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瑞梅寺特集:現代の地域社会と持続可能なエネルギー開発

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瑞梅寺特集:現代の地域社会と持続可能なエネルギー開発

三嶋氏と高野氏の対話:新たなエネルギー解決策の模索

三嶋氏と高野氏は、東京から離れた瑞梅寺で対話を行い、持続可能なエネルギー開発についての洞察を共有しました。この会話からは、地域の資源を活用した新しいエネルギー解決策の可能性が明らかになります。

三嶋: 今日は、東京から瑞梅寺まで来ていただいてありがとうございます。

高野: いやあ、来てよかったですよ! 実際にダムを見たり、あとはこの近くにある水車の跡地も興味深かったです。私は最近重力のエネルギーに興味があるんです。

三嶋: そういう視点で瑞梅寺を見てみるというのも面白そうですね。斬新です。

高野: 瑞梅寺ダムには小水力発電の設備もありますよね。元々わたしたちは、糸島サイエンスヴィレッジで電力やデジタルの仕組みを基盤にしたまちづくりができればいいなって思ってるわけですよね。

三嶋: そうです。

高野: でね、九大の伊都キャンパス西側にあるサイエンスヴィレッジの拠点「はじまりの地」は、いい意味で何にもない場所なわけですけど、一方でこの瑞梅寺は、中山間地域でありつつ、自然エネルギーのポテンシャルがある場所だというふうに捉えられると思っているんです。つまり、サイエンスヴィレッジの飛地ユニット的なものにならないかと。そう考えるとさらに興味深いのは、ここ瑞梅寺には「実際の暮らし」っていうのがあるわけです。

三嶋: サイエンスヴィレッジは、ゼロからつくるまちだから、ピカピカですよね。

高野: そうなんです。私から見ると「はじまりの地」は、完全な更地からつくっていくまちです。そして九州大学の若い学生たちにも期待しながら、ゼロからまちを興していくわけですよね。一方の瑞梅寺は、すでにはるか昔から人々が暮らしている場所なわけです。サイエンスヴィレッジの考え方で、ここ瑞梅寺で何が出来るのかっていうのが1つの大きなテーマだと感じています。

三嶋: 実際、1日見てもらってどうでした? 散歩しながら水力の話をたくさんしていましたよね。

高野: ええ。広い意味で、水力というのは、安定的に取れる再生可能エネルギーというところが1番の魅力なんです。要は、 太陽光ってのは基本的には晴れてる昼間しか発電しない。 風力はそれよりは長く発電できますけど、基本的に風まかせ。ところが水力っていうのは、いわゆるその川の流れ、その渓流の流れです。それがある限り、何十年何百年あるいは何千年でも、そして昼間でも夜でも、安定的に流れが発生し続けているわけです。これが水と重力の凄さなんです。

三嶋: そんなふうに考えたことありませんでした!

高野: 面白いでしょ? で、実際に今日、その瑞梅寺の上流に行ったわけです。そこにはどう見ても枯れちゃうような水流じゃない、たっぷりと山々が蓄えた水がずっと存在していました。湧水もありました。森もたっぷりあります。そこが1番のポイントになるよなって改めて思ったんですよ。

三嶋: 瑞梅寺の素晴らしい自然は、見た目の美しさだけではなく、そこには潜在的に膨大なエネルギーを蓄えていると捉えることができるんですね。

高野: 

そのとおりです。それで、「はじまりの地」にはそういう膨大な水力エネルギーがないので、主に太陽光と蓄電池でエネルギーを賄おうと実証実験に取り組んでいるところですよね。

三嶋: はい、サイエンスヴィレッジは、小さなマイクログリッドのユニット(マイクロネイバーフッドユニット)をやっていく計画ですね。

高野: そこでちょっと話を広げると、面白いものが見えてきます。元々このサイエンスヴィレッジに私が関わらせてもらったその理由の1つに、太陽光の発電の課題があります。九州にはメガソーラーがたくさんできて、太陽光発電の開発業者が電力会社へ売電する形で発電量がどんどん増えていきました。春とか秋になると、地元で使うエネルギーというよりも発電量の方が大きくなっちゃうという問題があります。

三嶋: 何が問題なのでしょう?

高野: 需要と発電量が一致しないと、大きな停電が起こるんです。東日本大震災のときがそうですが、「電力が足りなくて節電しないとブラックアウトをしちゃうよ」、とか、あるいは北海道で2018年9月の下旬に大きな地震が夜中にあって、みんながテレビつけて照明もつけちゃって、さらに1番重要な火力発電所が止まっちゃったんで、それで電力が足らなくなってブラックアウトしたってのがあるわけです。

三嶋: 災害で電力が足らなくなって停電するというのはわかります。

高野: 実はその逆もあるんです。電力が足りないだけじゃなくて、余ってもブラックアウトしちゃう。つまり、九州で日常的に秋冬に起きてるのはそれ。発電が多すぎてブラックアウトしちゃうから「もう発電しないでくれ!」って事態が頻発しているんです。

三嶋: 発電を止めちゃうってことは、せっかくの電力を捨てちゃうってことなんですか?

