ヨーロッパ文化教養講座(2022年11月10日 五嶋みどり)

2022/11/11
昨夜、サントリーホールで五嶋みどりのベートーヴェンを聴いた。
今や巨匠の域に達している、社会運動家でもある彼女のことは、普段クラシックを聴かない人でもよく知られてる。一週間サントリーホールを使っての公演ができるのも、彼女の偉大な業績なのだろう。

デビュー40周年の記念コンサートシリーズ。
2022/11/08 ベートーヴェンヴァイオリンソナタ 1,4,8,7番
2022/11/09 ベートーヴェンヴァイオリンソナタ 5,6,10番
2022/11/10 ベートーヴェンヴァイオリンソナタ 2,3,9番
2022/11/11 ベートーヴェンピアノ三重奏曲1,3,7番
2022/11/12 ベートーヴェンヴァイオリン協奏曲
 デトレフ・グラナート:ヴァイオリン協奏曲第2番「不滅の恋人へ」
#世界初演  五嶋みどりに捧げる とのこと。

小生は、3日目のベートーヴェンヴァイオリンソナタ2,3番
休憩を挟んで、9番「クロイツェル」を鑑賞した。

五嶋みどりは、金色の衣装で登場。いつものように、ひっつめ髪(反田君の侍スタイルを思い出した。)でシンプルな装い。
ピアニストは、ジャン=イヴ・ティボーテという初めて聴いた人(プロフィールによると、フランスのリヨン生まれで、50枚以上のアルバムをリリースしているらしい)今回、このコンビでベートーヴェンヴァイオリンソナタ全集を発売したようだ。

五嶋みどりは、一度生を聴いてみたいと思って何十年にもなるが、初めて実現した。

ベートーヴェンの2番は、軽快なかわいらしい曲で、たまにCDで聴くが生演奏は初めて。3番は、予習のために、CDで聴いてきたがあまりピンとこない曲。
前半の2曲は、ベートーヴェンヴァイオリンソナタ10曲の全曲演奏ということでもなければ、生で聴く機会はあまりないと思うので、逆に貴重とも言える。
まず、感じたのは、初めのうち、ピアニストとの息が、テンポ、音量(ピアノが大きすぎ)など、あまりあっていない感じがした。3番が始まったころから、かなり合ってきたと思った。(でも、少し違和感が残った)

五嶋みどりの演奏スタイルは、姿勢を上半身を揺らすだけではなく、膝も曲げて、大きく、ヴァイオリンの位置を変えて、一番弓が弦に、きれいにあたる位置に自然にヴァイオリンが来るように身についているようだ。
その効果もあり、正確に弓が弦に当たり、きれいな音を出すことができているのではないかと思った。
丁寧に弾いているからか、聴いた席の位置やホールの音響の問題か、全体的に、ヴァイオリンの音量が大ホールには不足していると感じた。

後半のクロイツェルは、ベートーヴェンヴァイオリンソナタでは、一番の名曲なので、演奏会ではよく取り上げられる。小生は、生では、同じサントリーホールで、三浦文彰+辻井伸行で聴いたが、これは好きな演奏だった。

まず、冒頭のヴァイオリンの入りで、ぐっと引き込まれ、最後までヴァイオリンの演奏に関しては、文句のつけようがない素敵な演奏だった。
ただし、このソナタは特に、ピアノが大事で、第二楽章など、ピアノの変奏曲にヴァイオリンが伴奏をつけている的な曲だと思う。
ということは、ピアノがヴァイオリンと同じくらい重要なのだが、この日のピアニストの演奏は、五嶋みどりの音をじっくり聴いているより、自分のことで精一杯だと感じた。その点が残念だった。

これだけ、毎日違う曲を演奏し、毎日完璧な演奏をすることは、大ベテランの演奏家でも大変なことかもしれないと思った。

12月に、小生一推しの庄司沙也香が、同じサントリーホールで、「クロイツェル」を弾くので、今年はクロイツェルが、一年の締めとなりそうだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?