2019年3月22日 #さくらねこの日

3月22日は「さくらねこの日」なのですね。初めて知りました。生物多様性保全の視点から、拡散に協力したいと思います。TNRの効果は薄いことや、外飼いの問題などを、参考文献を交えつつ、一人でも多くの方にお届けしたいと思います。あと2日です。
#さくらねこの日 #TNR #侵略的外来種 #ネコ問題

いつも学び、気づきを下さる、フォロワーの皆様もきっと普及啓発に取り組まれるのだろうな、と思っています。evidence basedなネコ情報が広がることを願っています。 #さくらねこの日 #TNR #侵略的外来種 #ネコ問題

https://twitter.com/SciKotz/status/1108326133387288582


米国では 「野放しのネコ」によって、年間13億~40億羽の鳥と、63億~223億匹の野生哺乳類が狩られている。論文では、「所有者がいるか否か」という視点で、ネコを二つに分けています。 #さくらねこの日 #TNR #侵略的外来種 #ネコ問題
The impact of free-ranging domestic cats on wildlife of the United Sta
Free-ranging domestic cats cause wildlife extinctions on islands, but their impact on wildlife in mainland areas is unclear. This study presents an estimate of mortality caused by cats in the United...
nature.com
https://www.nature.com/articles/ncomms2380

「所有者の有無」は重要な論点です。所有者がはっきりしない場合には、ネコの食害などで、生物多様性保全施策が妨げられたり、自然環境からの恵みを失う人(観光業者など)がいても、所有者責任を問うのは難しいことにも注意が必要です。 #さくらねこの日 #TNR #侵略的外来種 #ネコ問題

よく好意的に紹介されますが、ネコを捕まえ、去勢し、野外に戻すTNRを成功させることは極めて難しいです。米国の2都市でTNRの効果を検証した論文では、ネコの個体群を減らすには71~94%もの実施率が必要との考察があります。#さくらねこの日 #TNR #侵略的外来種 #ネコ問題
(PDF) Analysis of the impact of trap-neuter-return programs on populations of feral cats
PDF | To evaluate 2 county trap-neuter-return (TNR) programs for feral cat population management via mathematical modeling. Theoretical population... | Find, read and cite all the research you need...
researchgate.net
https://www.researchgate.net/publication/7426588_Analysis_of_the_impact_of_trap-neuter-return_programs_on_populations_of_feral_cats


また、野外に戻すためそのネコの在来種などへの捕食圧は下がりません。TNRが美談にされたり、好意的に取り上げられたりすることで、新たな捨てネコを招くリスクについても、最近はシンポジウムなどで議論されています。 #さくらねこの日 #TNR #侵略的外来種 #ネコ問題

福田雄介(ワニ研究者)さん (@GingaCrocodylus)
ご紹介の、「豪州全土で一日120万匹の爬虫類と100万羽以上の鳥がネコによって殺されている」の元は、続いて挙げる、2論文と思量されます。どちらも年間の数なので、365日で割ればすぐに計算できます。#さくらねこの日 #TNR #侵略的外来種 #ネコ問題

爬虫類)ノネコによって、年間4億4600万匹(÷365=約127万匹) が殺されている。ノネコによる爬虫類の捕食の影響は、同様に外来の捕食者である キツネより大きいようです #さくらねこの日 #TNR #侵略的外来種 #ネコ問題
How many reptiles are killed by cats in Australia? | Request PDF
Request PDF | How many reptiles are killed by cats in Australia? | Context. Feral cats (Felis catus) are a threat to biodiversity globally, but their impacts upon continental reptile faunas have been...
researchgate.net
https://www.researchgate.net/publication/325787707_How_many_reptiles_are_killed_by_cats_in_Australia

鳥類)こちらは、ネコによって、年間3億7700万羽(÷365=約103万羽)が殺されている。他の哺乳類の捕食者よりも、鳥をエサとする割合が高めとのこと。#さくらねこの日 #TNR #侵略的外来種 #ネコ問題   https://sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0006320717302719?via%3Dihub

生物多様性への悪影響だけでなく、ネコも「被害者」と言えます。環境省を始め、多くの公的資料で「家の中で飼われている猫の寿命は約10年、長いと15年以上生きるものもいるが、ノラネコの寿命は3~5年程度」とされています。野外は厳しい環境です。 #さくらねこの日 #TNR #侵略的外来種 #ネコ問題

「ネコは外に出たがる」という方には、「ペットフード協会」の資料をお勧めします。2017、18年には、「外に出るネコ」と「外に出ないネコ」の寿命が比較され、いずれの年も「外に出ない」方が2年以上長生きという結果です。 #さくらねこの日 #TNR #侵略的外来種 #ネコ問題 https://petfood.or.jp/data/index.html

