/サンクトペテルブルク(ロシア)
2009年 デンマーク国立放送局コンサートホール/コペンハーゲン(デンマーク)
2011年 ニューワールド・シンフォニー/マイアミ・ビーチ(アメリカ)
2011年 ヘルシンキ・ミュージック・センター/ヘルシンキ(フィンランド)
2011年 カンザスシティ・パフォーミング・アーツ・センター/カンザスシティ(アメリカ)
2014年 上海シンフォニーホール/上海(中国)
2014年 ポーランド国立放送交響楽団コンサートホール/カトヴィツェ(ポーランド)
2014年 ラジオ・フランス・オーディトリウム/パリ(フランス)
2015年 フィルハーモニー・ド・パリ/パリ(フランス)
2016年 ロッテ・コンサートホール/ソウル(韓国)
2017年 エルプフィルハーモニー/ハンブルク(ドイツ)
2017年 ピエール・ブーレーズ・ザール/ベルリン(ドイツ)
2018年 ザリャージエ・コンサートホール/モスクワ(ロシア)

石合力 著『響きをみがく 音響設計家 豊田泰久の仕事』

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?