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過去40年間の土地利用の変化が節足動物の生態を変化させている

スイスにおける大規模調査で、都市化と森林減少が昆虫の小型化や乾燥耐性、分散能力の変化につながっていることが明らかになりました。

最近の研究によると、過去40年間の土地利用の変化が節足動物、特に地表性の甲虫類やクモ類の生態に大きな影響を与えていることが分かりました。スイスで173万匹以上の節足動物を対象に調査が実施されました。

研究チームが1974年から2018年にかけてスイス国内で実施された32件の調査データを分析したところ、甲虫類では集約的な農業が行われている農地や都市化が進んだ地域で体が小さい種が増加していることがわかりました。これは、環境の変化によって餌となる資源が不安定になったり減少したりすることで、エネルギー消費が少なく、成長が早い小型種が有利になったためと考えられます。

一方、クモ類では、都市化の影響で体が大きくなり、活動期間が長くなる傾向が見られました。また、甲虫類とクモ類の両方で、森林減少が進んだ地域では、乾燥に強い種が増加していました。これは、森林が減少することで、気温や湿度が変動しやすくなり、乾燥した環境に適応できる種が生き残るためと考えられます。

引用元

rtínez- Núñez, C., Gossner, M. M.,Maurer, C., Neff, F., Obrist, M. K., Moretti, M., Bollmann, K.,Herzog, F., Knop, E., Luka, H., Cahenzli, F., & Albrecht, M.(2024). Land-use change in the past 40 years explains shiftsin arthropod community traits. Journal of Animal Ecology, 93,540–553. https://doi.org/10.1111/1365-2656.14062

URL:https://besjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/1365-2656.14062

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