見出し画像

ミヤマガラスが街に進出する秘訣はオスの賢さにあった!?


ミヤマガラスが都会に進出するわけ


北米で急速に都市部への生息範囲を拡大しているミヤマガラスについて、興味深い発見がありました。最新の研究により、この種の都市進出を率いているのは、主にオスの個体であることが分かったのです。

今回、研究チームは、生息域の中心部、中間部、最前線部の3つの個体群から捕獲したミヤマガラスを対象に、「強化学習」と呼ばれる学習能力を調べました。その結果、初めは学習速度に性差はなかったものの、報酬と刺激の関係が反転する「逆転学習」の局面では、オスの方がメスよりも素早く適応し、選択肢を切り替える頻度が少ないことが判明。つまり、不確実な状況下では、オスの学習パフォーマンスが上回ったのです。

さらに、数理モデルを用いて学習メカニズムを探ったところ、オスはメスに比べて「リスク感受性」が高く、これまでの経験から得られる報酬の期待値を重視して意思決定を行う傾向にあることが分かりました。シミュレーションでも、この性差を再現することに成功。そして進化モデルによれば、都市環境のような「安定しているが予測不能な」環境では、このようなリスクに敏感な学習が適応的だと考えられます。

つまり本研究は、都市への進出の先陣を切るオスのミヤマガラスにとって、リスクを考慮した柔軟な学習が、新天地での生存と繁栄の鍵を握っている可能性を示唆しています。鳥類に限らず、ヒトを含む他の動物でも、学習能力と分散行動の関係を調べることで、生物の環境適応の謎が解明されるかもしれません。

ミヤマガラスとは

カラス科に属するミヤマガラス(Corvus frugilegus)は、カラス、ワタリガラス、その他の類似した鳥を含む鳥類の一種です。ミヤマガラスは、スカンジナビアと西ヨーロッパから東シベリアまで及ぶ旧北区に生息する スズメ目の鳥です。ミヤマガラスは、大型で社交的な鳥で、羽毛は主に黒色です。顔の周りに白っぽい羽毛のない部分があることで、他のカラス科の鳥と容易に区別できます。知能が高く、複雑な社会行動を示し、問題解決能力にも優れていることで知られています。

ミヤマガラスの体長は45〜47cm、翼開長は90cmに達し、体重は約400gです。やや丸みを帯びた頭部には、先端が下向きに曲がった長く太い嘴、濃い茶色の目、短いが強靭な脚を持っています。背中の羽毛の先端に灰褐色の部分がある以外は、全身が黒色の羽毛に覆われています。特徴的な鳴き声は「カーク」や「カァー」のように聞こえます。

ミヤマガラスは非常に社交的で、通常、数百羽の鳥を含む大きなコロニー(集団営巣地)で生活します。採餌時に「採餌連鎖」を形成するなどの独特な行動を示し、季節によって食物の利用可能性に応じて移動することが知られています。ミヤマガラスは雑食性で、主に昆虫を食べますが、果物、種子、小型の脊椎動物、腐肉なども食べます。特に、他の食物源が乏しい寒い時期には、腐肉を好んで食べます。

ミヤマガラスは、農場や村の近くにある高い木の頂上部で集団営巣します。巣の集まりは、ルッカリーと呼ばれています。主に留鳥ですが、最北端の個体群は、厳しい冬の状況を避けるために南方へ移動することがあります。歴史的に、農家はミヤマガラスが作物に被害を与えると非難し、追い払ったり殺したりする努力をしてきました。しかし、ミヤマガラスは害虫を食べることで農業に利益をもたらすこともあると認識されるようになりました。

ミヤマガラスは1758年にカール・リンネによって最初に記載され、その二名法の名前は果実を集める習性を反映しており、ラテン語で「ワタリガラス」と「果実を集める」を意味する言葉に由来しています。農地利用の変化と種子処理の適用による脅威に直面しているにもかかわらず、ミヤマガラスは広く分布し、総個体数も多いのが特徴です。

資料


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?