高野: せっかくの再生可能エネルギー捨てちゃうのもったいないから、じゃあそれを水素を作ろうとか熱に変えようとか、臨時で工場を動かしましょうと、いろんなやり方あるんですけど、なかなかうまくいかない。そこで、計算で処理してデジタルの結果にするということが1つの方向性としていいんじゃないかって、わたしはずっと思っているんです。

三嶋: その専門家が高野さんなわけですね!

高野: ただ、それをいきなり導入するっていうのがなかなかお金も色々かかるので、小さく動くかたちで社会実装できないか、その前段としての実証実験ができないか、ということをサイエンスヴィレッジで進めているわけです。

三嶋: 地域のエネルギーを地域で使う、地域の計算を地域で使う、もちろん地産地消で農業振興もする。

高野: エネルギーだけではなく通信にも追い風な技術革新が起きています。それがローカル5Gです。これは言ってみれば地元の人が占有して使える通信網なんです。つまりドコモさんとかのキャリアが全国どこでも使えますって大規模に基地局を設置して事業展開するだけではなく、地域の土地を持ってる人がそこに小さな基地局を設置して使えるのがローカル5Gです。将来的には大手キャリアにそれを貸し出すこともできる仕組みです。

三嶋: つまり、エネルギーの地産地消に加えて、通信ネットワークの地産地消もできるようにするんだ、と。面白いですね。

高野: それでローカル5Gの基地局を日清紡さんが持ってきてあげるよという話があったんで、「じゃあ、はじまりの地に設置しましょう!」と盛り上がって、泉のごとく電波を吹かせたわけです。さらにメタコードの本社にも同じくローカル5Gの基地局を設置しました。

三嶋: 通信とエネルギーを一体として考えているんですね。

高野: 通信とエネルギーと演算の三位一体ですね。まずは通信があって、それに計算をするGPUを加えて、それがデータセンターに繋がって、あとは直流マイクログリッドの村さんが太陽光と蓄電池の実証実験をやってくれています。こうやってそれぞれの得意分野を重ねていくと、なんとなくサイエンスヴィレッジのユニットのインフラの基本形ができるのかなということでここまでやってきたわけです。

三嶋: それと瑞梅寺がどうして繋がるんでしょう?

高野: そこでさっきの話戻るわけです。水力がうまく使えるようになると、昼も夜も限らず蓄電しなくていい。再生可能エネルギーとしてのインパクトが大きいわけですね。

三嶋: それは「はじまりの地」ではできない実証実験!

高野: そうなんです。だから瑞梅寺なんです。もちろん瑞梅寺ダムの貯水力は県とか福岡市との関係や制約が色々あるのは分かってるわけですが、ただ、この地は実際そういうのができる場所だから、実験もできることは間違いない。

三嶋: そこで水車に繋がるんですね?

高野: 有志で作った水車を見つけました。最高ですよね、あれ。あの水車は発電用じゃなかったわけですが、あれがもし復活できれば発電に使いたいです。発電する量は最初は小さいかもしれませんけど、地域の資源を使って、環境の破壊も最低限に抑えた状態で出来るなんてなると素晴らしい話になるかなというふうに思っています。で、これのもう1つ重要なところは、デジタルのインフラ、電力のインフラっていう、その部分だけを検討してても「それは何のためにあるの?」って言った時に、言ってみれば、やっぱり1番最初に「豊かな幸せな暮らし」というのがあって、それを支えるインフラもその地域が持っているということが安心安全な生活基盤になると思うのです。何か災害が起こっても自立して動かせるとか、いろんな意味でインフラを支えるものになるべきで、ややもすると、先ほど九州という全体で見ると再生エネルギーが余ってますよねとか、 あるいは北海道はこれからさらに再エネの開発進むので、これからますます余ってっちゃうよねと。で、それをもったいないので、データセンターを東京とか大阪だけじゃなくて、九州、北海道にも広げましょうって話も進めようとはしてるんですけど、その話はその話として、丁寧な目線で見ると、その話の上にどんな暮らしがあって、れぞれの街でどう活用していくっていう話がない。

