なぜ私たちは死ぬのか 第4章要約

(1961年にアメリカのWistar Instituteにいた)ヘイフリックは培養細胞を無期限に増殖させることができないことに気づいた。細胞は有限の回数分裂した後、停止する。特定の種類の細胞が分裂できる回数は、現在ではヘイフリック限界と呼ばれている。ヘイフリックとムーアヘッドは、細胞が停止し、それ以上分裂できなくなったこの状態を表すために、老化senescenceという言葉を作った。

1970年代初頭、DNAで有名なワトソンとロシアの分子生物学者オロヴニコフは、ほぼ同時に、細胞のDNAコピー機構が分子の末端で問題を引き起こすことに気づいた。DNA鎖は前方DNAはコピーできるが、そのすぐ下にあるDNAはコピーできない。DNA鎖の最後部をコピーできないということは、新しく作られるDNA鎖が元のDNA鎖よりほんの少し短くなることを意味する。そのため 細胞分裂が始まると、染色体は次第に短くなり、最終的には必須遺伝子を失って分裂できなくなり、ヘイフリック限界に達する。これが知られているように、末端複製問題は、細胞が分裂しなくなった理由を少なくとも原理的には説明することができる。それより以前、1930年代にミュラーは染色体の自然な末端をテロメアと名付けた。テロメアの短縮が細胞の寿命を決めると考えられている。

テロメアDNAが十分に失われると、これらの特別な構造は形成されなくなる。すると細胞はDNAの無防備な末端を切断とみなし、損傷反応を起こし、他の細胞に自殺か老化を指示する。

カリフォルニア大学のブラックバーンとグレイダーは、染色体の末端にテロメア反復配列を付加する酵素を発見した。彼らはこれをテロメラーゼと名付けた。ほとんどの組織の細胞はテロメラーゼをほとんど、あるいは全く作らないが、ガン細胞や生殖細胞などの特殊な細胞はテロメラーゼを作る。テロメラーゼがないと、テロメアは加齢とともにどんどん短くなり、細胞は老化を引き起こして分裂を停止する。これとは対照的に、テロメラーゼを持つ細胞は分裂のたびにテロメアを再構築することができるため、無限に分裂することができる。正常な細胞にテロメラーゼを導入するだけでも、寿命を延ばすことができる。ストレスを受けると、体内ではストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールが大量に分泌され、テロメラーゼの活性を低下させる。

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