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地下帝国の陰に潜むストレスの影 ── 社会性デバネズミの繁殖抑制メカニズム

アフリカ南部の地下トンネルに生息するハダカデバネズミとダマラランドデバネズミは、極めて協調的な社会を形成しています。コロニー内では、ほとんどのメンバーの繁殖が抑制され、一匹のメスと少数のオスだけが子孫を残します。

これまでの研究から、繁殖メスによる攻撃行動がストレスを引き起こし、非繁殖個体の繁殖を抑制している可能性が示唆されています。しかし、実験室での研究では、繁殖個体と非繁殖個体の間でストレスホルモンに差は見られませんでした。

一方、野外研究や他の社会性デバネズミの研究から、ストレスがコロニーの安定性や環境条件の影響を受けながら、繁殖抑制に重要な役割を果たしている証拠が数多く得られています。

例えば、ダマラランドデバネズミでは、雨季に繁殖メスのテストステロンと非繁殖メスのストレスホルモンが上昇します。これは、コロニーの不安定さや分散の脅威に対して、繁殖メスが攻撃性を高めている可能性を示唆しています。

資料

タイトル:Stress in an underground empire
URL:https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsbl.2022.0012
著者:Katarina Medger

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