三嶋: 高野さんはそこを丁寧にやる必要があると考えている。

高野: そうです。そうあるべきです。そうしないと、ただのインフラの話になっちゃうわけですね。

サイエンスヴィレッジでやろうとしてることの素晴らしいところは、そのインフラの話で、それが日本の課題解決の話や、人間らしい豊かな地域の暮らしに向かう話にも使えるじゃないかっていうことでやってるわけです。ショーケースですよって技術アピールだけじゃなくて、そのインフラの上でどういう暮らし方ができるんだろうかっていう、まさにまちづくり、人を中心としたまちづくりをやろうとしてるじゃないですか。

三嶋: わたしは糸島生まれ、糸島育ちですが、そうあってほしいとずっと思ってきました。

高野: そこで暮らす人と技術者・研究者が交わる場所と関係をつくるのがサイエンスヴィレッジです。下のインフラをやってる技術者・研究者たちから見ても、じゃあそれがどう使われるのかってところまでをみれるようになりたいし、そういう若者を育てたい。人の暮らしのレイアウト、そのインフラのレイヤーです。この両方を同時に考えて、丁寧で自律的にどう発展させるんだっていうことを考えてるっていう、そういう場所ってのが世界中探してもなかなかない。

三嶋: 糸島がそうなると?

高野: すでにそうなっていると思いますよ? だから例えば東京の電力会社のパワーグリッドさんなども興味持って「糸島で何が起きているの?」と糸島までやってくるわけですよね。

三嶋: 確かにここ一年で糸島にさまざまな企業や人が集まってくる感じがしてますね。

高野: 全国の各地で、専門領域を持つ人たちが新しい電力のインフラを作んなきゃいけないとかいろんな取り組みはしています。でも、じゃあその上でどういう暮らしをこうしましょう、ああしましょう、というところまで全部揃えたような実験的な場所、新しい試みができてる場所があるかって言うと、どの企業も行政もも「それをやっていかないと」と思っているとは思うんですけど、なかなかそういうところはつくれませんよね。

三嶋: 糸島は最近そんな感じですよ?

高野: だから糸島は魅力的なんです。世界中の企業がそういう場所があればいいのにと思っているはずです。それをいち早く嗅ぎつけた人たちが「糸島には何かあるんじゃないか?」ってすごく関心を持ちはじめていると思います。関心が関心を呼んですごいことになるかもしれないですよ?

三嶋: 糸島には、インフラの未来と暮らしの未来が同期した形で、ビジョンとして見えるかもしれないっていう、そんな期待感があるんだと。

高野: そうです。で、これにもう1個新しいレイヤーを加えてお話ししますね。生成AIについてです。

三嶋: 生成AIもそこに絡んでくるんですか?

高野: ここまででお話ししたエネルギーと通信と演算力に加えて、さらに生成AIがやってきたという形になっています。その下の物理レイヤー、つまりデータセンターという視点で見ると、今までは余剰電力を有効に使うために、地域に分散したデータセンターを国として持つのがいいだろうっていう風に思ったんですね。でも最近、新聞を見てると、Amazonが日本に2兆円投資しますとか、マイクロソフトも何千億円投資しますとか、それからGoogleも広島の方なんですけどやっぱり1000億円規模の投資するなんていう話が毎週のように発表されています。

三嶋: すごい経済効果ですね。そこまでの規模でなくとも、糸島にもそういう話はきていると思います。

高野: 1番最近だとオラクルという元々はデータベースの会社だったところが、1.2兆円日本に投資するという話になってきて、電力の話はますます重要になってきています。

三嶋: 巨大なデーターセンターは電力をものすごく使うからですね。

高野: 日本全体では、生活に必要な電力はある程度予測可能なので、どちらかというと人口がこれから減少する日本というのは電力が余る方向なのですが、でも外資がドカドカとやってくるような状態になって、巨大なデータセンターをどんどん日本に作るぞと、となっている。

三嶋: なんで日本なんですか?

高野: いい質問です。今言った会社ってのはアメリカの会社なので、当然アメリカでも一生懸命データセンター作ってるんですよね、で、作ってるんですけども、やっぱり電気が足りないという状況になってるのが1つ。あとは、お客さんは当然世界中にいるので、そういうデータセンターをアメリカの国内だけじゃなくて、世界中に配置していこうという考え方があるんです。で、その中で、なぜ日本が人気になってるかというと、 従来は電気代もちょっと高いしメリットはあまりなかった。でも円安っていう話もあり、かつ、海底ケーブルで世界中のインターネット回線と日本が高速に繋がるようにさらに投資してるんですよね。世界と繋がる日本の通信のケーブルがどんどんふと太くなるような計画があるんですよ。

三嶋: 世界規模の話なんですね。

高野: 逆に言えば、そういう太い回線があれば、海外から快適にアクセスができるので、要は別に日本のユーザーだけじゃなくて世界のユーザーに対して日本のデータセンターが使えるよねってなってるんです。それらの要素に加えて、生成AIの登場によって、めちゃくちゃ電力が必要になっちゃった。