ノラネコの一部を「愛されているネコ」と表現される意見もありますが、野外は厳しい環境です。寿命を短くする要因には、飢え、病気、室内より不安定な気候、縄張り争い、交通事故、虐待などがあります。 #さくらねこの日 #TNR #侵略的外来種 #ネコ問題

なお、ノラネコや地域猫の問題について、参考文献などを紹介すると、2012年の動愛法付帯決議を挙げ「官民挙げて一層の推進を図る」とのご指摘を受けることがあります。逆に、付帯決議を環境省の「無策」と指摘する人もいます。 #さくらねこの日 #TNR #侵略的外来種 #ネコ問題
http://sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/180/f073_082801.pdf

ですが、付帯決議をよく読むと、非常によく出来た「霞ケ関文学」であることがうかがえます。地域猫の枕詞は「地域住民の合意の下に管理する」です。「理解」でなく「合意」形成のハードルは高く、付帯決議に該当する地域猫は極めて限定されたものです。 #さくらねこの日 #TNR #侵略的外来種 #ネコ問題

一方、私は全ての地域猫を批判してはいません。フォロワーさんの中にも推進される方がおられます。ただ、その方が地域猫を「最終目的は「外で暮らす猫の根絶」です。」と書いていたことは強調したいです。この覚悟を持った方なら、という思いはあります #さくらねこの日 #TNR #侵略的外来種 #ネコ問題

本日3月22日は「さくらねこの日」です。野外にいるネコについて知る上では、とても貴重な機会になると思います。来月上旬には、以下の本も邦訳・出版されます。「ネコ・かわいい殺し屋 」(原題:Cat Wars) #さくらねこの日 #TNR #侵略的外来種 #ネコ問題  http://tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/ISBN978-4-8067-1580-1.html
@tsukijishokan
ネコ・かわいい殺し屋
ピーター・P・マラ+クリス・サンテラ[著]岡奈理子+山田文雄+塩野�ア和美+石井信夫[訳]
tsukiji-shokan.co.jp

内容は、ネコが「生物群にどのような影響をもたらすのか」「捕食による希少種の絶滅」「人や海棲哺乳類への病気の媒介」「TNRの有効性」など、「野放しネコと環境との関わりを科学的に検証」「各国で行われている対応策とその効果」だそうです。 #さくらねこの日 #TNR #侵略的外来種 #ネコ問題

米国では、出版後社会的に大きな論争を巻き起こしたそうです。大変興味深い本ですし、ノネコ/ノラネコ/地域猫/外飼い猫という問題を考える上で、役立ちそうです。 #さくらねこの日 #TNR #侵略的外来種 #ネコ問題  参考記事→ https://www.excite.co.jp/news/article/Tocana_201610_post_11271/

午前の「Cat Wars」の紹介で「病気の媒介」の話が出たので、代表的なトピックだけ参考までにご紹介致します。重症熱性血小板減少症(SFTS)のことです。 #さくらねこの日 #TNR #侵略的外来種 #ネコ問題  
https://cvdd.rakuno.ac.jp/archives/2512.html

SFTSはイヌやネコなどが媒介する「致死性」のウイルスによる病気です。すでに国内でも感染者や死者が出ており、公衆衛生上の問題となっています。 #さくらねこの日 #TNR #侵略的外来種 #ネコ問題  https://cvdd.rakuno.ac.jp/archives/2768.html

野外に出ると、ネコが病気を持ち込んだり、自身も感染するリスクが高まります。「ネコにも地域にも申し訳ない。でも一代限り、これで不幸は終わりだ」という覚悟と自責の念で地域猫に取り組んでおられる方もおられます。決して美談ではありません。#さくらねこの日 #TNR #侵略的外来種 #ネコ問題

「さくらねこの日」にネコのことを考えるため、最後に日本獣医師学会の報告書(2016年6月)をご紹介致します。本体は200p超ですが、「野外のイエネコ問題 ─生物多様性保全の観点から」は63~66pですのですぐに読めます。 #さくらねこの日 #TNR #侵略的外来種 #ネコ問題   http://nichiju.lin.gr.jp/kousyu/pdf/h28_06_yasei.pdf

いくつか印象に残った部分がありますが、以下の一節はこれからも考えていきたいテーマだと考えています。「野外のイエネコ問題の根底には、「人とともに暮らしてきたペットにとって何が幸せか?」という命題が含まれている。」(66p) #さくらねこの日 #TNR #侵略的外来種 #ネコ問題

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