三嶋: 地球規模でそんなに電力が必要になっているというのは、普通の人にはイメージしにくいですけど、実際にはそんなことになっているんですね。

高野: さらに、日本として考えた場合、海外のサービスを使うだけでいいのでしょうか。日本が単にChatGPTをはじめとする生成AIのエンドユーザーとして使うだけになると、それって結局、海外のクラウドの上のサービスを日本のユーザーが使って、日本からお金が流出してるだけになってしまうんですよね。まずインフラが足元にあるのは重要です。その一方で、その地域の特性にあったサービスや言語モデルの開発とかも重要なんです。だから先ほどで言うとですね、インフラと暮らしって言ったんですけど、そこで動く生成AIは 暮らしのところを支援する、人間のパートナーになるということだと思うんです。

三嶋: どんなに世界規模で考えても、やはり最終的には地域の暮らしなんですね。

高野: 最終的にではなく、そもそも地域の暮らしのためにすべてがあるんです。それを忘れてはいけないと思います。

三嶋: 本来、すべてのテクノロジーは地域の暮らしのためなんですね。ついつい忘れがちです。

高野: だから糸島で、糸島のためのインフラをどう形作れるかっていうことをサイエンスヴィレッジに集い、形にしていくわけです。そうすると、ほかの地域に対してもこういうやり方ありますよっていうものが見えてくるんじゃないかって思うんです。

三嶋: 壮大ですね。

高野: そう、壮大です。そもそも、「インフラと暮らしがセットになって進めなきゃまちづくりなんてできないでしょ」っていう話だけでも大きかったのに、そこに海外の巨大なAIを使うだけじゃなくて、日本独自の使い方の発明から、どう言語モデルに特徴を加えるかというところまで含めて、地域のインフラで地域の使い人の使い方っていうことまでを発信できるようになりたい。それが「糸島まちづくりモデル」だと思っています。

で、さらに1歩言うと、今の生成AIは、文字や言葉を投げかけると、文字とか言葉が返ってくる。で、最近だと画像が返ってくる。で、それが動画になります。ってなってるわけですよ。で、それでまたさらに電気を食うって話なんですけど、その先は自動運転が動くとか、ロボットが動くとか、そうやってエネルギーと通信と演算とソフトウェアとハードウェアがすべて融合してくる。

三嶋: そんなものが開発できるんでしょうか?

高野: だから、「まちづくりを研究・実装するまちをつくる」なわけですよね。

三嶋: なるほど!

高野: あと、モビリティですね。本当に自由に使える自動運転が出てくると世界が変わってくるわけですね。で、そうなった時に必ず生成AIの力も使うわけです。すべてが3位一体です。今度はモビリティとしてのインフラとして何が必要かっていう視点もこれから必要になってきます。どう考えてもまちづくりをするまちが必要ですよね?

三嶋: で、さらにそれがあると暮らしがどう生かされるかっていう話がある、と。

高野: ちょっと話がそれちゃうんですけど、元々その最初に水力の話しましたけど、土地と水っていう必須のインフラがある。天然の恵みですね。だから、まさにそれが全部揃って新しいことを考えられると。

三嶋: 糸島には海、山、川、田園、すべてがあります。最高のフィールドですね。

高野: そうです。そのひとつとして治水がある。その効用の1つとして重力エネルギーを取り出すというのが水力発電です。その辺を象徴的なプロジェクトで、今回の瑞梅寺合宿から具体化していけると面白いなと思ってます。

三嶋: だから瑞梅寺なんですね。

高野: 今朝、散歩をしてダムを見ました。で、そのまま見学をしてたら、この地域で水車を回していたという心強い事例を聞いたので、その志を我々がさらにアップデートして、瑞梅寺のみなさんとまた一緒にやりましょうみたいな話ができたら素晴らしいなあ、って思ったんですよ。この先の1歩が瑞梅寺から日本中に向けて発信できるんじゃないかな、とも思いました。

三嶋 さっきモビリティの話も出たんですけど、自動運転は、例えばこの広場を自動で草刈りできるようにとかいう実験もできます?

高野: いや、実はね、この場所、今撮ってるここは素晴らしい場所だと思ってて。何もないキャンプ地、まるで「はじまりの地2」みたいに見えませんか?

三嶋 なるほどなるほど!

高野: なんて言うんでしょう、具体のものがある近くで考えるっていうのがやっぱり最高のやり方なんで、私の中ではもうすでにここは水豊かな中山間地域の方々の暮らしがある「はじまりの地2」です。

三嶋 多分ここは地元の理解もあると思います。

高野: そうですね。楽しみだなあ!


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